東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回に引き続き、ちょっとB2Bのお話なんですけど。中国…、中国企業が成長著しく、20年間で劇的に変わったと。それで、日本企業がなかなかそれを、そこに手を打ち切れていないというのが、たぶん印象だと思うんですが、ガラッと競争環境が、中国企業は本当にもう、対等のライバルになっているとか、競合になっているというのが、たぶん森辺さんの印象であり、われわれの印象だと思うんですけど。それって、日本の企業がそういう認識に今なっているのか、まだまだちょっとそうはなっていないのかで言ったら、どういう印象ですかね?
森辺:まあ、なってないよね。
東:うーん。
森辺:だって、今、アメリカにバッシングされているけど、ファーウェイとか、あんな会社が中国で生まれるなんて、想像できなかったですからね。
東:そうですね。
森辺:ファーウェイなんて、もう本当ダサい、ダサいところをいっぱいあれしてたけど、いつぐらいかな、空港で「HUAWEI」と書いてあって。
東:オリンピック頃だったですね。
森辺:かっこいいな。オリンピックぐらいかな。
東:そうですね。
森辺:何、このメーカー、かっこいい!とか思いだしちゃって。それで一気にでしょう?
東:はい。
森辺:Appleよりも携帯の出荷台数超えているし、5Gの基地局をつくるのにファーウェイが重要で、情報が共産党に漏れるからと言って、アメリカはギャーギャー、ギャーギャー言ってるけど。これも実際、われわれレベルの、民間レベルから言ったら、本当にどこまでがどうなのかというのは分からないよね、これ、もう政治的な駆け引きをしているし、大統領、トランプになっちゃったし、オバマさんが大統領のときにこういうことをやっているんだったら、まだ信頼性があるんだけど、トランプがやると。
東:(笑)
森辺:なんか、言いがかりじゃないかと思っちゃうし。
東:(笑)うん。
森辺:一方で、中国共産党ならやりかねないなとも思うし。だから、何が真実か見えてこないので、注視していかないといけないけども。
東:はい。
森辺:そうだよね、だから、分かっていないと思いますよ、日本のお偉いさんはね。分かりたくもないと思うの。
東:そうでしょうね。
森辺:やっとの思いで取締役になって、社長まで上り詰めて、あと5年任期を全うすれば、4年任期を全うすれば、その後、会長で年金もらってってなるのに、そんな余計なところに手を出さないと思うね。
東:うん。
森辺:内部留保もあるし、まだ余裕あると。僕が会長終わるまではって、僕だったら思うよね。
東:(笑)
森辺:だから、分かっていないし、分かりたくもないというところだと思うんだよね。
東:はい。
森辺:なんだけど、でもね、それをやっぱり変えようとしている会社もあるのも事実で。僕、産経の企画で、対談シリーズで「グローバルの流儀」でいろんな会社の社長さんとお会いしてきたじゃない?
東:うん。
森辺:その中で、やっぱり、そういう社長さんはいっぱいいたので、リコーの山下社長もそうだったし、ミネベアミツミの貝沼社長もそうだったし、そういった社長はもうそういうことは分かっているし、見ようとしているし、見ているし、変えようと戦い続けているというのは、すごく対談でも感じたので、そういう社長も少数ながらいますということなんだと思うんですよね。
東:はい。そうすると、B2Bの企業さんが競争環境がガラッと、今までは日系もしくは欧米企業だけが競合だったのが、そこに中国メーカーが加わってきて、下手したらインドメーカー、インドとかそういう新興国、ほかの新興国も台頭してくる可能性がある中で、世界シェアを上げるという意味で言うと、どう戦っていけばいいのかというのは、森辺さんなりに何か?
森辺:1つは、1P戦略はやっぱりもうやめないといけなくて。今までって日本企業のものがすごくよかった、というか、日本企業しかつくれていなかったから、それが必要な産業にはそれが求められたというのが今までの、過去だと思うんですよね。競争環境が全く変わっていて、競争なんてなかったんですよ。日本国内のA社とB社が競争しているというだけの話で、別にグローバルな競争環境なんてほぼほぼなかったわけですよね。あと、欧米という競争環境はあったけど、それ、値段は別に、決して安くないし、むしろ日本企業よりも高かったわけで、日本のB2Bの産業の発展の最大のポイントって、欧米よりも安く小さくよくつくれたということじゃないですか。
東:はい。
森辺:そうすると、欧米って、そういう意味ではそんなに脅威ではなかった。今の中国の脅威って、日本のものよりも安く小さく、何ならよくつくれているというのが日本企業にとって脅威になっているわけですね。欧米はその後、例えば、「物売りから事売り」という言葉が一時期流行りましたけど、サービスのほうにビジネスモデルを変えていったりとか、IoTに転換していったりとか、ソフトウェアに変えていったりとか、ブランド力を前面に押し出した戦略に変わっていったわけじゃないですか。けど、日本企業はひたすら、いや、じゃあ、もっといい技術、もっといい技術とやり続けていて今、というところで。そのもっと技術がなかなか世界に評価されないという。これを変えるには、やっぱりマーケティング戦略を今一度しっかり持つということが必要で。特に、具体的に言うと、チャネル1つ取ったって、めちゃめちゃ弱いんです、日本のB2Bのチャネル。だって、今まで黙っていても売れたんだから、黙っていても売れるようなディストリビューションしかなかったわけですよ。そこをちょっといじるだけでも、劇的にシェアも変わるし、売上も変わるから、やれることって実はいっぱいあって、ただ、早くやらないともう間に合わないですよ、というのが状況なんじゃないかなというふうに思うんですよね。だから、結構、B2Bの企業さんのお問合せって、「うちの今のタイの事業ってどうなの?実態を可視化したい」という。要は、客観的に見たいんですと。「インドネシアの事業どう?」「中国の事業どう?」「ベトナムの事業どう?」と、そういう依頼が多いわけじゃないですか。客観視をしたいということと、もう1つが、「じゃあ、競合A社B社C社はどうなんですか?それと比較したときにうちってどうなんですか?」という依頼が、たぶん9割方ですよね。そこが分かると、自分たちの基準値が持てるので、「基準値が低いから上げましょう」とか、「基準値が高いからここはこのままにしておきましょう」ということが分かっていくわけなんですけど、そこをやっぱりやっていかないといけないというのは1つありますよね。これはB2Cでも一緒なんですけどね。ただ、B2Bは特に。B2Bは金額も大きいですから、ちょっと変えちゃうと改善がすごく顕著に見れる、というのは1つあるのかなという気がしますけどね。
東:分かりました。今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。