森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日もぼっちPodcastでございます。東さん、忙しそうだね、本当にね。いつも電話しているんですよ。海外の人とね、オンラインミーティングって言うんですか。おそらく国内の自宅かどこかにいる社員、プロジェクトのチームをやっている社員と海外のディストリビューターなのかな、小売なのかな、とテレビ電話をしながらね、いつも難しい顔して、たまに怒鳴ってるときありますけどね。(笑)東さんのことを知っている人だと何となく想像がつくのかもしれませんけども。忙しいので、あんまりね、ナビゲーターに、やれやれということで時間を束縛するのはあれなので、ちょっとしばらくぼっちPodcastということでやっておりますけども…。
今日は何の話をしようかな。前回、前々回ぐらいはマーケティングにとって重要なことは何ですかということで、僕は視点とセンスが重要だと思いますよという話をしたと思うんですけど。じゃあ、その話の続きということで。
僕ね、もう1つ重要なことがあるなと思っていて、いろんなグローバルのアジア新興国市場のプロジェクトをやっていて思うのがね、日本企業の、これはいけない癖なのかもしれないんですけど、「まあまあそうは言っても」という言葉があると思うんですけどね。「まあまあそうは言っても、やっぱりこうしましょうよ」ということが非常に新興国事業をやる中でプロジェクトをやる中で大きく出てきていて。「マーケティング戦略上こうすべきだ」という結論が理論的に出ているのに、今までやってきたことはこうだし、現状はこうだから、「まあまあそうは言ってもこうしましょう」という、そこに突然非合理が持ち込まれてしまうという、そういうことっていうのが、日本の組織というか、社会、企業は非常に多くて。
これはアメリカ的な組織というか企業の場合は、基本的にビジネスに非合理は持ち込まないので、極力ビジネスから非合理を排除するという傾向が強い。もちろんすべてのアメリカ企業がというわけではないけども、先進的なグローバル企業と言ったほうがいいですかね。先進的なグローバル企業は「強さって何なんだろう」ということをずっと研究していると、彼らの強さって、スキルセットみたいなところの強さはもちろんそうなんだけども、ルールがあるんですよね、物事を遂行していくときの。そのときに非合理を絶対に持ち込まないということで、いかにすべて合理的に進めるかという、もうそこのチョイスなんですよね。人間って選択肢迷うわけで、そのときにどっちが合理的かということで全部決めていくという、これが先進グローバル企業。
そのときに日本の社会って、何かこう、「まあまあそうは言っても」という言葉が何かを決断しようとするときに非常に多く出てきてしまっていて。例えば、中間層がすごく重要だと、消費財メーカーにとって中間層が重要だから、新興国に出るんだったら、ASEANに出るんだったら中間層を狙おうと。中間層を狙うための商品であったり、価格であったり、チャネルであったり、プロモーションであるべきだということは、賢いですからね、皆さん、頭では理解している。しかしながら、「まあまあそうは言っても、やっぱりわれわれが日本で培ってきたこの高付加価値の製品をベースに徐々に中間層におりていく、まずは上から取っていきましょう」みたいな、ということでいつまで経っても中間層に到達できない、つまりは伝統小売の攻略ができなくて、なかなか大きな売上にならないという消費財メーカーはたくさんいるわけですよね。これはB2Bでも一緒で、基本的には一番インダストリー、自分たちのターゲット、セグメンテーション、ターゲティングをやって決めたターゲットに対して、一番ここが大きくてうまみがあると、自分たちはやるべきだというターゲットがあるにもかかわらず、やっぱり商品を変えたくない、変えるためには労力がかかる、価格を下げられない、いろんな理由を持ってきて、それを後回しにして、今のままでできるところからまずやろうという、そういう結論になるわけなんですよね。
「今のままでできることからまずやろう」なんだったら、そもそも新興国は手を出すべきじゃなくて。新興国って大きく何かを変えないと、やっぱり前に進めない市場なので、「まあまあそうはいっても」ということを、いかにビジネスの選択をするシーンから除けるかということが、僕はやっぱりマーケティングにとってすごく重要なことで、せっかくマーケティングリサーチをやっても、「まあまあそうは言っても」が出せるんだったら、その非合理を持ってこれるのであれば、何のためのマーケティングなのかがよく分からなくなってしまうので。やっぱり日本の古き悪しき習慣を排除すると、ビジネスからは非合理を取っ払うということが重要なんじゃないかなというふうに思います。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。