東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回の引き続きで、日本人は準備までが長いというお話だったと思うんですけども、その方はどういうふうに、外資から日系に来てどんな感想を持たれていたんです?トレーダーの。
森辺:彼ね。彼は、だから、外資では無駄というものは絶対あるわけじゃない?いろんなことをやると無駄が発生するんだけど、その無駄を解決しちゃうんだって。
東:はいはい。無駄があればという。
森辺:無駄があったときに、それを随時解決をすると。トレーディングというスペシャリストで、高いすごいお給料をもらっているんだよね。びっくりするぐらいのお給料をもらっていて、ボーナスのインセンティブがつくので、たぶん何千万円の年俸にプラスボーナスで何億円みたいな、そういう収入構成になっているんだよね。そういうトレーディングをやる、しかもトレーダーとしての寿命というのはある一定の期間あるらしくて、そういう人をいわゆる前置き業務というか、準備業務で使うというのは非常に無駄じゃない?会社としてはね。
東:そうですよね。確かに。
森辺:そうすると、外資はそこに給料の安いアシスタントを雇って、その人たちにそれをやらせるとか。もしくは、それを全部システムで組んでしまって自動化しちゃうとかということをやるらしいんだけど、日本の企業はそうはなっていないと。みんなで頑張りましょうと、そういう感じらしいんだよね。僕は、この「みんなで頑張りましょう」は良い面もあるんだろうけど、僕、日本の小学校だったんだよね、小学校までは。そのときに、前にも話したかもしれないけど、掃除を自分たちでするじゃない?掃除なんか自分でするのは当たり前と思っていて、机を後ろに下げて、机の上に椅子を上げて、ホウキではいて、みたいな、掃除係がいて、みたいなね。中学校からアメリカンスクールに移って、アメリカンスクールに行ったら、掃除を生徒がするなんていうことは絶対あり得なくて、掃除というのは掃除夫がいて、その掃除夫が掃除をするというのが、これは常識だったよね。
東:そうですね。
森辺:僕、掃除やらなくていいというのは、「ラッキー!」と思って。
東:(笑)確かにそうですね。
森辺:そう思っていて、やっぱりここは違うよね、掃除するよりも、しないよね。なんで掃除しなきゃいけないんだと。でも、日本の学校では掃除をして苦労するんだと、そこも修行みたいな、それで勉強してスポーツしてみたいな。あと、トイレを自分で手で磨くことが美学みたいな、そういうのあるじゃない?便器をね。
東:はいはい。
森辺:いや、グローブ付けたほうがいいでしょうみたいな。便器を素手で磨くのが美学みたいな考え方を僕は全く理解できないんだけど。でもね、大人になって改めて思ったのは、「いや、あのとき、俺、掃除していたからきれい好きなんだな」と。日本人、基本的にきれい好きじゃない?
東:はい。
森辺:それはね、小学校のときにみんな学校で掃除したからじゃないかと思っているのね。例えば、世界中のスタジアムでサッカーした後、ゴミ掃除して帰って評価される日本人とか、あと、人の家に来て人の家を汚さないでしょう?
東:汚そうとは思わないですね。
森辺:思わないよね。きれいじゃない?基本的に日本人ってきれいじゃん。匂わないし。なんだけど、敢えて外人というふうに言うけどね、外国人というふうに言うけど、何人と言うとまた怒られるからさ。汚いからね、うちの家に遊びに来てね、めっちゃ汚いから。臭い、汚い。そうすると、やっぱり、小学校のときに掃除をしていたからわれわれはきれいなんじゃないかなと考えると、これは良いことだなとも思うわけよ。
東:掃除もそうですけど、手洗い・うがいとかも。
森辺:そうでしょう?
