東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回は中小企業のグローバルでの戦い方みたいなかたちでお聞きしたと思うんですけども、5つポイントをあげていただいたと思うんですが、前回つらつらつらっと話してしまったので、分かりにくい場面もあったと思うので、5つを順々にまとめていただきたいんですけれども。まず、その5つをあげていただいてもよろしいですかね?
森辺:まず、戦略をつくるための調査に関しては、ポイントを絞って限定的にやるという、そんなに予算をかけずにチャチャッとやるという、ざっくりやるというのが1つですよね。2つ目が、決して出ないと。なんか、中小企業で海外に法人つくったり、突然したりする会社がありますけども、とにかく収益化がある程度いくまで現地に法人を出さないという出ない戦略、輸出で稼ぎなさいという、B2CもB2Bも、これが2つ目。あと、国を攻めるんじゃなくて都市を攻めるんですよ。もっと言うと、首都を攻めるんですよと。例えば、中国に行くと言っても、中国の場合は首都だけじゃ北京だけになっちゃうので都市で攻めていきますけど、ASEANの小国とかって言うとね、マレーシアに出るんじゃなくて、クアラルンプールに出るんだし、インドネシアに出るんじゃなくて、ジャカルタに出るんだと。ベトナムに出るんじゃなくて、ホーチミンに出ますと、ハノイに出ますという話なので、都市を選ぶということは非常に重要ですよと。あと、狙ってる売上が100億じゃなくて数億だということであれば、もう明確にターゲットをバイネームであげておくということは非常に重要で、誰に売りたいんですかということを明確にするということと。あと、出ないという、最後の5つ目ね、出ないということは、現地で販売を担ってくれるパートナー、ディストリビューターが非常に重要なので、どこのディストリビューターでやるかという選定にはしっかり労力をかけましょうねという、この5つですよね。これさえしっかりやれば、かなり、初歩的な失敗をして撤退とかね、撤退というか、出てないのでそういう意味での撤退じゃなくて、海外事業失敗ということは少ないじゃないかなと思いますけどね。
東:分かりました。特に、この中で強調したいというか、ここだけはというのは、森辺さんの中であるんですかね?
森辺:まあね、どれもちょっと譲れないんだけど、1つ前提として言うなら、やっぱり、出ちゃ駄目だよということは、やっぱりあるのかな。すぐ、なんか、法人つくりたがるじゃないですか、日本の企業はね。
東:はい。
森辺:けど、それは駄目ですよと、後で重荷になるんで、法人つくるということはイニシャルコストがかかるということなので、しばらく赤字がかかるんですけど。海外事業って自分たちが3年でブレイクフィーバーするとか、5年でブレイクフィーバーすると思っていても、必ずそうならないのでね。たぶん9割方そうなってないんですよ。そうすると、それ以上に投資がかかるので。あとで重たくのしかかってくるので、まず出ないで稼ぐということをやる。100億やるんだったら、出なきゃ稼げないけど、高々10億やるのに、出ないで、出なきゃ稼げないというのはそもそもビジネスモデルとして成立していないので、狙っている金額が少ないんだから出ないということを徹底するということは重要ですよね。1つと言われたらね。
東:うんうん…。じゃ、出ないうえで具体的に何をしていくのかということをやっぱり基軸に。
森辺:考えてね。
東:考えないといけないと。
森辺:出ないことは確定しているじゃないですか。そのうえで戦略をつくる。で、調査は非常に限定的にということだと思うので、中小企業の調査ってMaxどれぐらい儲かるのという、市場規模の把握の調査と、あと、そこにいる主要競合の脅威はどれぐらいなの?という、もうこの2つ以外やる必要がないんですよね。どれぐらいの脅威の競合がいて、その人たちはどういう流通チャネルで、どこに何をどう売ってるの?というところが知れれば、自分たちの戦略の参考になるわけじゃないですか。
東:そうですね。
森辺:中小企業が、戦略をゼロから組み立てるなんて、こんな効率の悪いことはないので、すでにその市場で成功している先駆者が必ずいますと。その先駆者の成功モデルをベースにして戦略をつくるというのが一番安上がりだし、効果的なので、競合を調べるということと。あと、出たんだけkど、実は儲からない市場に出ていたら、こんな無駄なことはないので、どれぐらい儲かるのかということを調査ではやりますよと。
東:はい。
