東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回に引き続き、富士急ハイランドとディズニーランドを比べてちょっといろいろ話をしていただいたんですけど。結局、森辺さん的にそれを感じ取ったというところは、一番大きな違いってどこに感じられたんですか?
森辺:仕組み。いくつかあるんだけどね、1つは仕組みなんですよね。マーケティングって、売ろうと思ってしまったら、もうマーケティングじゃないんですよね。これはセールスなんですよね。なんですけど、ディズニーランドって、別に何かを売ろうと思っているわけではなくて、モノ単体を売ろうとしているんじゃないんですよ。アトラクションを売ろうとかっていうことをしていない。一方で、富士急ハイランドは、ドドンパに乗せよう、フジヤマに乗せようとアトラクション単体を売ろうとしている。これってマーケティングじゃなくてセールスなんですね。一方で、ディズニーランドってね、そこに来てすべてを忘れて…。何て言うの、ああいう世界、メルヘンの世界、何て言うんだっけ。非日常の。
東:ファンタジーとかじゃないですかね。
森辺:ファンタジーの世界にね。いいね、ファンタジーだね。お客さんを引き込んでいくっていう、その価値観を売っているわけなんですよね。アトラクションを売るのと、ファンタジーを売るのって、どっちが高くて永遠に収益につながっていくかと言ったら、やっぱりファンタジーを売ってるほうがいいわけですよ。
東:そうですね。
森辺:そう考えたときに、日本のメーカーって、どれもモノを売ろうとするんですよ。だから、機能を高くする、品質を高くする。でもね、ヨーロッパの会社とか、特にヨーロッパの会社・アメリカの会社は、モノなんか売ろうとしてないんですよね、世界観を売ろうとしてたりするわけじゃないですか。だから、分かりやすいので言うと、日本の時計メーカーはね、クオーツで電波時計で時間がずれませんと。そんなことはどうでもいいんですと。裏で難しそうな機械がカチカチカチカチ動いている機械のほうが、狂っているんだけども、そこに夢があるわけじゃない?だから、人が何十倍、何百倍、何千倍のお金を払ってその時計を買うっていうね。だから、セイコーさん、ごめんなさい。グランドセイコーがどんなに頑張ったって、やっぱりスイスの名門には到底敵わないわけでしょう?
東:うんうん。
森辺:だから、なんかね、もうモノを売るっていう発想から脱しないとたぶん難しくて。「モノ売りからコト売りに」って、もうだいぶ前にこれは言われているわけですよね。
東:そうですね。10年以上前ですね。
森辺:もう10年以上前に言われているんだけども、実際にはまだまだやっぱりモノを売っちゃっていて、コトが売れていないというところにすべての問題がある気がしていて、そんなことをね、すごく感じたんですよね。
東:分かりました。ちょっと早いですけど、今日はキリがいいのでここまでにして、次回少しまとめてお話させていただければと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。