東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、今日は、最近、今年…、去年末ぐらいからですかね、ご相談が多いのが「コロナの前でもいろいろな要因があって売上がちょっと下がっているのだけども、なぜ下がっているか分からないから、特に海外で、ちょっと調査してほしい」みたいなご相談が多いじゃないですか。結構、これはもう業界かかわらず、いろいろなB2C、B2B、あまりかかわらずいろいろなお客さんからご相談だったり、お声掛けをいただくことが多いんですけども、その原因って具体的にどういったことがあるのか。リスナーの皆さんも同じような状況に、特にコロナ禍で陥っている方も多いと思うのでそういう意味合いでも、一般論として森辺さんなりの考え方を教えていただければと思うんですけれども。
森辺:それは、言っている意味は、コロナももちろん影響あるんだけども、コロナ云々の前から、基本的に売上が落ちて困っていますというご相談が来ると、東さんのところにね。それは来るんだけども、結局落ちている原因が何だかよく分かっていないということがあるから聞いてくるという話だよね?
東:そうですね。はい。
森辺:このコロナ禍になって、皆さん、海外に出張が物理的にできなくなっているので、余計その要因を今、何だろう…。
東:掴みにくくなっているみたいな感じがあるみたいですね。
森辺:うん。余計にそこに時間を費やす傾向が強いよね。うまくいかなかったことを、何となく認識しながら走り続けてきたというのが今までで、コロナ禍になって、物理的に向こうに行けないので、「いやいや、問題をもう少ししっかり直視しよう」みたいな動きは確かにあって。そのせいで問い合わせが増えているという、それは事実そうだと思うんですよね。その中で、1つやっぱり大きな要因としてあるのが、この番組でも再三言ってきたかもしれないですけど、日本のプリンシパル、メーカー側が売るということをディストリビューター任せにずっとしてきちゃっているということがすごくあって。だから、実際にどの、B2Bだったらエンドユーザーに商品が流れているのか、どのインダストリーのどのエンドユーザーに流れているのか、とかが分かっていない。どういう用途で自分たちのパーツや部品が使われているのかということも分かっていなかったりするケースもひどいときはあって、それを「ディストリビューターに聞いても教えてくれません」みたいなことを平気な顔して言うお客さんだっているでしょう?
東:うんうん。
森辺:教えてくれないんだとすると、それは何のための販売店契約をしているんですかという、パートナーじゃないじゃないですか。一緒に取り組んでいこうという話なので、顧客を開示しないって、だいぶ離れたパートナーな雰囲気がやっぱりあるわけなので。できれば、顧客情報を共有していくような関係の販売店じゃないと、お互い長くは付き合えないですよね。ディストリビューター側も「メーカーが直販し始めたらどうしよう」って怯えながら。メーカー側も「あいつらどこに売っているんだろう?」みたいな、そんな関係は不自然なので。基本的にはやっぱりお互い情報共有しながらやっていくわけなのでね。なので、そういうケースも多いですと。これはB2Cでもそうですよね。だから、実際に小売に来なくていいと、メーカーが来るとややこしいことになるし、ややこしいお願いを小売からされるから来なくていいと。ぶっちゃけ、事実としてそういう一面もあるんだけども、あまりにも顧客を知らなさ過ぎるという。これはやっぱりメーカーが悪いですよね。だって、ディストリビューターが「来なくていい」と言うのもよく分かるんですよ。だって、何のマーケットのことも分かってない。ただ、いい人の日本人が、小売に行ったら、いいように言われて、飲む必要のない要求を飲まされちゃうだろうなというのをディストリビューターは当然思うわけですよね。だから、そういうのも分かるし。逆に、B2Bでエンドユーザーを教えてくれないって、「直販し始めたらどうしよう?」とかっていうことを思っているから教えてくれないって、これもやっぱりメーカー側の協力度合いが過去10年20年にわたって薄かったから、そこまでの信頼関係しか築けてないということだと思うので、メーカーが悪いと思うんですよね…。
東:うーん…。
森辺:そういう話じゃなかった?
東:(笑)
森辺:何を答えろって言われたんだっけ?(笑)
東:それって、じゃあ、メーカーが悪いとして。メーカー側としてはどうしたらいいのかみたいなのってあるんですかね?
森辺:やっぱりそれはマーケティング全体に介在していかないと駄目だということが1つで。自分たちの商品がどういう中間流通を通じて、どういう、B2Bならユーザーに、B2Cなら小売に、さらに言ったら消費者に買われているのかというのを常に知っていないといけないんですよね。
東:はい、はい。
森辺:日本だと、絶対当たり前にそれをやっているじゃないですか。なんで国境を超えたらやらないんですか?というのがそもそも不自然なので、やっぱりそれをやる仕組みをつくっていくということをしないと、どこかでおかしくなってしまいますよね。
東:なるほど。そうすると、日本でやっていることを海外、海を越えてもきちんとやれる体制を、人をできるだけかけずにやるということが必要だということなんですかね?
森辺:そうですね。「基本的に日本でやっていることを、なんで国境を超えたらやらないんですか?」って、実はよくよく考えると非常に不自然なんだけども、国境を超えると、なんか、やらなくていいんじゃないかという錯覚にたぶん陥ってしまって、「だって、国境の先のことはよく分からないから、ディストリビューターに基本お願いでお任せでいいんじゃないの?」という傾向がやっぱり強いですよね。そこを変えていくと、もともと持っているものがいいわけじゃないですか、日本って。
東:はい、はい。
森辺:だから、そこは日本企業が変えるべき1つの非常に重要なポイントなんだと思うんですよね。
東:それで介在度合いを徐々に上げていくということが、いきなりたぶんすべてを開示してくれるわけじゃないと思うんですけども、やっぱり徐々にそれを、介在度合いを上げていって、情報を開示してもらうという関係性に持っていかないと、なかなかうまくいかないですね。
森辺:そうですね。それを変えるときに、いきなり変えようとするわけです。今までもう、うだうだでやってきたのに、いきなり「はい、きっちり管理します!」みたいなね、「ちょっと待ってくれよ」という話じゃない?
東:うんうん。
森辺:しかも、マーケットのこともそんなに知らないのに、大した調査費用もかけないで、調査もいていないわけだから、競合のことや市場のこともよく分かっていないのに、いきなり「全部開示してきっちりやっていきましょう」みたいな話をすると、余計向こうのあれを荒立てることになるので、そういう改革って3年とかかかりますよ。徐々にやっていく。このときに重要なのが、3年間のスケジュールをつくることですよね。3年間でどうやって変えていくかという。もう、時間だよね。それをやっぱりきっちりやって、急激に変えちゃ駄目だと。
東:分かりました。森辺さん、今日は時間が来たのでここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。