東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回の続きで、ちょっとインバウンド系に少し偏ってしまったんですけども。今後のグローバル展開、戦略と言うのか、マーケティングと言うのか、何と言ったらいいか分からないですけど、それを考えていくうえで、一極集中ではなくて、やっぱり分散をある程度させるべきだと。インバウンドだけじゃなくて、やはり海外に根付かせなきゃいけないということをおっしゃっていたと思うんですけど、もう少しまとめて分かりやすくお伺いしたいんですが。
森辺:そうですね。まず1つ言えるのが、われわれ今回のコロナを機に1つ分かったことは、鎖国をしていたのでは経済活動がいわゆる上がっていかないということはもう証明されたので、われわれは繋がっているんですと、コネクテッドされているんですと。なので、国内だけやっているということではビジネスは大きくなっていかないですよと。もちろん、中小企業は出ないほうがいいというケースはあるものの、基本的に大手に関しては、グローバル化は推進していかないといけないというのは1つですと。これ、コロナもそうなんだけども、もともと「チャイナ・プラスワン」とかというのは日本で生まれた言葉ですけど、中国だけのリスクじゃあれだからASEANに工場移転、みたいな話がありましたけども。特に、パンデミックということを今後考えていくと、やっぱり距離的に離れているところにもう1つ分散させていくという。これ、上海に出して、北京に出して、これで分散と、こうはならないので、中国は中国、ASEANはASEANって考えていくということはたぶん重要で。もう1つあるのが、米中関係の悪化がものすごいじゃない、最近?
東:そうですね。
森辺:これも非常に厄介で、どうなるか分からないし、中国の関税のアメリカとのやり合いで、ものすごく打撃を受けているメーカーだってたくさんあるわけなので、そういう意味でも、たぶん、向こう10年ぐらいって、いろいろなことを分散させていくということと、いろいろなことをグローバル化させていくということは、企業活動にとってたぶんすごい重要なことなんだと思うんだよね。だから、「タイとインドネシアとフィリピンと全部やらなきゃ」とかということではなくて、ASEANの中で、「じゃあ、ここをやる」と、そこはASEANの中で1点集中したらいいと思うんです。それはASEANで3カ国同時にやったら経営資源3分割されてしまうので、これは大変なので、ASEANはASEANで一点突破すると。中国も中国で一点突破すると。ただ、物理的な大陸間の距離をしっかりあけて展開をしていかないと駄目ですよということですよね。大手は、見た目はグローバルにやっているんだけども、そのバランスが7:3とかで中国を向いていたり、7:3でタイを向いていたりとかするわけじゃないですか。
東:はい。
森辺:それをやっぱり少し分散させていかないと駄目なんじゃないかなというのは感じますよね。
東:そうですね。今回も起きて、今まで想像もし得なかったことが起こるということが1つ教訓としてあると思うんですけど、今後も何が起こるか分からないと考えると、やっぱりそういった分散投資ということを少し頭に入れながらグローバル展開をしていかないといけないということなんですかね?
森辺:いやもう、そうだと思いますよ。想像しなかったことが10年に1回起きるんだなと、僕もね、4回目でやっと分かったんですけど。
東:うーん。
森辺:最初が9.11あったじゃないですか、アメリカのね。「うわっ、何が起きたんだ!?」と思ってびっくりして。
東:そうですね。
森辺:その前、関西の大震災があったでしょう?
東:大震災もありましたね。
森辺:その後、9.11があって、その後、リーマンショックがあって、関東の震災があったでしょう?東北の。
東:東北ですね。
森辺:震災があって、今回じゃないですか。
東:はい。
森辺:だから、5回ぐらいあるわけで。どれも僕は想像しなかったし、えらいことになったなと思ったんでね。だから、やっぱりそういうことは起こり得るんだなということですよね。よくよく考えていると、われわれちょっと鈍感になってきちゃったのかもしれないけど、中国ビジネスももう20年近くやっていて、今までいろいろなことが起きて、最近、日中関係いいけども、散々反日とかがあったわけじゃないですか。
東:そうですね。はい。
森辺:ビジネスしていても、韓国で反日感情がこれだけ膨れ上がるなんていうことは、今まで何回かあったけど、過去最高に膨れ上がっていますよね。
東:そうですね。
森辺:そういうことが起きたりとかね、やっぱりしているわけなので。
東:香港とかの件もですね。
森辺:そうそう。香港なんて、あそこまで中国が固執するとは思わなかったのでね、香港にね。もうちょっと自由にやらせるんだろうなと思っていたのに、あれで香港のイメージ台無しでしょう? 大打撃だよね、香港はね。
東:まあまあ、そうですね。プラスコロナで人が来れないので。
森辺:ダブルパンチだよね。
東:そうですよね。
森辺:だから、そういうことが起こり得るという。なので、改めて、グローバル展開するときのカントリーリスクとか、マクロの意味でのリスクというものをわれわれは今まであまり見てこなかったんだけども、それもやっぱり危機管理の1つとしてしっかり見ていかないといけないというのは正しいことなんでしょうね。
東:うんうん。分かりました。では、簡単にまとめていただくと。
森辺:はい。グローバル化の波が止まらないという。世界中のどの国も鎖国をした状態では経済がままならないということは今回証明されているので、われわれはグローバル化をしていかないといけない。世界はつながっているんですと。人とものとお金と情報が、世界中の大陸間を移動することによって、世界経済というのは支えられているので、グローバル化は止まりませんよ、ということは今回分かったことの1つと。それと、あと、やっぱり1点集中をするということは非常にグローバル展開としては怖い。特に大手になってくればなってくるほど、そのリスクは大陸間で分散させるということをしないといけなくて。目安としてはやっぱり株式市場があるわけじゃない?
東:はい。
森辺:アメリカとヨーロッパと日本と中国とASEANと。そういう…、オーストラリアもありますけど、大陸間で見ていって分散をしっかりしていくということは、やっぱり今まで以上にやらないといけない。表向き、分散しているように見えても、実は中身ね、もう本当に中国集中だったり、米国集中だったなんていう企業はたくさんあるので、そこはやっぱり分散していかないといけないんじゃないかなというふうに思います。
東:分かりました。森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。