東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、今日は、いつも結構アジア圏が多いんですけれども。
森辺:ASEANがね。
東:ASEANが多い。われわれとしては、意外とインドとかバングラデシュみたいな案件もあるじゃないですか。なかなか馴染みがない。特にバングラデシュなんかは、聞いたことはあるあけれども、たぶんほとんどの方が、リスナーさんは行ったことがないという方が多いと思うんですけど、その辺を紹介できたらなと。どちらかと言うと、イメージとか、どういう国なのかとか、森辺さんの、どちらかと言うと印象を最初に教えていただければと思っておりまして。
森辺:バングラデシュはアジアの中で最貧国と言われている国なんですよね、非常に貧しい国で。たぶん皆さん…、すごい親日の国なんですよ、たぶん記憶に新しいのは、バングラデシュで何年か前にISISが、すごい今COVID-19が、コロナウイルスが猛威をふるっているけど、一時期ISISが猛威をふるうじゃないけど、世界的にあれだった時期があったでしょう?
東:はい。
森辺:あのときにダッカのレストランで人質取られて日本人が亡くなったというニュースがあって、あのときにバングラデシュというのが出てきて、怖い国みたいなイメージがついちゃったかもしれないんだけど。実は非常に良い国で、温厚な国で、親日の人が非常に多くて、国旗を、たぶん見たことある人も多くて、「これ、バングラデシュの国旗なんだ」とたぶんみんな思うと思うんだけど、緑に日の丸、日本は白に日の丸でしょう?
東:そうですね。
森辺:あれもただ似ているのかなと思ったら、やっぱり何やら日本への尊敬からああいう国旗になったという、そういうあれがあって、非常に親日の国で。日本もジャイカなんかを中心にODAが結構盛んにされていて、今流行りの社会貢献ビジネスというのかな、ソーシャル・ビジネス、ソーシャル・イノベーションみたいなところでもすごく注目されていて。もう10年ぐらい前から、出雲さん、ユーグレナの出雲さんなんかは非常に注目をしている国で、ユーグレナさんは向こうでミドリムシの入った栄養食品を配ったりしていて、いわゆる貧しい子たちに対する栄養補助食品というのかな、そういうことをやっていて。だから、マーケットとしては、今すぐ、すぐすぐ大きい市場かと言うと、そうではなくて、むしろソーシャル・ビジネスを考えたり、あと、リバース・イノベーションって、聞きながら皆さんググってもらったらいいと思うんだけども、イノベーションって先進国でずっと起きてきたというのが歴史としてあるんだけども、実は後進国の中でできたものが新興国にリバースしていくというイノベーションも世の中にはたくさんあって、そういうリバース・イノベーションを生み出すための地域でもあって。マイクロファイナンスってたぶん聞いたことあると思うんだけども、ユヌス先生って有名なバングラデシュ出身のノーベル平和賞を獲った先生が元々はあれだったんだけど、いわゆるマイクロファイナンスって、今までお金のない人にお金貸したって意味がないというのがわれわれ先進国の考え方だったと思うんだけど、実はそうじゃなくて、いわゆる小口ローン、少額ローンをたくさんの人にやっていくことも十分ビジネスになり得るんだよみたいな。これ、いつも話しているFMCGの業界の伝統小売のロジック、伝統小売なんか儲からないよ、MTだよ、近代小売だよ、大量に売らなきゃと言うんだけど、伝統小売も何万、何十万になったらむしろ伝統小売のほうが利益率いいじゃない?という世界でしょう。MTよりもTTのほうが圧倒的に利益率いいよね。それと一緒で大口のファイナンス、お金のある人にお金を貸して、その人がもっと稼いでお金を金利を返してもらうという、そういうものじゃなくて、小さい単位でたくさんの人に貸すという。だって、金利ってお金持ちにお金を貸したり、たくさん貸すから高い金利を取れるかと言ったらそうじゃないじゃないですか。
東:そうですね。
森辺:むしろ。
東:たくさん貸したら安くなりますね。(笑)
森辺:金利は安くなるわけだからね。だから、実はマイクロファイナンスでそう考えると全然ありで。あれ面白いのは、ただお金を貸すだけじゃなくて、どうやってそのお金を使って商売をするかということまで同時に教育をしているんですよね。それによってマイクロファイナンスというものを世の中に知らしめたのがまさにバングラデシュでしょう。グラミン銀行だよね、バングラデシュのね。それは今、アフリカでもマイクロファイナンスというのは非常に有効な手段として使われているし、今はそれがIoTとかの世界になってきているから、もっとデジタルになって、いわゆるデジタル決済みたいなことができるようになったんだけども。そういうことがまさにリバース・イノベーション、これは先進国では絶対起こらない発想でしょう?
