東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:じゃあ、前回からの続きで、富士急ハイランドとディズニーランドの違いというところで。
森辺:引っ張りますね。
東:いろいろ。(笑)でも、身近で面白いと思うんですね、聞いてる方も。
森辺:ぜひね、行ってみてほしいんだよね、本当にね。僕の言っていることが本当に分かるんですよ。富士急ハイランドさんの悪口を言っているわけじゃないですからね。どっちがいいとか悪いとかじゃなくて、今のまさに日本のメーカーもみんなそうなんですよ。日本企業ってみんなそうで、アトラクションのクオリティなんていくら高めても、絶対に世界観にはならないじゃないですか。それで、中国企業のほうが技術力でアトラクションの質を高めていったらね、結局それで終わってしまうというか。
東:はいはい。
森辺:でも、世界観を築き上げてきたディズニーという世界ってね、ディズニーと比べるということ自体がそもそも間違っているんだけども、敢えて比べさせてもらうとね、やっぱり全然違うなっていうね。そこをね、本当に日本のメーカーと欧米のメーカーだなということを感じたんですよね。
東:なるほど。それは、いろいろ話していただいたんですけども、まとめると、どの部分に日本企業の製造業と重なる部分があって、どの部分に欧米企業と重なる部分があって、その違いがちょっと具体的にどうなっているのかみたいな、差別的なものを教えていただければと思うんですけど。
森辺:前回、東さんが言っていたけど、部分最適と全体最適という言い方もできると思うんだよね。日本企業は、機能とか品質ね、メーカーだったらね、富士急ハイランドだったらアトラクションというもののクオリティを高めるという部分的な最適で終わっているけども、一方でディズニーランドはもう全体的な、ファンタジーを生み出すという最適で終わっていて。結局、それってプラットフォームづくり、仕組みづくりじゃない?
東:うんうん。
森辺:こういうものに欧米って、どの業界の企業も長けていて、ここを目指しているんだよね。
東:そうですね。
森辺:なのに、一方で日本企業というのは、部分単体をどれだけ研ぎ澄ますかみたいな。そうすると、結局、そういう部分というのは、プラットフォームの中での一部分にしかならないから、いつまで経っても欧米超えはできないというね。一方で、中国が下から追い上げてきているということを考えると、やっぱり日本も独自の世界観をつくるということをね、良いコンテンツいっぱいあるのに、グランドデザインを描く力がすごく弱くて。例えば、ディズニーじゃなくてね、何だっけ、あれ、宮崎駿のね。
東:ああ、ジブリの?
森辺:ジブリのね、あの世界観あるわけじゃないですか。見据えるべきは100年後で、100年前にディズニーができたのか、たぶんそれぐらい前でしょう、あれって。
東:はい。
森辺:どれぐらい前にできたか分からないけど、70年、80年ぐらいかな、もっと前なのかな。分からないですけど。でも、そういうことを考えていくと、あれだけ感動するジブリの世界があってね、あの世界観をそういうものに変えていくという、コンテンツはあるんだけども、たぶんグランドデザインがいまいちしっかり引けてないというか、そこが不得意だよね、われわれはね。
東:そうですね。
森辺:だからね、本当にね、子どもを連れていったんだけども、そのことをね。
東:実感したんですね。
森辺:うん。痛感してしまったなっていう、ディズニーってすごいなと思ってね。
東:はいはい。
森辺:富士急ハイランドもすごいよ。面白いよ。面白いんだけど…。そうなんだよね。なんかね、軸なんですよね。
東:はいはい。
森辺:ほんと、ディズニーと言ったらこう、何とかって言ったらこうみたいな。でも、ほら、富士急ハイランドはそうは言ってもほかの日本のアミューズメントパークに比べたらもう圧倒的に、たぶん彼らの戦略でアトラクションのクオリティを上げるというところにフォーカスをしているんだと思うんだけど、戦略的にはね。だから、素晴らしいことだとは思うんだけどね。なんか本当にそれを感じた、そんな経験でした。
東:分かりました。じゃあ、最後にまとめていただいて終わりたいと思うんですけども。
森辺:はい。ディズニーすごい!
東:(笑)分かりました。
森辺:あのディズニーになろうとかって言ったら怒られちゃうのかもしれないけど。でも、そういうことで、もうモノを売ったってしょうがなくて、世界観。それって、でもね、本当に理念とかビジョンみたいなところがなぜ大切かと言ったら、まさにこういうことなんだよね。結局、自分たちは何者なんだ。何のために何を実現する組織なんだということがもう明確だから、それ以外のものは全部排除でしょう。
東:うんうん。
森辺:それをひたすら追求していくということが、その世界観をつくっているわけなので、モノの品質とか機能にもう価値はないですよということを改めて感じた、そんな週末でございました。
東:分かりました。では、森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。