東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回に引き続き、『グローバル・マーケティングの基本』から抜粋してお送りしているんですけども。2-7で「導入期における伝統小売攻略のためのKPI」。これは前回お話した「ストア・カバレッジとインストア・マーケットシェアの2つだけやる」と書いてあるんですけれども、ここを切り出してもう少しお伺いしたいんですが。
森辺:消費財メーカーって、やることは非常にシンプルで、ターゲットがもう明確じゃないですか。
東:はい。
森辺:中間層というターゲットがいて、確実にマスのビジネスなので、1本1万円の化粧水を売っているとか、1箱1万円のチョコレートを売っているわけじゃないので、基本的には数が多いところにどれだけ売り込むかという、ターゲットがもう中間層って決まっていたら、そのターゲットに対するビジネスじゃないですか。ターゲットは絶対に重要なので、一番最初にターゲットがあって、じゃあ、そのターゲットを攻略するための戦略は何かといったときのKPIがストア・カバレッジとインストア・マーケットシェアですよと。ストア・カバレッジについては、定義としては自分たちの配荷店舗を定義しています。どれだけたくさんの店舗に配荷できるかということがまず絶対条件ね。
東:はい。
森辺:ちょっと深まった話をすると、1店舗に配荷されていても、隅のほうにちょこっと置かれているのでは、これ、配荷の効果は少ないわけじゃないですか。
東:はいはい。
森辺:だから、いかにその店舗の中でも非常に目立つ場所にたくさんのSKUを並べるかというのがストア・カバレッジの第2条件なんですけども。この2つを維持していくということがまず1つ目のKPIですね。2つ目は、じゃあ、インストア・マーケットシェアを上げていくという話なんだけども。これは今、先に言ったストア・カバレッジの中で、いかに目立つところに、いかにたくさんのSKUを置けば、ある程度インストア・マーケットシェアというのは上がってくるので、基本的にはやっぱりストア・カバレッジの第1条件、第2条件というところの取り組みはすごく重要で。それに伴ってインストア・マーケットシェアを上げるようなBTL(Below the Line)の伝統プロモーションなんかを中心にやっていくということが重要になるんですけども。前回も言った通り、インストア・マーケットシェアの定義というのは、同一カテゴリー内での自分たちのシェア、お菓子ならお菓子、食品なら食品の中で、自分たちの商品が他社よりもいかにたくさん選ばれるか、5回に1回選ばれるよりも3回に1回選ばれるほうがいいので、そういう存在にどうやってなるかということ、この2つを追っていくという。
東:なるほど。97ページに「黒字化への3ステップ」と書いてあるんですけれども、ここが分かりやすいと思うので、説明いただくとイメージしやすいと思うんですが。
森辺:はい。基本的にはね、まずストア・カバレッジを伸ばすということはすごく重要で、店に置かなきゃインストア・マーケットシェアもクソもないわけですよね。だって、置いてないものは選べないですから。
東:売れないですもんね。
森辺:とにかく店に置くということがファーストステップとして重要で、でも、置いた瞬間、ほぼ同時並行的にインストア・マーケットシェアを上げるための努力をしないといけない。それはどういうところに置くとか、どういうBTLを展開するとかっていうことをステップ2としてね、ほぼ同時並行的にやっていく。ステップ1でストア・カバレッジ、ステップ2でインストア・マーケットシェアを上げる、ステップ3でこれを同時に回転させる、高速回転させていくということをやっていかないといけないと。これって片輪走行はできないんですよ。ストア・カバレッジだけやればいいかと言うと、そうではなくて、両輪なので、インストア・マーケットシェアが上がらないとストア・カバレッジも上がらないんですよね。もしくは効率的に上がっていかないので、両輪でやっていくという、この3ステップ、ここだけ意識するということがすごく重要だと思います。
東:分かりました。今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。