東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、今日は、皆さん結構テレワークのこういう、これを聞かれている、今までは電車で通勤の中、聞かれている方も多かったと思うんですけど、もう自宅で聞かれている方も多いと思うんですが、新聞の記事で服装に関して面白い記事があったと思うんですけど、社内で共有して、みんなで読んでいたんですが。
森辺:日経のやつだよね。
東:そうですね。ちょっと、どんな記事かというのと、森辺さん、それに対してどう感じるのかというのを、少しチャネル戦略とは外れたところにはなりますが、どうですかね?
森辺:いつだったっけな…。
東:何日か前ですね。
森辺:今日何日、この収録しているのが7月10日なんですけど、数日前だったと思うんですけど、日経新聞の朝刊にね、「テレワークの心得」というタイトルで新入社員に向けてテレワークの心得みたいなね。
東:はいはいはい。
森辺:あって、いろいろ書いてあるんですよ、メイクは何とかとかね。
東:うんうん。女性に対しては、ということで。(笑)
森辺:それで、僕がびっくりしたのが、「服装は出社時と同じ」って書いてあったのかな。なんか、あの新聞、間違ったことを言うと日経から怒られちゃうからな。ちゃんと言わないといけないんだけどね…。そうだね、「服装は出社時と同じ」って書いてあるね。
東:うんうん。
森辺:「テレビ会議での服装は出社時と同じ」って書いてあるんですよ。面白いな、これ…と思って見ていたんですけど。「何が面白いの?」って感じてるリスナーと、「うん、僕もそれ見ました、面白い!」と思っているリスナーと、たぶん2つに分かれるんじゃないかなと思ったんだけど。こんなことを言うのは、たぶん日本人と韓国人だけだと思うんだよね、テレワークのときの服装を気にするってね。
東:はいはい。
森辺:それで、言ったら、ワイシャツにネクタイ締めてテレワーク出てこいという話でしょう?
東:うーん、うん。
森辺:こういうことが日本企業のね、「ものづくり」をしている時代の80年代90年代、7、8、90年代にはこういう精神ってすごい重要だったんですよ。なんですけど、今ってこう、「ものづくり」じゃないじゃないですか。
東:はいはい。
森辺:「ことづくり」みたいな時代になってきているわけじゃないですか。その時代に、この合理的じゃないものというのが、こういうのがビジネスにやっぱり僕は大きく出ていると思うんだよね。テレワークでね、相手がワイシャツ着てネクタイ締めてないと、どうか思ってしまうというね。
東:(笑)はいはい。
森辺:この昭和な考え方、これを変えないと、日本企業のグローバル化なんて絶対うまくいかないですよ。こういうことを平然と新聞に書いてあるというのが、なんか面白いなと思って。
東:(笑)
森辺:これ、新入社員に向けての心得なんだけどね、いや、新入社員に向けての心得って、これはアメリカだったら絶対書かないと思うよね、新入社員だろうがね。中国でも書かないと思うんだよね。
東:そうでしょうね。
森辺:韓国だったら書きそうでしょう?
東:うん。あんまり新入社員というくくりが。
森辺:そうだね。
東:中国とかではないんですもんね、あまり。
森辺:うんうん。だから、こんなことでいいのか!?と思ってね。それで、結構、僕らもテレワークしていると、後ろにたんすが映ってるんだけど、家のね、なんだけど、ワイシャツにネクタイ締めて出てくださっている方とかもいらっしゃるじゃないですか。
東:はい。
森辺:だから、こっちだけTシャツで申し訳ないなという。(笑)
東:(笑)
森辺:ことは思いましたけど、いや、真面目だなと思って。この感覚がグローバルビジネスのじゃまになっていると思うんですよ、絶対に。
東:うん。
森辺:だって、こんな感覚、マイノリティなわけですよ。世界でそんな真面目なの、笑っちゃうわけじゃないですか、えーっ!?と言って。それ、そんな感覚を持っている人がビジネスをするわけだから、ものをつくるわけだから、当然現地に浸透するわけなんかなくてね。僕、こういうことをいろいろ感じるんでね、いつも考えるんだけど、やっぱり、精神論的なところが非常に大きくて、日本と韓国って。どういうことかと言うと、苦労しないと成功しちゃ駄目とか、下積みがないと上には行けないとか。合理的じゃないじゃないですか。
東:うんうん。
森辺:あと、勉強がしっかりできる学生は、自分の使った教室をきれいにするとか、あと、自分たちの給食を自分たちで用意するとか、なんかそういう精神論的なやつ。僕も好きなんですよ、そういうのね。なので、誤解なきように言うと、好きなんだけども、世界でこれをやっていると勝てないですよね。給食を配膳する人はプロフェッショナルな給食を配膳する仕事の人が世界の学校ではやるし、教室の掃除をするのは、用務員のおじさんが掃除をするんですよ。それを学生がやるから、IQが上がるとか、EQが上がるということは、合理的じゃないわけじゃないですか。ないわけでね。でも、日本ってそうなっていますでしょう?
