東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:前回、ベトナムについてお聞きしたんですが、今回も引き続きというかたちで。ディストリビューターのディストリビューション・ネットワークをどうしたらいいのかというお話なんですが。「ステージにもよる」という話だったんですが、その辺から振り返って、リスナーの皆さんにもう1度お願いできればと思うんですけど。
森辺:例えば、輸出でまだやっているようなステージと、現産現販しているステージって、2つあると思うんです、大きく分けてね。
東:はい。
森辺:輸出でやっているのに、これ北と南と、ダナンと分けて複数のディストリビューターを管理して育成していくんだみたいなのって、言ったらだいぶハードルが高いじゃないですか。なおかつ輸出という時点でもう商品が高めであるということはたぶん想定できるので。そうすると、ターゲットもある程度絞られてくる。そうすると、量としても、物量としてもそんなに多くない。というと、3つにディストリビューターを分けたら、ディストリビューターの売上も3つになるので。
東:3分割されちゃうということですね。
森辺:3分割されちゃうので、ディストリビューターにとっての重要度も3分割になっちゃうみたいな。そうすると、やっぱり輸出のステージでやっているところは1社にフォーカスしてやるというのがいいんじゃないかな、というふうに思うんですよ。なおかつ、かなり突っ込んでディストリビューターと関係構築していかないといけないので。そういう意味でも、1社でやっていって。ただ、一般的に言われているのは、南のディストリビューターは北で使えないし、北のディストリビューターは南で使えないみたいな。消費財で言うと分かりやすいのが、北のプータイ、南のメサとか言われるんだけども、メサとプータイというのはディストリビューターなんですけど。ベトナムのB2CのFMCGの大手のディストリビューターなんですけど。そういうふうに言われるように、どちらもP&Gが育てたディストリビューターなんですけどね。P&Gは南をプータイにやらせることはしなかったし、北をメサにやらせることもしなかったと。これから見ても、あのP&Gがそうしなかったわけだから、それを日本企業がなんでできるの?と考えると、たぶん非常に分かりやすいのかなと思うんですけどね。
東:北と南が共存しないというのは、やっぱり距離的な問題が物理的にあるからということなんでしょうか?
森辺:そうですね。まず1つは距離があって、どれぐらい距離があるのかと言ったら1,600~1,700キロぐらい直線距離でありますよ、というのが1つと。あと、もともと南北戦争って、北と南が戦っていたわけですよね。
東:そうですね。
森辺:それで北が勝ったという。それもまだ…どれぐらい経ったの? 100年経ってないでしょう? 70年経ってないでしょう?
東:うんうん。
森辺:50~60年ぐらい?
東:そうですね。
森辺:そんな中で、やっぱり北のほうが偉いんですよね、基本的にはね。なので、全土の南の役人も、いわゆる公的な機関のお偉いさんは全部北出身の人。
東:そうですね。
森辺:そうなってくると、北のパワーは南でも影響力があるけども、南のお金持ちは北ではパワーを失うみたいな問題が結構まだまだ顕著に残っていて。日本でもそうですよね。東京と大阪でつい何十年か前戦争していてね、大阪の人が東京へ来たら、めちゃめちゃ差別だよね。
東:(笑)
森辺:差別まではされないかもしれないけど、今のベトナムね。でも、そういうことがやっぱりあって。「本当なの?」って僕もいろんなベトナム人と話しましたけどね、「いや、本当だ」と言っていますからね、本当だと思いますよ。差別されたことがないので、僕は分からないですけど。
東:(笑)なるほど。そういった歴史背景もじゃあ…。
森辺:あると。
東:非常に根深く残っていると。
森辺:根深く残っていると。なので、また街も違いますよね、北の街と南の街ってね。
東:森辺さんが受けるハノイとホーチミンの印象って、それぞれどんな感じですか?
森辺:いや、ハノイもだいぶよくなったけども、ちょっと前までは昔の北京みたいな、20年前の北京って北朝鮮みたいだったでしょう?
東:はいはい。ちょっと、ここはもう…。(笑)
森辺:(笑)いや、でも、本当にそう。20年前は僕、北京、25年ぐらい前に北京に初めて行ったときに、「うわっ、共産国ってこういう感じなんだな」というのをすごい感じて。それが、今では世界を代表する先進的な都市に変わっていっているわけだけども、やっぱりハノイもそういう感じしましたもんね、20年ぐらい前とかね。だから、やっぱりそういう感じがしますよね。ちょっとこう…。
東:ホーチミンはどうですか?
森辺:ホーチミンは、僕ね、実はASEANの中で一番好きかもしれないと思っていて。ホーチミンの人に「ホーチミンいいよ」と言われて、「どこがいいんだよ…」とずっと思っていたんですよ、10年ぐらい前までは。「タイのほうがいいよ」とか、「バンコクのほうが。シンガポールが一番でしょう、先進的だし」と思っていたんですけど。ホーチミンのあの川のほとりでのんびりとした流れる時間、その後ろではバイクがうるさく走っている感じ、「ホーチミン、結構いいな」というね。夜は電力が足りてなくて薄暗いあの街。
東:はいはい。(笑)
森辺:なかなかいいなと思うんですよね。だから、ホーチミンいいんじゃないですかね。そんな話は聞いてないって!(笑)
東:話からちょっと逸れてしまいましたが、じゃあ、ちょっと最終的に。一般論にはなると思うんですけども、輸出をたぶん前提とした企業さんはどうしたらいいのかっていうところで言うと?
森辺:B2C?
東:はい。
森辺:B2Cは、輸出はASEANの中でも、基本的にはベトナムはやっぱり輸出をすると関税が乗って値段が高くなるということになります。高くなるということは、TT、GT、やれないよということなんですね。高いので売れませんと。そうすると、残る市場はMTになってくるので、そんなにアマウントがほかの国に比べると出ませんよというのが1つあるんじゃないかな。なので、本当に今やるべきなのか?ということは考えないといけないというのは、輸出の場合はね。ただ、一方で今やっておかないと、将来の大きな富はないので、そういうことを含めても中長期で戦略的に見て考えたほうがいいということと。どこかでやっぱりベトナム産品なのか、ASEAN産品なのか、中国からの輸入品なのか、そういう、TT、GTで儲けるような商品をどこかの時点で考えておかないといけないと思いますけどもね。
東:分かりました。今日はありがとうございました。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。