東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回の放送からバングラデシュの話から全く話が飛ぶんですけど、グローバルかグローバルじゃないかということでいくとちょっと微妙なのかもしれないです。日本の有休所得率って結構低いと言われるじゃないですか。ちょっと私もどのぐらい低いのか、手元にないので分からないんですけど。その辺についてどう思われるのかなとか、森辺さんは結構シンガポールで育って、ベースって、日本はベースにあれども結構海外の人寄りの考え方も分かるというか、そうするというところもあると思うので、そういう、例えば海外の人から見たら日本の有給取得率の低さってどう見られているのかなとか、当然日本の働いている中間管理職以下の方は取りたいし、取って当たり前でしょうと思っているんでしょうけど、なかなかそれが進まない現状もあるというのが結構グローバル化と。
森辺:結び付いているよね。
東:似ているような気もするんですけど。
森辺:そうですよね。
東:その辺ちょっとざっくばらんに。
森辺:話しましょうかね。
東:話していただければなと思っているんですけど。
森辺:そうなんですよ。実はそういうのってすごく重要で、なんで日本だけこんなに有給取得率低いの?という、この低いということが実は日本のグローバル化においてもいろいろなところで障害が出ていて、こういうところを変えていかないと、日本って結局グローバルでうまくいかないし、グローバルで手をつなげないよね、いろいろな国の人とってすごく思うんですよね。この間ネットをずっと見ていたら、総合旅行サイトのエクスペリアンジャパンってあるでしょう?
東:はいはい。
森辺:あそこが世界19カ国で有休の取得率を調べた、そんなデータがあったんですよ。
東:へえー!
森辺:うちの会社は有給取得率100%なのね、絶対取らすから。それで2年で有休って消滅するんですって。でも、有休って自分の権利でしょう?会社からこのお給料、年俸で働きます。こういうことがミッションです、タスクです、有休はいくらですって、これは権利だから=お金じゃない?
東:はい。
森辺:それが取れないって、「どれだけおまえ忙しいんだよ」という話で、「そんなに忙しいのって総理大臣なのか、大統領か」と思っちゃうから。たぶんそんなに忙しくなくて、生産効率が悪いから、忙しくて有休取れないなんて絶対仕事のやり方間違えているんだ、どんな言い訳したって。「いや、僕は大統領なんです」と言うんだったら、それはそうかもしれない。けど、サラリーマンで忙しくて有休が取れないなんて、「そんな会社辞めてしまえ」と言うぐらいにたぶん生産効率が悪いと思うのよ。
東:(笑)はいはい。
森辺:そもそもその状態でOKだと言っている日本人がどれぐらいいると思う?
東:分からない。結構多いんですか?
森辺:僕、びっくりしたの。50%なんだよ、有給取得率って。
東:それは19番、何位ですか?
森辺:最下位。
東:最下位になります?
森辺:3年連続最下位だって!
東:えーっ!ちなみにベスト3は?
森辺:でね、僕、びっくりしちゃってね。ほかの国ね、ほかの国なんだけど、ちょっとデータを見てみると、例えばブラジルは働かなそうだよね、ブラジル。ブラジル人の皆さん、すみませんね。
東:(笑)
森辺:働かなそうだけどね。
東:それは悪口ではないですから。(笑)
森辺:でも、そういうイメージあるでしょう?
東:はい。
森辺:100%。フランス人、これも働かなそうだけど、100%ね。
東:へえー!
森辺:スペイン人100%。
東:はいはい。ヨーロッパは確かにきちんと取っているイメージありますよね。
森辺:取っているね。あとイタリア75%、それからインド75%、香港100%。メキシコ93%、メキシコも働かなそうなイメージあるけど93%ね、7%足りないね。シンガポール93%、韓国93%、オーストラリア70%、アメリカ71%、日本が50%と。お隣韓国で93%だよ!
東:すごいですね。韓国も取らない、勝手なイメージありますけど、取らなそうな。(笑)
森辺:うん。「気合と根性があれば有休なんて要らない!」みたいなことを言いそうな。
東:ごめんなさい。ちょっと…。
森辺:韓国人の皆さん。
東:そういう私の勝手な個人的なイメージですけど。
森辺:いやいや、でも、そういうイメージ。だって、サムソンの社員とかすごいじゃない?
東:はい。
森辺:もうMBA取らないと出世できないからどうしようとか、もう上司の言うことは最敬礼とか、ものすごいでしょう、そういうのが。
東:はいはい。
森辺:だから、会社のために有休取らないなんて普通じゃんと思ったんだけど、もうそんなことはないわけですよ。
東:じゃあ、日本だけ?
森辺:日本だけ50%なの。
東:へえー!
森辺:僕これびっくりして、「えっ、どういうこと?」と思って。要は50%ということは半分捨てているということなんですよ。年間20日スタートでしたっけ、10日スタートか、あれは?
東:10日スタートですね。
森辺:10日スタートで1年半過ぎると11日になって、以降1年おきに1日ずつ増えてきて最大Max20日の有休が2年間保有できるのね。2年すると有休というのは労働法上は消えていってしまうということなんだよね。会社によってはそれを現金化するというところもあるんだろうけども、ほとんどの会社では「有休早く消化しろよ」と言って消化をさせるんだけども、取れなかったりする。だけど、これ取れないって、2年間あって、よっぽど何かおかしいと思うんだよ、働き方が。なおかつ、これ50%でOKって、もうこんなの、スペイン人とかブラジル人とかフランス人に言わせたら、もう意味不明ということでしょう。だって、自分の権利だからね。
東:そうですね。
森辺:だって、お金でしょう、それ有休って、1日いくらという。それを取らずに半分捨てれるという、日本人のこの文化、これがやっぱり外国人との大きな違い。
東:考え方の大きな違いがあるでしょうね。
森辺:うん。会社のためだからしょうがないって、たぶんこれは昔よりだいぶマシになっていると思うんですよ。昔、転職なんてあり得ないという話だったのが、これだけみんな転職するようになったわけだから、それは昔に比べたらいいと思うんだけど、有給取得率が50%というのはびっくりしたなというふうに思ったんですよ。
東:それって、森辺さんから見ると結構異常な?
森辺:いやー、異常でしょう。こんな、外人無理ですよ。例えば、部下で、現地法人の社長をやっていて、有休があるけども、基本的には100%、仕事をやらなくても有休取ってくるからね。それに対してやっぱり日本人の上司は思っちゃうよね。「こいつ、仕事もしないで有休取るのか」と思っちゃうわけじゃない?
東:(笑)はいはい。
森辺:でも、それを思ったらやっぱり打ち解けないよね。だって、それが当たり前だから。なので、そこだよね、日本人だと、「いやー、僕はちょっと今年あまり上司と約束したことできてないし、有休取る権利なんてないな。頑張って働こう」と、それで有休取得率50%なんでしょう、これきっと。
東:というのと、会社の中で取りづらい。
森辺:雰囲気がね。
東:雰囲気があったり、というのも当然あるんでしょうね、日本の会社だと。
森辺:あると思う。だから、そういうことをやっていると、それってもう企業風土というか、文化だから、それは高々有休だけでそれだけ違いが出ちゃうんだから、グローバル戦略のいろいろなところにそういうことが節々に出ているはずなんですよ、絶対に。なので、僕は、こういうところからグローバルスタンダード化していかないと、なかなか戦略をグローバル化するって結構厳しいんじゃないかなというふうには思うんですよね。
東:なるほど。その辺の話を次回また詳しくお聞かせいただければと思うんですけれども、森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。