東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回の続きで。森辺さんから解説してもらったほうがいいと思うので。
森辺:僕ね、別にディズニーって見るし、子どもができてからよく見るようになったんだけど。昔から、小学校のときにミッキーマウスのシャツを着て写ってる写真とか僕はあったから。
東:嫌いではないんですね。
森辺:それは知っているし、嫌いではないですよと、好きですよと。ただ、熱狂するほど好きじゃないし、ディズニーランドに行ってカチューシャ着けるほど好きでもないという話で。
東:はい。(笑)
森辺:でも、子どもができて、またディズニーの映画を見るようになったんですよね。アラジンとか、ビューティー・アンド・ビーストとかね、もう子どもが本当に喜んで。
東:はい。
森辺:マーベルは僕、好きなんだけど。そういうのを子どもと見るようになって。ディズニーに子どもが興味を持って「ベルに会いたい」と。ベルってビューティー・アンド・ビーストのお姫様なんだけど、あと、「ビーストに会いたい」とかね、あと、「ガストンに会いたい」と子どもが言うから、母親が「ディズニーランドに、じゃあ、家族で行こうか」と言ってディズニーランドに初めて行きましたというところが今年あって。富士急ハイランドにも行って。そしたら、この2つのマーケティング戦略がまったく違っていて、それが今の日本の製造業と欧米の先進的な製造業をまるで映し出している鏡のように思えたので、今回この番組で話をしているという、そういう経緯なんだけど、前回からね。
東:はい。
森辺:ディズニーって、それは当たり前なのかもしれないんだけど、改めてこういうふうに考えたのがね、結局、アトラクションそのものは大したことないんです。どれに乗ったって、「は?何ですか、これ?」と、「えっ、もう終わり?」ぐらいの話なんだけども、結局、そこに出ているキャラクターとか、そこの世界観を、キャラクターをもう知っているわけだから、ミッキーがそこにいるというだけで熱狂するわけだよね。
東:そうですね。
森辺:着ぐるみ、単なるね。
東:はいはい。
森辺:なんだけど、芸能人を見ているかのように熱狂するわけですよ。
東:みんな集まって。
森辺:集まるでしょ?
東:写真撮りに行きますもんね。
森辺:うん。ビューティー・アンド・ビーストも、アニメ版、実写版と言って、散々映画でもう見ているわけ、感動しているわけ。それをアトラクションのアミューズメントパークに行って、見るとまた感動するっていうね、その感動の連鎖がすごいマーケティングになっていて。
東:また帰ったら見るんですよね。
森辺:見るんだよね。
東:そうですね。
森辺:で、おみやげ買うんだよね。
東:はいはい。
森辺:もうね、仕組みづくりが最高にうまくて、だって、映画見せて感動させて、アミューズメントパークに連れていってそこで泊まらせて、アミューズメントを体験して、アトラクションそのものは大したことないんだけども、キャラクターと世界観で大満足をして、そして、おみやげを買って、また帰って、またビデオを見て。毎日行く人とかもいるわけじゃない?
東:うんうん。
森辺:一方で富士急ハイランドはね、1回のアトラクションで終わるわけですよ。フジヤマにもう何十回も乗る人ないでしょう?
東:そうそういないでしょうね。
森辺:うん。1回乗って、「ああ、すごかったね。大興奮だったね。怖かったね。また乗りたいね」ぐらいの話で、「フジヤマ、キャー!」とはならないじゃない?
東:そうですね。
森辺:「ドドンパ、素敵!」とはならないじゃないですか。
東:はい。(笑)
森辺:そうすると、やっぱり感動が瞬間風速なんですよ。一方で、ディズニーランドって感動が一生涯続くあの世界観。パークの中を歩いててもね、僕、やっぱりすごい、全然違うなと思ってね、消火器が消火器に見えないようになってるわけですよ。消防局の許可を取るの大変だったんだろうなとか、いろいろ想像してたんだけども、とにかく汚いところを見せない。汚いところが見えないようになってる、ディズニーランドって。
東:そうですね。
森辺:もうね、見事だよ。いわゆる従業員が休憩してるところとか、ご飯を裏で捨ててるところとか、とにかく現実に引き戻されるようなシーンが1つもないっていうね。
東:確かにそうですね。
森辺:ゴミ1つ落ちてないからね。一方で、富士急ハイランドは現実に戻るところはたくさん見える。別に富士急ハイランドの悪口を言ってるんじゃないですよ。
東:はい。
森辺:でもね、富士急ハイランドにしてみたら、ディズニーは当たり前じゃんと、あんな世界観をつくっているんだから、僕たち戦うのってアトラクションのクオリティを上げてそこで戦うしかないじゃんと言って、アトラクションのクオリティを上げている、そういう戦略なんだと僕は思うのよ。だから、ほかの遊園地に比べたら富士急ハイランドのアトラクションって圧倒的じゃない?フジヤマ、ドドンパ、有名でしょう?僕でも知っているんだから、行ってないのに。
東:そうですね。
森辺:だから、そう考えると、致し方ない戦略とかっていうことなのかもしれないんだけどね。なんだけど、これがまさにね、日本のメーカーと、例えばディズニーランドがね、P&Gとかさ、ネスレとか、ユニリーバとかに見えるわけですよ。もう人生一生涯そこで包んでいくわけじゃない?
東:はいはい。
森辺:だから、なんかね、マーケティング、まさにこれがマーケティングで、マーケティングの違いをすごく、やっぱり富士急ハイランドってセールスなんだよね。ドドンパに乗せるとか、フジヤマに乗せるっていう。
東:単体売りなんですね。
森辺:単体売り。ここってセールスの域を出ないわけだね。なんだけども、ディズニーランドまで行くと、循環させて永遠にスパイラルに売ると。歳を取れば取るほどのめり込んでいくというね。
東:確かに。全体最適と部分最適みたいな。
森辺:うんうん。これは違うなと思ってね。本当にディズニーランドと他を比べることが、オリエンタルランドさん申し訳ないということなのかもしれないんですけど、なんかね、すごく感じてね、まだ話し足りないんだけど。ちょっと時間ですよね?
東:はい。じゃあ、今日はありがとうございました。また次回お聞かせください。ありがとうございます。
森辺:ありがとうございました。