東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、以前にセミナーとかで、日本の企業というかメーカー側、小売の力が強くなったり、デジタル化が進んだり、ECが台頭してきたり、いろいろあると思うんですけれども、チャネルが全方位型になっていますねというのが以前のお話だったと思うんですけれども。それに対してメーカー側がどう対応していけばいいのかみたいなのはちょくちょく質問を受けると思うんですが、その辺に関して今回は取り上げてお話をできればと思うんですが。
森辺:そうですね。産業構造が根底からひっくり返るんじゃないかみたいな、何年か前からそういう議論があるわけなんだけど。結局、デジタル化が進んでビッグデータが重要になってきて、それをAIで処理してみたいな話になると、2010何年だっけ、あれは2017年だっけ、2016年…、2017年だったか2016年だったか、中国でアリババがフーマーだっけ、小売店、リアルの小売店を出したときに何かの記事で読んだんだけど、「自分たちは最初から勝つことは分かって出店しています」みたいな、えーっ!?みたいな話で。イオンが出店地をさんざん調べて悩んで出ていくわけじゃない?その中で彼らはもう「出店してここだったら勝てる」というのが分かって出店しています、みたいな。コンビニが出店地、さんざん調べて悩んで、「よし、ここだ!」と言って行くのに、「最初から勝つこと分かっている」ってどういう話?という話なんだけど。アリババはビッグデータを持っているから、「ここに出せば、これだけの顧客がいて、過去にこれだけ買っているからこうなる」みたいなことがもう分かっているという話だよね。そんなプレイヤーが小売に入ってきたら、今までの小売ってどうするの?みたいな話が1つあるんだよね。
東:はい。
森辺:もう1つ、メーカーもそうなんだけども、僕、これからの世の中って、チャネルと商品の独自性、これがないメーカーは淘汰されると思っていて、というか、下請けのOEM会社に過ぎないと思っていて、中国のOEMをやってくれるような工場にたぶんなり下がっちゃうんだよね。チャネルもなくて商品の独自性もないということは、別の商品に置き換えられるということじゃない?
東:うんうん。
森辺:なので、今までメーカーが一番偉くて、一応、建前として問屋さんに頭を下げて小売にも頭を下げるけど、基本メーカーが一番偉いみたいな産業構造があったわけじゃない?
東:はい。
森辺:なんだけど、これ、これからは顧客のデータを持っている人が一番偉くなるわけだよね。そこには残念ながら日本のプレイヤーはなかなか行きつけていないというのは思うよね。
東:なるほど。では、最初のアリババの話から、アリババがどういう事業をやっているかというのは何となくはたぶん皆さん知っていると思うんですけど、フーマーの話とどう繋がっているのかというのをちょっと。
森辺:元々、アリババってB2BのいわゆるOEM先検索サイトだったんだよね、一番最初ね。中国が世界の工場になって、小さい工場、中小企業がぽんぽん、ぽんぽん建ち始めて、その工場が注文を受けたいですと。海外から注文を受けるためには、ホームページもないわけだから。
東:確かに。
森辺:「アリババの中にホームページを作りましょう。アリババに掲載しましょう、自分たちの商品を世界にと。アリババは世界にそれを発信します」と言って中国中の中小の製造業がそこにサイトを持ったんだよね、自分たちのね。毎月掲載料をアリババは取っていったというサービスで。僕、当時をすごい覚えているんだけど、日本の品質にきちがいのようにうるさい人たちがね、ホームページで中国メーカーの商品を見て「これください」と注文するかよと思って。案の定そうはならなかったんだけど、欧米は注文したんだよね。それで、コンテナの半分が不良品だったとしても、言ったら。
東:安けりゃ。
森辺:安けりゃいいやで、壊れてたら交換すりゃいいんだからみたいな話でね、どんどん、どんどん伸びていって、そのうち半分不良品が3割不良品になり、1割不良品になり、5%になり…みたいな、そんな感じになってて成功していったんだけど。そのアリババがタオバオというEコマース、B2Cだよね、をやっていて、そこが1社独占状態だったんだよね、ほぼね。ジンドンがその後グーッと伸びてきて、今。
東:2強ですよね。
森辺:2強だよね。だから、そこのデータを持っているので、中国13億人の消費行動、狂ったようにEコマースでモノを買うわけでしょう?何だっけ、ほら、独身の日ね、11月11日に、あの日1日で楽天の1年間の売上を。
東:そうですね。
森辺:優に超えてしまうということなわけだから、どれだけのデータを持っているかという話で。そうすると、このエリアにこういうのを出すと成功するって、それは分かるよね。
東:確かに。
森辺:そんな戦い方をいきなりされたら困るという話なんだよね。
東:(笑)はいはい。
森辺:そういう世界には来ていますよという。時間だよね?
東:分かりました。では、今日はここまでにして、次回続きを話ができればと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。