東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回に引き続き、TTは存続するのかどうかみたいなかたちで、森辺さんのご意見としては、TTは存続するであろうと。ちょっとその理由と、その前にTTって何?と思っている人も、もしかしたら(笑)たぶん数年前はこういう議論をよくしていたんですけど、たぶんここ最近、TTというワードすらPodcastに出てこなかったりするので、ちょっとそこから振り返っていただければと思うんですが。
森辺:TTとは伝統小売、Traditional TradeのTTを取ってTTというふうに言って、伝統小売で。日本だとまずないけども、日本の業態で言うと、昔の駄菓子屋に似ているような業態で。新興国に行くと必ずTTが、これはASEANだけじゃなくてあって、まだまだその比率が高いですよと。ASEANで国によって違いますけど、8割ぐらいTTですよと。もちろん、これは首都と地方によっても全然違いますからあれなんだけども。でも、都市部でもいわゆるオフィスエリアと居住エリア、郊外とではTTの数が違うからね、首都でもTTが多い、郊外エリアはTTが多かったりしていて。どっちかと言うと、われわれのコンビニみたいな位置付けで。家から出てすぐそこに店があって、いつものおばちゃんがものを売っているみたいなね。TTの種類によっては雑貨のTTもあれば、食品のTTもあるし、お菓子のTTもあるし、いろいろありますと。これはASEANだけじゃなくて、アフリカへ行ってもありますよと。呼び名はいろいろ、南アフリカだったらスパザと言ってみたり、フィリピンだったらサリサリストアと言ってみたり、インドネシアだったらワルンと言ってみたり、いろいろですよね。というものがTTですと。このTTがね、議論、前回の続きから言うと、MT化していくんじゃないかと。MTにどんどん食われるんじゃないの?と、こんな旧態依然のね、だって汚い店構えでドアがあるのかないのか分かんないようなところでおばちゃんが売っているわけだから、こんな店存続しなくなるんじゃないの?というのがずっと言われていた議論なんだけども、僕はするよと思っていて。前からずっと言っているのがね、TTって、僕、ASEANに住んでいた80年代から今比べても増えているんだよね、数自体は。めちゃめちゃ便利なんですよ、向こうに住んでみたら分かるんだけど。もう、スーパーへ行くと言ったらゲート入って、ものを売っているところまで入って行ってと、もうそれだけで面倒くさいじゃない?
東:はいはい。
森辺:かと言って、Amazonみたいにパッと頼んでパッと届けるかと言ったら、全然届かないというね。そうすると、TTって店先に欲しいものが置いてあるわけですよ。
東:そうですね。
森辺:こんな便利なものはないと。われわれの消費行動を見ていると、別に僕らはMTだ、TTだ、重要だ、重要じゃないとかなんかそういうことを言っているけど、消費者の立場に立ってみたら、MTとかTTとか、ぶっちゃけ意識してないでしょう?
東:そうですね。(笑)
森辺:そこにオンラインが加わったって、どこで何を買うかなんて全く意識してなくて、今この瞬間一番便利なものを、便利な方法を使うというだけでね。例えば、家のソファに寝ていて、ベッドシートないなと思ったら、ベッドシートはわざわざ買いにいかずにそのままAmazonで頼みますみたいな。犬3匹いるからね、うちね。でも、道を歩いていて喉が渇いたなと思ったら、その辺のTTに入って水を買うじゃない?
東:はい。
森辺:ちょっと来週の食料品を全部買い込みたいなと思ったらスーパーに出掛けていくし。何となくスーパーへ行きたいなと思えばスーパーに行くし、言ったらすべてが必要だなと思っていて。TTは不要みたいなね、これは旧態依然としたリテールだみたいな見方をされている、一部しているところがあるんだけど、そんなことはなくて、こんなに便利なものはないと。これがさらにデジタリゼーションでどんどんデジタル化していくと、決済がデジタルになりますみたいな、それからTT側の運営も受発注も全部デジタルでオンラインでできますみたいな、携帯でパパッ、パパッと頼んでできますみたいな。ベトナムなんかも一部始めているけど、ビングループが始めているけど、そういうところが、インドネシアとかも一部始めているんですよ、もうすでにね、しばらく前からね。それが、どんどん、どんどん、加速度的に進んでいくとバリューが高まるんですよね。むしろ、MTよりも価値が高いという。だからこそTTに対するチャネルをしっかりやってこいとずっと言ってきたのに、まだ日本の消費財メーカーはそこが足りていなくて。もし、これ、一気にインターネット企業がTTをデジタル化していっちゃったら、もっと差が開いちゃうよねみたいな、そういうことなんだけど。長いこと、ずっと1人で話しちゃってごめんなさい。
東:(笑)分かりました。では、今日は時間が来たので、またこの続きを次回もお聞きしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。