東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さんも中国に住んでいたと思うんですけども、その頃から比べると、そのときって中国製って「安かろう悪かろう」みたいな認識だったと思うんですけど、今現状ってどうなのかなというのが、なかなか日常的に中国品を使っていてそういうことを意識される方もいれば、意識されない方もいらっしゃると思うので、森辺さんの実感値から教えていただければと思うんですけど。
森辺:20年前だよね、住んでいたのはね。実はちょうど今書き進めている本の中にそのお話も書いたりしていたんだけど、向上したよね、中国製って。やっぱり当時、「安かろう悪かろう」と言ってみんなバカにしていたんだよね。それが今、世界最大の家電メーカーってほぼいずれのカテゴリーも中国でしょう?
東:そうですね。
森辺:東芝の家電だって今中国の傘下でしょう?
東:うんうん。
森辺:サンヨーもアクアも中国の傘下でしょう?
東:そうですね。
森辺:だから、特に家電の業界なんて、シャープも台湾の傘下だし、だから、本当に劇的に向上していて、僕、次買うときは中国製のテレビかなと思っていて、もうね、ソニーが大好きでずっとソニーのテレビだったんだけど、高いですよ、めちゃめちゃ。結構60インチのテレビとかを買うと、「高いな」と思いながら払うんですよね。
東:(笑)はい。
森辺:なんだけど、この間、年に何回か連れていかれる僕が嫌いなコストコ、なんか大量に買わされるんだけど、あそこに行って入口のところにテレビがいっぱい置いてあるの、中国製の、めちゃくちゃきれいなんだよね、細くて近代的で。昔のハイアールの冷蔵庫とか鉄腕アトムに似たような変なキャラクターのシールとか貼ってあって、「どんな時代の洗濯機、冷蔵庫ですか、これ?」みたいな感じだったのが、今はめちゃめちゃスタイリッシュだから、相当劇的に向上したというのはもうみんなの知るところだよね。なので、上がったよね。
東:うんうん。その辺上がったと実感をされるのは、森辺さん、具体例とかがあれば、「この商品だとこう上がったな」みたいな。
森辺:家電なんかも中国製でいいじゃない?
東:うんうん。
森辺:日本にいると、基本的には日本の、まだ日立もどこも日本の国内の市場は自分たちの販売子会社が管轄しているからね、海外はニュースにも出ていたけど、売却しちゃったというニュースが出ていましたけど、そういうことなので国内にいると気付かないんですよ、日本製いいじゃないと。でも、海外に行くと日本製の姿は全くないわけなので、それが顕著に見えるのが家電だよね、例として顕著にね。ただ、実は家電だけじゃなくて、B2Bの工業用品とか、もうあらゆるものが中国製になっているでしょう?建築機材、発電機、分からないけど、それこそビルそのものもそうだと思うんだよね。
東:医療機器とかもそうですよね。
森辺:医療機器もそうだよね。そうそう。医療機器なんかはもう劇的に上がったんじゃないかな。あのとき本当に20年前の展示会でね、わけの分からない医療機器をつくっていた中国メーカーがいっぱいあったのよ。「うわー、これ、株どれか買っておいたら本当にすごかったな」というのがまさにそうだし、あとITなんかもめちゃめちゃそうでしょう?
東:そうですね。
森辺:2000年代前半、アリババがあったけど、そんなのテンセントなんてまだ、産声は上がっていたかもしれないけど、そんな存在感全くないし、「WeChat?何?」みたいな話だったからね。あれが劇的に進化したのはこの20年だから、ハード面でもそうだし、ソフト面でももう圧倒的にそうなってきているよね。言ったら日本企業はね、それをずっと認めなかったんだよね、やっぱりね。僕、それは悪い癖だなと思うんだけど、「いやいや、われわれのほうが技術が上だから」と。
東:そうですね。
森辺:「技術が上だから」とずっと言い続けたんだけど、いや、世の中は技術をそこまで求めてないじゃんみたいな、もう100%いっちゃった技術、中国製がまだ30ぐらいだったのが100までいったんだよね。日本は、「いやいや、僕たち120だから」「150だから」と言っているんだけど、100より上は別にあまり求められないよ、というか価値にならないんだよね。100までが価値として換算されるんだけど、110とか120のこの20とか10とかというのはあまり価値として換算されない。そこに一生懸命こだわるという、そういう時代が10年ぐらい続いたんですよね。「いやいや、われわれのほうが技術が上だから」と、僕はもう100万回ぐらい言われたのね。
東:(笑)
森辺:いや、いろんな企業に「中国メーカーは脅威ですよ。脅威ですよ、調べましょうよ」と、当時、調査会社をやっていたからね、「まずいです。買収しましょう」と。「いや、われわれのほうが技術が上だから」と、100万回言われたよね。
東:分かりました。(笑)
森辺:時間?
東:では、今日は…。
森辺:時間だね。
東:時間になりますので、森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。