東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、われわれは常日頃、Podcastとかいろいろなところで先進グローバル企業というのを取り上げたりするじゃないですか。
森辺:はい。
東:それと日本企業の明確な違いというか。森辺さんから見て、ここが決定的に違うよなみたいなところというのは、いろいろとあるとは思うんですけど、チャネルの部分で言うと、どういうところなのか。
森辺:なるほどね。すごく広い意味で言うと、戦略的な欧米企業で、日本企業はどちらかと言うと俗人的なので、逆算と積み上げというふうに感じることがすごくあるのでね。戦略を逆算するのと、積み上げていって、今年こうだから来年こうだみたいな、その違いは大きくあります。ただ、今言ったチャネルということに関して言うと、戦略/俗人、逆算/積み上げがまさにチャネルに顕著に出ていて、一言で言うと、欧米の先進的なグローバル企業のチャネルには「型」があって、日本企業は「型」がないというのはすごく感じるよね。
東:その「型」というのは、具体的に。
森辺:例えば、自分たちの販売チャネルはこうあるべきだという「型」がしっかり確立されていて、欧米の先進的なグローバル企業、何十年も前はそれはなかったんですよ。アジア新興国を調べていると、いろいろと苦労して右往左往したんだなという断片が、形跡が見受けられるのね。もともと欧米の先進的なグローバル消費財メーカーのディストリビューターだったところとか、今は違うとかね、そういうのを見ながら話を聞いていくと、いろんなところといろんなことをやりながら今のかたちに集約されているんだなと。
東:うんうん。
森辺:その「型」がね、例えばどの国に行っても同じ「型」なんだよね。彼らとしては、もうこの小売業、新興国の小売業を獲るディストリビューション・チャネルの「型」というのはこうあるべきだという勝ちパターンがもう確立されていて、それをどこの国に行っても水平展開できているというのが欧米の先進的なグローバル企業。これを唯一できている日本企業はユニ・チャームだけというね。味の素もいいかな。
東:数が少ないということですね。
森辺:数少ない日本企業で、ほとんどの日本企業は「型」ができてないので、そして俗人的なので、駐在員で長くいる人の経験則に偏っていろんなことをやっていきますと。本社はその「型」が必要だということ自体にも気付いてないので、何をどうしていいのか分からなくて右往左往するという、そういう感じの企業がやっぱり多いですよね。
東:「型」の詳細を聞く前に、「型」があることのメリットというのは、森辺さんから見ると、どういうところですか?
森辺:やっぱり広く対象を取れるというのかな。例えば、欧米って現地適合化の前に世界標準化をしていくので、マーケット、対象とするターゲットを広く取れるんですよね。特に、消費財なんて中間層相手だから、広く取ってなんぼじゃないですか。
東:はい。
森辺:だって、1本1万円のものを売っているわけじゃないから、数百円、数十円のものを売っているということは、いかに広く取るという。「型」があると広く取れるという1つメリットですよね。あと、効率化できるということと。あと、人に頼らないので、仕組みなので、1人が辞めても次の1人を入れ込めばいいだけの話なので、誰かが辞めたらどうこうなるとか、この国ではうまくいったけど、あっちの国ではうまくいかないということに陥らないので、経営としては非常に、何だろうな…。
東:安定するという感じなんですかね。
森辺:安定するという、そうですね。
東:分かりました。では、引き続き、次回聞いていきたいと思います。今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。