東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:では、前回に引き続き、『グローバル・マーケティングの基本』からちょっと抜粋して教えていただきたいんですけど、1-3の「失敗する企業の法則」とあるんですけども、ちょっとここをもうちょっとかみ砕いて、本の中では「失敗する企業がおかす3つの過ち」となっていますけど。
森辺:そうですね。失敗する企業って、法則というのか型があって、なぜ日本企業がグローバル、特にアジア新興国の市場、アジアに限らず新興国の市場で失敗するかと言うと、大手も含めてね、これは大手が中心かな。大手で言うと、やっぱり3つというのは、モノ頼り、パートナー頼り、3つ目が人頼りという、この3つのいわゆる依存なんだけども。モノって、自分たちの作っているモノ、これが高品質だから大丈夫だと、競合よりも高品質なので絶対に負けないと。なんだけども、世界で戦っている尺度って、別に品質の上下で戦っているわけじゃないんですよね。なんですけど、ひたすら品質が高いほうが良いみたいなね、そういう議論がまだ日本の製造業に根強く残っていて、モノ頼り、品質良ければすべて良しみたいな、マーケティングミックスで言うところの、4Pで言うところのプロダクトオンリーの1P戦略で戦うみたいな、そういう会社さんが1つですよね。
もう1つが、海外のことはよく分からないので、自分たちは作る人、売るのはパートナー任せということで、もうパートナーに完全に依存して売っていくというパターン。これはいわゆる自分たちは売ることの戦略には介在しないので、基本的にはパートナーの言うがまま、言われるがまま。そうすると、調子の良いときはそれでいいんですよね。バンバン売れているので、パートナー様ありがとうございますと。ただ、必ず売上ってどこかでどん詰まってくるので、調子が悪くなってくると、そのパートナーとの間がぎくしゃくして、疑心暗鬼になって、なぜ問題が起きているのかということが特定できないので、当然、対策が打てないという、そういう問題になってくると。なので、パートナーに任す、パートナーは重要なんですよ。重要なんだけども、売ることを理解して任すのと、全く分からないから任すのでは、得られる結果が違いますよ、というのが2個目ですよね。最後、人頼りというのは、基本的に多くの日本の製造業は本社に戦略がないんですよね。「うわ、この会社すごいな」という会社って、そんなにないじゃないですか。日々お付き合いをしていてもね。
東:はい。
森辺:そうすると、やっぱり現地にとにかく箱をつくってそこに駐在員を飛ばして、駐在員が頑張れということで、俗人的、戦略ではなくて俗人的というのが非常に強い。なので、基本的には売上目標なんかも逆算じゃなくて、積み上げみたいな。去年いくらやったから今年いくら、今年いくらやれたら来年いくらみたいなね。なので、そこは非常に駐在員頼り、人頼りというのは3つの大きな過ちとしてありますよね。そんなことを書いたんじゃないかな。
東:なるほど、なるほど。では、ここが失敗する代表例であると。
森辺:うん。だいたいこの型にはまっていると思いますよ。いずれか1つ、もしくは複数にはまってしまっていて、うまくいかない企業ってもう1つ、もっと言ったらね、4Pに必ず問題があるんですよ。4Pが最適化されているのにうまくいかないなんていう企業を僕は見たことないので、ターゲットに対する4Pが最適化されていないと。それってどういうことかと言うと、今言った3つのことがおかしいということにもつながるんですよ。だから、だいたいそんな感じかな。
東:分かりました。森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。