森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹でございます。前回からの続きですかね。前回の続きで、新興国市場におけるローカル人材採用についてお話をしていきたいなというふうに思います。続きです。
前回、ローカルの人材はすぐ辞めるとか、あまり使えないとか、そういうネガティブなお話をたくさん日本企業から聞いてきましたよと。その要因というのは、実は人材側に問題があるんじゃなくて、採用している企業側に問題があるんですよと。なぜならば、日本企業はとにかく優秀な人材を採用しようとすると。じゃあ、この「優秀の定義は何か」と言うと、そこは非常にぼんやりしていると。ただ、とにかく優秀な人材が欲しいと。
重要なのは、優秀な人材を採用するのではなくて、自分たちがやらせようとしている業務、つまりはジョブディスクリプションに合致した人材を採用すべきであって、それが合致していればすぐ辞めることも、優秀じゃないと思うこともないわけなんですよね。ただ、そのジョブディスクリプションが何でもかんでも日本の会社員みたいに「オールマイティにうまく察してできる人材」みたいな、そういう思いがどうしても頭から抜け切れず採用してしまって、実際にはやらせる仕事に飽きてしまってすぐ辞めてしまう、もしくはやらせる仕事が合致していないので使えないということになっていますよと。これは採用する側の問題ですよという話をしたと。その続きなわけなんですけども。
まさにその通りで、結局、例えばB2Bの企業で、セールスをやると、ユーザーに訪問しますと。そうすると、自分たちの決めたエリアのユーザーをリストアップして、そこにテレアポをして、訪問をしてみたいな、そういう仕事になるわけですよね。そうすると、そこを毎日どれだけ飽きずに愚直にできるかという人材を今、自分たち組織は欲しているのに、何かすべてをやろうとする、マーケティング戦略から考えてセールスまで全部やるという、マーケティングとセールスってまったく違うので。だとすると、そのお給料でその採用しちゃ駄目という話になるんですね。マーケティング戦略をつくらせたいんだったら、やっぱりもっと高いフィー体系で、先進グローバル企業と比較しても引けを取らないようなフィー体系で、すでにそういうポジションで業務提携のある人材を引っこ抜いてくる、半ば採用というよりかはヘッドハントしてこないといけない、そういうレイヤーの人材なわけですよね。そういう思いを持ったまま、そうじゃないレイヤーの人材を安い賃金で雇おうとして不一致が起きているということは非常に多いので、やっぱりそこは非常に気を付けていかないといけない。
日本企業が新興国市場における採用において何をすべきかというのは、まず優秀な人材を採用しようと思うのを辞めると。そもそも優秀の定義が曖昧なのに、「とにかく優秀な人材を」ということをやめる。そして、これからやらせようとしているジョブディスクリプションをとにかく明確にする。海外の採用って、ジョブディスクリプションと報酬、もうこれしかないんですよね。どういうジョブディスクリプションに対してどういう報酬体系になっているのかということなので。そこをやっぱり明確にしないと、採用もグローバルに競争することになるわけで、重要な、優秀な人材を雇おうと思うと、他の国の企業に取られていっちゃうわけですよね。そうすると、やっぱり日本でやってきたような採用をそのまま海外で展開してもなかなかちょっと難しいと。
すぐ辞めている例って何かと言うと、よく言われるのがね、日本企業からよく言われるのが、スキルアップのために辞めていくんですと言うんですけど、そうじゃないんですね、よくよく聞いてみると。僕はもう何千人ってローカルのお客さんの企業の社員にインタビューしてきていますけども、自分たちがスキルアップしたいというのは、もちろん表向きはそうなんですよ。それも1つのあれなんですけど、実際にはスキルアップというふうな回答をしているんだけども、結局、今やっている仕事に飽きてきているからもっと上をと、その表現が「スキルアップ」という話になっているだけで。実際には、業務を飽きさせない仕組みをつくるのか、もしくは飽きない人材を雇うのかなので、優秀になればなるほど、できたら飽きるんですよ、絶対に。人間ってそうですよね。優秀であればあるほど、できちゃったら飽きて次のステージに行きたがるので。だとすると、そこにうまく飽きがこないような仕組みを入れていくのか、もしくは飽きのこない人材を雇うのかということを考えないといけないので、そこの工夫がやっぱり日本の現地の新興国市場のローカルの採用では、まだまだ行き届いてないというふうに見受けられるので、そこはやっぱり気を使っていかないといけないなというふうに感じます。
また今日も時間が来ちゃいましたね。もう1回ぐらいこの話したいですかね。またちょっと次回、もしかしたらしないかもしれないですけど、続きをしたいと思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。