東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回、前々回と引き続き、TTがなくなるか、なくならないか、今後どうなるかみたいなお話なんですけども。デジタル化によってだいぶ変わってくるとは思うんですが、そうなると、日本企業としたらどうしたらいいの?とか、今海外で携わっている人だったらどうしたらいいの?みたいな疑問も出てくると思うんですけど、その辺はどうしていったらいいのかみたいな。
森辺:やっぱり全方位網的にチャネルって作らなきゃいけなくて、何かが何かを食うとかということではなくて。もう小売の業態というものっていろいろなものが出てきたよね、この80年代ぐらいからずっとうわーっときて、だいたい何となく出揃ったというか、そんな状態だと思うんだよね。そうすると、すべてのチャネルに商品を配荷できるかということがすごい重要で、お客さんはチャネルを意識せずにものを買っているわけですよ。「MTで僕は買うんです」とか言うやつはいないわけで、僕らの中でMTだ、TTだとかって言っているだけの話でね。MTにもTTにも置いてはじめてシェアなんですよね。オンラインもはじめてそうで。まだまだ消費財をオンラインで買う比率というのは低いのかもしれない、ASEANではね、低いんですよ、実際。なんだけども、そこも重要になってくるし。だから、全部のチャネルを網羅するということがすごい重要で。アリババのジャック・マーが何年か前に「ニューリテール」という言葉を使って、これからの小売のあるべき姿みたいなものを表現していて。東ちゃんとも行ったよね、1回ね、中国のスーパーね。
東:なんか行きましたね。
森辺:何だっけ、あれ、アリババが始めたスーパーで、上にベルトが通っていて、頼んだら地域のところに30分以内に配達するみたいな、ああいうことなんだけど。今、中国はもうほとんど携帯でしょう、全部デジタルじゃない?
東:そうですね。
森辺:そういうふうにどんどん便利になってきていて。佐川とかヤマトがASEANにはないから、新興国にはないから、Eコマースは駄目だとか、デリバリーができないから伝統小売は淘汰されるとか、いろいろ言われていたんですよ、過去にはね。なんだけど、それを、グラブとかゴジェックとかウーバーとか、そういうバイクを使った、誰もが配達員になれるわけですよ。これはまさにイノベーションでしょう、こんなの。だから、そういうものが物流になっていくから、今までのオールドエコノミーの発想で考えようとすると理解できなくなっちゃうから、そこを一旦消して考えるということはすごい重要だと思うのね。ごめん、質問から逸れちゃったか。質問は、メーカーはどうすればいいのかということだよね?
東:そうですね。
森辺:もう、チャネルなんですよ、全部。だって、チャネルがどんどんデジタル化していって、結局、今まで「TT重要です」「TT重要です」と、この番組でも散々言って、「森辺、TT、TT、うるさいよ!」と、たぶんみんな思っていると思うんだけども。
東:(笑)
森辺:そのTTがデジタル化し始めちゃったわけですよ。もうこれは止まらないですから、一気に来ると思うのね、もうこのコロナでね。コロナの前から徐々にデジタル化していたんですよ。どうかなと見ていたわけなんだけども、もうこれ、コロナで一気にデジタル化が進むから、本当にTTのチャネルを持っていれば、そこがデジタル化するからさらに速度が速まる。そして、TTがなくならないということが確実になるので、躊躇なくTTを攻めれるわけじゃないですか。どう考えたって便利なマイクロリテールですよ。こんな便利なものはないですよ。究極言ったら、スーパーマイクロリテールみたいな、ウーバーがまさにそうじゃない?だって、会社つくって、車持ってバイク持って、タクシーやるとか配達やるとかじゃなくて、自分でバイク持っているやつが勝手に配達員になれるわけでしょう?
東:はい。
森辺:だから、それと一緒で、自分で商品仕入れて売るみたいなのが、スーパーウルトラマイクロリテールとかというのが将来もし存在するとすればね、そこまでは行かないと思うけど、その一歩手前のね、マイクロリテールみたいなのって、こんな便利なものはないなと思うから。たぶんこれは、僕はある意味、新興国のね、アジアだけにかかわらず新興国の新しい小売状態の世界が見えた気がしていて、ここ最近そればかり考えています。
東:分かりました。では、次回は仕上げにその辺をお伺いしたいと思いますので。今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。