東:そうですね。
森辺:だから、そういうことが起きていて。例えば、プリペイドの携帯、あれも先進国じゃ絶対起こらないので。先進国の携帯というのは基本的には毎月固定で基本料金が決まっていて、プラス通話料とか、そういう話だけども。プリペイドでいちいちやっていたら面倒臭いから、日本だとプリペイドなんて誰も使っていないでしょう?
東:そうですね。
森辺:プリペイド使っている人いたらびっくりするよね。犯罪者か何かでしょう、プリペイド使うというのはね。
東:イメージ、イメージとして。(笑)
森辺:なんだけど、新興国に行ったらみんなプリペイドでしょう。だって、毎月基本料金なんか払いたくないし。
東:そうですね。
森辺:今月はこれぐらいしか使わないかもしれない。そのためにお金をたくさんなんていうのは無理だから。あと、家もない人もいれば、住所のない人もいるわけよ。そもそも銀行口座を持ってなかったら、クレジットカードを持っていなかったら、月額で引く、お金を引くなんてできないから、そういう発想でプリペイドってできたんだけど。そのプリペイドのお金で爆発的に新興国でも携帯電話は普及したと言われていて。なので、プリペイドがなかったら携帯電話はここまで爆発的な普及はしていなかった。今、どの国へ行っても、アフリカのマサイ族でも携帯持っているからね。
東:確かに!(笑)
森辺:僕、マサイの村に行ったけど、「おい、携帯持ってんのか?」と、「スマホじゃないけどね」と言われて、「でも、今年中にスマホ買うよ」と言っていて。
東:(笑)はい。
森辺:スマホふうのガラケイってあるんだよね。それを持っていましたけど。
東:へえー!
森辺:マサイの衣装着て、すごいよ!
東:衝撃的ですね。(笑)
森辺:衝撃的だった。すごいなと思って、「電波通じてるの?」と言ったら、「村の端のほうへ行けば通じる」とか言ってたけど、「村の真ん中は通じない」とか言って。「でも、村長が村に電波を引っ張ってくるように今動いているからどうだこうだ。来年には電波が通るんじゃないか」とかってすごい説明してたけど。
東:(笑)結構、先進的ですね。
森辺:うん。だから、それぐらいやっぱりコネクテッドしたいという気持ちが強いから。バングラデシュというのはまさにそういうことが始まる地域ですよね。
東:日本企業とかだとどういったところ…。ユニクロとかはグラミン銀行とやっていたりしますよね。
森辺:そうそう。グラミンユニクロだっけ、ユニクログラミンだっけ?ユニクログラミンじゃない、グラミンユニクロかな、事業をやっているし、生産工場もあるし、あと、そうそう、忘れていた、アパレルの生産工場は非常に有名でH&MとかZARAとかの工場も確か、僕、いろいろ調べたことが過去にありましたけど、生産工場はたくさんある。中国よりも全然安いコストでつくれるというので、そういう労的産業、そういったものが結構出ているんじゃないかな。だから、日本で有名な、バングラデシュで言うとユニクロ、それからユーグレナ、あとどこかあったっけな…。
東:ロートさんなんかも出ていたり。
森辺:ロートはどこでも出てる、早いもんね。
東:そうですね。
森辺:ロートさんはもう本当にどこでも早い。ガッツだね。ロートも、どこだっけな、タンザニアに行ったときに、たまたまロートさんがイベントで営業していて。
東:えーっ!?
森辺:すごい会社だな、ロートってと思って。
東:そんなところにも?
森辺:うん。タンザニアにもいたからね。そうですね、そんな感じですかね。
東:分かりました。だいぶ話が膨らんできていたのでもう1回、次回も引き続きバングラデシュの話をお伺いできればと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。