森辺:あと、都市って、ここってもう決まっているんですよね。中国だったら沿岸部の都市か内陸部、1級2級ぐらいの都市を狙っていくとかっていう話だし、ASEANだったら中小企業はもうミャンマーとかカンボジアとかラオスなんかはもう、出ちゃ駄目よという話でね。まずやるべきはシンガポールとマレーシアとタイでしょと。なぜならば、その3カ国がASEANの中で最も先進的な市場なので、いわゆる日本のマーケットと比べてギャップが少ないんですよね。ギャップが少ないということは、事業をやるうえで困難が少ないということなので、そこですよと。シンガポールは都市がシンガポールなんでね、国名と首都は一緒なので、マレーシアはクアラルンプールですよ。タイはバンコクですと。だから、バンコク、クアラルンプール、シンガポールを狙うと。次にやるべきは、ジャカルタ、ホーチミン、マニラ。その後、またベトナムに戻ってハノイとかっていうね。
東:うんうん。
森辺:ハノイはやっぱり、3割ぐらいの市場でしょう?あそこは10としたときにね。
東:そうですね。
森辺:なので、都市というのはもう、これは考え方の話で、何か調べたりという話じゃないんですよね。もう決まっていますよと。あと、台湾。香港は今ちょっと微妙だし、韓国は日韓関係悪いので、ここの東アジアのところはなしだとすると、台湾というのはやりやすいよね。昔は香港もやりやすかったのね、ASEANよりもやりやすかったし。
東:そうですね。はいはい。
森辺:韓国もよかったよね。
東:うんうん。
森辺:あと、モンゴルとか、バングラデシュとか、インドとか、ああいうところは、ちょっと中小企業がやるにはまだまだハードルが高いので、いやいや、10年15年投資していくんですよと言うんだったらやったらいいですけど、なかなかそうはならないので、ちょっと難しいのかなと思うんだよね。
東:はいはい。
森辺:僕は、中国とASEANがお勧めだと思いますけどね。
東:うんうん…。
森辺:あと、狙うべきターゲット明確にしますよと。取りあえず、初年度、次年度ぐらい、初年度いろいろあっても、次年度ぐらいから億やっていきたいなとかという話であれば、この1億をどの顧客で構成するのかということをもう明確にするということがすごい重要で。このA社、B社、C社に売って1億つくりますとか、2億つくりますという話をもう出る前からちゃんと明確にしておくべきでね。よくあるのが、なんか出会いでパートナーを決めて、このパートナーだったら売れるんじゃないかと言って、パートナーが売ってくるところにものが売れて、結果として1,000万売れました、2,000売れましたみたいな。じゃあ、それを来年4,000万にしましょうみたいな積み上げ式の事業、戦略でも何でもないですよね。そうではなくて、この国の市場が100億の市場規模があるところの将来的には10億20億を狙うんですと。まずは5,000万やります。次年度1億やりますと言ったら、その1億を構成するターゲットがどこなのかということを明確にして。そのターゲットにリーチしているディストリビューターがどこなんだということを明確にしないといけないので、4番5番のこのターゲットとディストリビューターというのは一対なんですよ。ターゲットが明確になったうえでディストリビューターを決めるので。日本の中小企業って逆なんですよね。ディストリビューターを決めて、その人たちが売れるところはどこなの?って後付けになるとか。結果として売れなかったみたいな話が、結構多いわけじゃないですか。
東:はい。
森辺:なので、そんな順番でやっていくと。これ聞いても、なかなか頭では理解しても、これはできないので、最初はまあ、手取り足取りやってもらうのがいいと思うのでね。
東:(笑)分かりました。
森辺:連絡いただければ、東が行きますので。
東:(笑)
森辺:よろしくお願いします。
東:はい。じゃあ、ちょっとじゃあ、まとめていただければと思うんですけども。
森辺:中小企業のグローバル戦略というのは、大企業と同じ戦い方をすべきではないですよと。なぜならば、求めている金額が違うからと。大企業は数百億求めている、そうじゃないですよねと。求めているものが違うと、戦略も当然違ってきますよ。ポイントとしては調査をやり過ぎない。いくら儲かるのかという市場規模と、あと、どういう競合がいるのか、脅威がそこにあるのかという主要競合の調査、これぐらいにとどめておくことがいいでしょうと。基本的には出ない戦略を徹底
しましょうと、輸出でやりましょうと。10億やるんだったら輸出で十分です。出る必要はありません。攻めやすい国ではなくて、都市で選んでいきましょうね。狙うべきターゲットはしっかり明確にしましょう。そして、そのターゲットにリーチしているディストリビューターの選定に労力をかけましょうという、この5つですよね。
東:はい。
森辺:調査、出ない、都市、ターゲット、ディストリビューター、この5つがポイントだと思います。
東:分かりました。じゃあ、森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。