東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回、前々回のまとめというかたちで、ベトナムの伝統小売のデジタリゼーションというかたちなんですけど。前回、「三方良し」という話があったんですけども、ちょっと1回、ここから聞いたリスナーさんもいると思うので、まとめていただきたいんですけども。
森辺:ベトナムの伝統小売って、85%ぐらいが伝統小売なんですよ。15%ぐらいが近代小売を通じてみんな買い物をしていくと。この伝統小売、数にすると50万店ぐらいあって、非常に重要ですよと。ベトナムでいわゆる食品・飲料・菓子・日用品等のFMCGのメーカーさんがね、商売しようと思うと、伝統小売を押さえないと儲かりませんと。シェア上がりませんと。なので、欧米の先進的なグローバル消費財メーカーもこの伝統小売の獲得をずっとやってきていて、日本の企業がいまいちシェアが伸びない、ユニ・チャームのエースコック以外はシェアが伸びないというのはこの伝統小売を獲得できていないからという話なんですよね。
東:はいはい。
森辺:ただ、この伝統小売というのは、そのうち消えるでしょうと。近代化するんじゃないかとずっと言われていて、多くの日本企業はそれに期待をして、あまり積極的に伝統小売の攻略をしてこなかったという背景があるんだよね。なんだけども、ここにきてね、コロナのちょっと前から、この伝統小売がデジタル化し始めたんですよ。
東:はい。
森辺:要はどういうことかと言うと、伝統小売ってめちゃめちゃ便利じゃん。家をおりて、出て、すぐ目の前にあったりするわけで、コンビニの利便性とかじゃないぐらい便利なんですよね。いわゆる売れ筋のものだけが厳選されて置いてあるので、いつもの欲しいあれがそこにあるみたいな。
東:うんうん。
森辺:その伝統小売がデジタル化をし始めていて、どうかな、これ来るかな…と思っていたら、コロナで一気にそれが加速しているよという、そういうお話を前回、前々回とさせてもらっていて。僕はこの伝統小売はやっぱりデジタル化をしていく流れが非常に強くなってきているので、たぶんこのままブワーッといっちゃうと思うんですよね。一方で、今まで、どちらかと言うと、コンビニに取って代わられるというふうに言っていたのが、いやいやそうではなくて、コンビニが駆逐されて、伝統小売がデジタル化する公算のほうが大きいんじゃないかなという気がしています。なぜならば、網目がコンビニよりも細かいから、伝統小売のほうが。その伝統小売がいわゆるデジタル武装しちゃったら、こんなに強いものはないという話で。ビングループなんかがね。マサンだよね、今、小売をやっているのはね、ビンはね。そういうところがデジタルソリューションを提供して。どういうものを提供しているかと言うと、携帯でね、アプリで伝統小売のオーナーがそこで注文できるんですよ。これとこれとこれみたいな。そうすると、そこに配達されるみたいな。決済も電子決済です、みたいな。これがDXかと言うとね、そんな大それたことではないと思うんだけど、でも、この、ただ、すごくアナログだった伝統小売がデジタル化されたというだけでものすごい利便性が上がっていて。オーナーが何より喜んでいるんですよね。なぜならば、デジタル決済することで、今まで10円で仕入れていたものが9.5円で仕入れられるとか、9円で仕入れられるみたいなね。あと、今月なら、例えば、分かんないけど、コカ・コーラが何%オフみたいなプロモーションがバンバンアプリを通じてくるわけですよ。だから、メーカーも問屋もプロモーションをバンバン打てるわけですよ。今まで人を使って人海戦術で、「おじちゃん、おばちゃん、今月コーラが安いんだけど、どうかな」みたいなことをやっていたわけですよね。50万店ある伝統小売に。でも、そんなことをやる必要なくて、一旦入れちゃえばね、システムをね、あとはもう本部から、「はい、コーラ割引しましょう」、ボタンをピッと押したら、30万店のオーナーたちにバーンと一括送信して、そこからウワーっと買われていくわけじゃない?
東:うん。
森辺:ものすごいことが起きているなと思ってね。すでにビンショップ7万店、デジタル化、伝統小売しているわけですよ。1/6ですね、ベトナムのね。だから、この流れは非常に四方良しじゃないですけど、もうこの加速は止まらないと。
東:うんうん。
森辺:ここで、じゃあ、メーカーとしては何を考えなきゃいけないかということなんだけども、やはり伝統小売の攻略は重要だったということで、これ、ベトナムは急がないと駄目。もうもう、今までの速度でやってちゃ駄目で、自分たちの商品、伝統小売の間口に入りませんとかね、値段がちょっと高過ぎてとか、そういうことをもう言っている暇はもうなくなっちゃったみたいな。
東:はいはい。
森辺:ということと、このデジタルの流れは、たぶん、インドとかアフリカにもほぼ同時並行的に、デジタルなのでね、ドーンと流れていきますから、「ベトナムで成功した」「インドネシアで成功した」と言った瞬間にインドでそれは、インドなんかもう始まっているんだよね、実はね。
東:うんうん。
森辺:だから、アフリカでもそうなっていくので、結構もう残された時間は少ないし、壮絶な戦いになってくるというね。
東:なるほど。
森辺:感じがします。
東:分かりました。
森辺:ちょっと話が長いよね、最近、僕ね。
東:大丈夫です。(笑)
森辺:大丈夫ですかね。
東:では、今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。