東:小学校のときに結構言われましたもんね。
森辺:身に付くでしょう?さんざん言われるじゃない?手を洗えって。
東:はいはい。
森辺:だから、コロナの患者数がそんなに伸びないのも、たぶんそのせいなんだなと僕は思っていて。
東:自然にはやりますもんね。コロナだからというよりは。でも、外人はたぶん、コロナのときだけ「やれ」と言われても、圧倒的にやらない人が多いでしょうね。
森辺:いや、やらない。習慣だからね。
東:そうですよね。
森辺:アメリカンスクールのときのアメリカ人とかも基本的に汚いから、本当に。だから、でもね、これがまた白人というのは汚くしていてもきれいに見えるんだよね。僕みたいなアジア人は汚くしていると本当に汚いからね。
東:(笑)
森辺:それもまた損なところなのかもしれないんだけど。でも、そういう面では良いところもあるのね。ただ、こういうマインドセット、掃除しなきゃ勉強なんかできないよとか、掃除しなきゃスポーツもできないとか、遊べないとかっていう、いわゆる下積み無くして成功無し的な考え方は、これは世界、現代の事実とは異なるよということはやっぱり受け入れていかないといけないから、そういう意味ではイギリス人が言っていたことというのはそうだなと思っていて。まだ時間いい?大丈夫?
東:はい。
森辺:あと、もう1つあるのが日報。これも金融の会社の子なんだけど、外資に行っていたときに日報を書くなんていう文化はもちろんなくて。
東:そうでしょうね。
森辺:日系企業に行ったら、いきなり「日報書いてくれ」と言うんだって。
東:(笑)
森辺:営業なんですよ。何をするかと言ったら、トレーダーじゃなくて、今度はトレーダーがトレーディングをするための資金というのは、日本中の富裕層とか企業から集めてくるわけだよね。いわゆる集めてくるという段階、外資の金融の会社で投資家さんのところへ行ってお金を集めてくる、ファンドにお金を集めるという、そういう仕事をしている。もちろん彼女の成果というのは、アウトプットというのはお金をどれだけ集められるか、アウトカムなのかな、お金をどれだけ集められるかということなんだけども。だから、彼女が日々何をしていようがなんていうのは関係ないんだよ、会社としては。結果として今月は何十億集めてくださいなのか、何億集めてください、知らないけども、それに対してできたかできなかったかと。なんだけども、今度、日本の会社になったら、「いや、結果は結果です。プロセスが重要です」ということで日報書けと言うんだって。でも、日報なんて書いたことがないと。上司が困って、「いや、私が書くから言って」と言って。彼女が言うんだって、「今日こうしました、ああしました、そうしました」と。そしたら、上司が「いや、こんなこと書けないよ」と言われるらしいのね。
東:(笑)
森辺:それでオブラートに包んだ感じになっているんだろうけど、まあ、そうだよな、日報もなと思って。僕も日報書いていたんだけど、日報って面倒臭いじゃん、書くのに。
東:そうですね。
森辺:上司にどう見せたらいいかとか、どう見られたいかとすごい考えるじゃない?
東:はい。
森辺:あんなの考えないで書く人いないんだよね。上司に評価されたいから、評価されるような書き方を消しゴムで何回も消して書くわけよね。じゃあ、それを上司が見て、今まで上司と言うと、新卒のときにいた上司は何人かぐらいなんだけど、上司はそれを見て「ふーん」と思うわけだよね。
東:はいはい。(笑)
森辺:「ふーん」と思われても、それって上司が僕が何をやっているかを確認したいがためのものじゃない?
東:うんうん。
森辺:それにしては1日8時間のうちの1時間ぐらい俺は日報を書いていたと思うんだよね。下手したら2時間ぐらい日報を書いていたかもしれない。本来は日報ってフィードバックしてなんぼだと思うんだよね。僕が悩んでいることに対して上司が「こうするんだよ、ああするんだよ」と言ってなんぼだと思うんだけど、そういうものにはなっていなくて…。時間だよね。
東:うん。
森辺:もう、次にしましょうか。
東:分かりました。では、今日はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。