東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、今日は、いろいろ問い合わせのメールとか、リスナーさんとかから質問をいただくと思うんですけれども、導入戦略というか、「どう市場に入っていったらいいんですか?」というのは、1つたぶん、結構、再参入にしても、これから初めてにしても、いただく質問の中で一番多いと思うんですけど、その辺で重要なことだと思われることを共有いただければと思うんですが。
森辺:はい。99%再参入というのがたぶん多いのかなと思うんだけど、言うと、これから参入、もう参入しちゃったら、もうたぶん今から僕が話そうと思っていることってなかなか変えにくいのかなと思うんだけども、これから参入をするようなステージの企業とかだと、やっぱり、これをすごく考えてほしいのは、どう戦うかということよりも、どこの市場で戦うかということのほうがすごく重要で、そこをしっかり議論しないまま出ちゃった、もしくは展開しちゃったみたいな企業って結構多くてね。これって、国とか都市とかという意味での「どこ」というのもそうなんだけど、ターゲットとしての「どこ」というのもやっぱり1つあると思うんだよね。この手の商品は、もう中間層まで売らないと絶対に儲からないというのが出る前から分かっているにもかかわらず、結局そこまで到達できないプライシングだったり、そこまで到達できないチャネルだったり、B2Bで言えば、ローカル企業まで売らなきゃ絶対に儲からないって分かっているのにプライシングが邪魔していたり、too muchのスペックだったりとかっていうことがあるので、やっぱり「どう戦うか」ということよりも、「どこで戦うか」ということをすごく重要視するというか、よく議論をしてほしいなというふうにはよく思っていて。
よくありがちなのが、例えばASEANだと圧倒的にタイとかのほうがベトナムに比べたら出やすいわけじゃないですか。タイでもまだ事業をしてないのに、いきなりベトナムをやるとかね、こういうのは意味不明ですよね。だから、そういうことが結構多かったりとか。いっときはね、今はミャンマーはあんなことになっちゃったのであれなんですけど、ミャンマーなんて言ってたという時期もあったわけだから、そこはすごく、しっかり議論をすべきところ。それでもベトナムなんだとすると、なぜベトナムじゃなきゃいけないのかという、やっぱり明確な理由がないと、それは事業がうまくいかないと思うんですよね。
なので、ちょっと東さんの質問に対する答えになっているかどうかあれなんだけども、「どう戦うか」という話を番組でももちろんしてもいいと思うんだけど、「どう戦うか」の前に「どこで戦うか」ということの議論はやっぱりしっかりやったほうがいいというのは1つ、そこが日本企業は特に抜けている、そんな気がするんですよね。
東:抜けていると、じゃあ、それって、それで参入してしまった場合って、どういう結果になっちゃう場合が多いんですかね?
森辺:例えば、どこで戦うかによって、どう戦うかって変わってくるじゃないですか。
東:うんうん。
森辺:それから、どれぐらいの経営資源が必要かというのも大きく変わってくると思うよね。
東:はいはい。
森辺:ベトナムで、われわれ支援するほうの立場もそうだと思うんだけど、ベトナムで支援をするのと、タイで支援するのって、正直タイのほうがある意味楽というか、両方大変なんだけど、やり方が違うじゃない?その支援のね。
東:うんうん。
森辺:例えば、ベトナムだったら、それこそ消費財で言ったら、もうTTをやれなかったら無理なので、MT3,000店舗ぐらいしかなかったらTTを攻めないと正直シェアが獲れないわけなので、いかにTTをつくるかということをやりますよと。そうすると、チャネル構築ということになってくるので、これは単年でどうこうなるという話じゃないですよね。
東:はい。
森辺:なので、数年かけてしっかり販売チャネルの土台を築いていくというような支援をするということになるじゃないですか。
東:うんうん。
森辺:一方でタイだと、それこそ主要の小売にドンと入れるか入れないかというところでやっぱり決まってくるので、そこに入るという交渉がわれわれの支援になるし、入ったあといかに高速回転でセルアウトさせるかみたいな仕掛けのところが支援になってくるので、これまた支援の内容が全然違うと思うんですね。それをやっぱり事前にしっかり議論をするということをしないと、ベトナム向けの商品とタイ向けの商品ということで商品も変わってくるじゃないですか。
東:なるほどね。
森辺:経営資源も変わってくるじゃないですか。そういうことだと思うんですよね。
東:分かりました。じゃあ、ちょっと今日は時間が来たのでここまでにしたいと思います。また次回も引き続きよろしくお願いします。
森辺:よろしくお願いします。