東:はい。
森辺:だから、そういうところを変えていかないと、「テレワークの心得」って言っちゃうところが、もう、ちょっと…。そんなものに心得もクソもあるか!という話なんだよね。(笑)
東:(笑)はいはい。
森辺:それをね、新入社員が言われないとできないんだとすると、もう、日本の学校教育って終わっていますよねという話なんですよ。それに、企業が投資をしないといけない。絶対、僕だったらしないです、そんなの。だって、新入社員入れてきてお給料を払っているのに、そんなことまで教えないといけないでしょう?
東:はい。
森辺:そんな社員要らないよという話になっちゃうわけだから、やっぱりそこを変えていかないと、なんか、駄目なんじゃないかなということをすごく思っちゃったんですよね。
東:分かりました。
森辺:駄目ですか?
東:(笑)
森辺:性格悪いですか、東さん?
東:(笑)どうなんでしょうね。でも、企業はそういうお達しを出しているということですもんね。日経さんが取り上げるということは、そういう事例があって、企業がそういうお達しを出しているので、それに従わざるを得ないみたいな流れはあるわけですよね。
森辺:うん。
東:逆に、グローバルに出ていくときに、森辺さんから見ると、それじゃ駄目だなというのは、どういうところに影響がある、ピンとくる方はくると思うんですよね。ただ、そうは言われても、今、実際こうだし、それに従わざるを得ない状況の方も、リスナーさんもいらっしゃると思うし、日本企業はだいたいそうだと思うんですけど。そこのギャップがどこ、どういうところにあるのかなというのは、何となくでも構わないんですけど。
森辺:まず、海外の会社とオンライン会議をする時点で間違っちゃうじゃないですか。
東:はいはい。
森辺:そんな心得よりも、この会議、1時間の会議でどういう結論を出すの?というね、何を決めるの?ということのほうが、たぶん圧倒的に重要で、どういう服装を着て、その会議のモニターに自分を映し出すかなんていうことは、たぶんどうでもよくて、その会議でどういう結論を出すんだとか、向こうにどういう条件を飲まさせるんだということのほうが圧倒的に重要だから、テレワークの心得って一体何よ?というのが、僕の最初の印象だったので。
東:(笑)はいはい。
森辺:そこに心得って言わなきゃいけない新入社員が働いている、それが成長して、働いている会社がグローバルで勝てるわけない。そんなこと思ってないから、向こうはね。日本の企業とレワークするのに、僕、ちょっと何着ようかな…と言って、心得を新聞に教えてもらってという人が、テレビの会議に出てこないから。だから、やっぱり、そこにまず影響してくるし、交渉の時点でなめられるでしょう?
東:うーん。
森辺:なので、本当にティピカル・ジャパニーズ・サラリーマンというか、そういう話になっちゃうと思うんだよね。だから、そんなのに心得は必要ありませんと。そんな枝葉の話でね、そこがちゃんとしてなかったらビジネスができないなんていうのはもう、これは間違った常識なんですよ。誰が教え込んだのか分からないんだけども、服装がきっちりしていないと、髪型がきっちりしていないと、仕事ができないとかって、まあ、関係なくて、そこじゃないよねという。もちろん、アメリカだって面白くて、いや、そうは言ってもドレスコードがしっかりしていたりとかというのはあるわけだから、もう明確に、こういうパーティーに参加するときはドレスコードをこうしてくださいとか、こういう施設に入るときはドレスコードをこうしてくださいというのは、もう明確にあるんですね。日本よりも厳しくて。そういうところは厳しいと。ただ、普段はどうでもいいよ、短パン、サンダルでいいですよみたいなね。こういう切り分けというんですかね。
東:メリハリがあるという。
森辺:メリハリはあるんだけども。日本の場合、それが、えー、そこかというね。何て言ったらいいのかな、この間、道を歩いていたら…。もう時間?ちょっと一回やめようか。
東:そうですね。
森辺:時間だね。
東:ちょっと時間が来たので、今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。