東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回、GDPのお話が出たと思うんですが、ちょっと初歩的な話にはなりますけど、じゃあ、もう1つ、例えば、前回話が出たベトナムとタイで比べると、MTの数も圧倒的に違うと思うんですけど、MTとTTの数って、MTの数を把握しておくというのも重要なんですか?
森辺:めちゃめちゃ重要ですよね。MTの数を見ていくと、その国のやりやすさというのが分かってくるんですよね。ベトナムが、参考までに今主要どころのMTが3,000店舗ぐらいだと思うんですよ。一方でタイが…、どれぐらい?
東:3万とか2万5,000ぐらいですかね。
森辺:ぐらいあるかね。
東:はい。
森辺:セブンイレブンってどれぐらいあるんだっけ?
東:1万2,000ぐらいですね。
森辺:店舗あるからね。
東:はい。
森辺:だから、2万弱ぐらいたぶんあると思うんだよね。そうすると、やっぱり圧倒的にMTのほうが、日本の商品を置きやすいわけですよ。TTに置くということは、まずMTで絶対的な売れ筋になる必要があって、さらにそれを小分けなのか、何か別の形に変えて安くするということも重要になってくるわけですよね。だから、輸出でやる場合はもうTTなんて考える必要性がそもそもないというか、考えちゃ駄目みたいなね、話になってくるわけですから。まあまあ、そうですよね、小売もそうやって見ていくということは重要ですよね。あとね、「どう戦うかよりも、どこで戦うか」を考えるべきという話で、これ3回目続いていますけどね、もっと言うとね、ベトナムをやっているんじゃないんですよね。ホーチミンをやっているんですよね。インドネシアをやっているんじゃなくて、ジャカルタをやっていて。だって、インドネシアの1人あたりGDPって、ならしちゃうとね、5,000ドルいってないでしょう?
東:はい。
森辺:4,000何百ドルでしょう?
東:はい。
森辺:一方で、ジャカルタだけを取ったときに、1万9,000ドルとかいくわけですよ。さらにジャカルタの中でも、超ピンポイントのエリアなんかだと、4万ドルとかっていうことになるわけですよ。日本のGDPがそれぐらいですからね、4~5万ドルでしょう?
東:うんうん。
森辺:なので、そう考えていくと、どれだけフォーカスするかということが重要で、日本みたいに1億総庶民みたいなね、こんな珍しい国はなくて。貧富の差が激はげしいですよね。そうすると、国で見ないで都市で見るみたいなことをやっていかないと、絶対に駄目ですよね。
東:はいはい。
森辺:なので、僕は、「どう戦うか」も重要なんだけど、「どこで戦うか」ということをやっぱり徹底的に精査するということをするとね、そのあとの戦いが楽なんですよ。
東:はいはい。
森辺:絶対に勝たないといけないわけじゃないですか。戦うフィールドでね。そうすると、どの種目を選ぶかみたいなね。オリンピックだから、ちょっと種目にかけてみたんだけど。(笑)
東:(笑)はい。
森辺:だと思うんですよね。勝てない種目をやったってしょうがないんで、勝てる種目はどれだ、というのを選ぶということだと思うんですよね。
東:そうすると、一旦ちょっとまとめていただくと、「どう戦うかより、どこで戦うか」がやっぱり重要ですねというところだと思うんですが、そこに対して重要なことをまとめていただくと、どういったかたちになるのか。
森辺:B2BもB2Cも。
東:そうですね。
森辺:両方ですけども、「どう戦うかより、どこで戦うか」を徹底的に議論したほうが、そのあとの戦いに勝ちやすいですよという話ですよね。基本的にはGDPと1人あたりGDPの高い国のほうが、圧倒的に戦い方が楽。楽というのは、日本企業に向いている。なぜならば、われわれがそれだけ高い市場で戦ってきているから。われわれが不得意なのは、われわれのこの日本国内でのノウハウを生かしきれないから、みんな新興国で困るわけでしょう?
東:はいはい。
森辺:だって、アメリカ・ヨーロッパでは勝っているわけじゃない、頑張ってるわけじゃない、検討しているわけですよね。
東:うんうん。
森辺:一方で、新興国に行けば行くほど、極端に成果が上がらなくなるということなわけですから、いかに選ぶ国が重要かという。でも、新興国の醍醐味って、これから成長していくポテンシャルがあるということが一方で醍醐味なので、もちろん果敢に挑戦はしていかなきゃいけないんだけども、やっぱり高めの国から狙っていくということをやっていくというのが重要ですよね。そして、そのGDPと1人あたりGDPをまず考えると。お金のある人、お金のある企業を相手にビジネスをするほうが圧倒的に楽だというのは1つ。そこに、それぞれの文化とか宗教とか商習慣とか、言ったら、ハラルがあるとかないとか、外資規制があるとかないとか、そういうその他の条件を掛けていけば、どこが出やすいかというのは出るので。
東:はい。
森辺:もう1つの考え方としては、国をやっているんじゃなくて、都市をやっているんですよということだと思うので、日本でもね、日本でビジネスしていてね、日本を攻めてますとはみんな言わないわけですよ。東京を頑張ってる、東京販売部があるとか、九州販売部があるとか、そういう話じゃないですか。そう考えると、インドネシアとかっていう単位ではなくて、ジャカルタを私たちはやっているんですとか、メトロマニラをやっているんです、ホーチミンをやっているんです、みたいな都市を見るという感覚、これがすごく重要で。だって、1人あたりGDPが何倍も違うわけですよ。インドネシア全土でならすのと、ジャカルタ1点集中するのとね。なので、そういうセグメンテーションをしっかりとしてターゲティングしていくということをやる必要がありますよという話だったと思います。
東:分かりました。じゃあ、ちょっと3回に分けて解説いただいたんですけども、最後にちょっと、再参入計画をコロナ禍で立てている企業さんも結構多いと思うんですけど、そういったところでもう1回森辺さんなりに重要なことを教えてください。
森辺:今、チャンスだと思うんですよね。もうまもなくワクチンの接種でね、また再び動き出すと思うんですけど、やっぱりこの1年、皆さん、再参入戦略をつくり続けてきたじゃないですか。われわれのクライアントはね。なので、うまくいっていないところが止まっているわけですから、市場がね。もう一回そこに対する次の一手を考えていくという意味では、このインターバルというか、休憩はすごく良い時間になっているんじゃないかなというふうには思うんですけどね。
東:はい。では、森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。