森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も前回に引き続き、僕がここ最近気を付けていることについて、意識的にやっていることについてお話をしていきたいなというふうに思います。
自分の日々の生活から、ビジネスにおける生活ですね、から非合理を徹底的に排除するんだということをやっています。これね、ビジネスじゃないところで「非合理の排除」とかやったら、ものすごい嫌な人みたいな感じですけど、基本的には家庭ではやりませんと。会社の中だけでやるということを気を付けていると。敢えて気を付けていると。
どういうことかと言うと、日本の社会、商習慣の中にはいろんな非合理があって。ちょっとしたことなんですよ、本当にちょっとしたこと。例えば、前回もお話しましたけど、返信用封筒に「行」って書いたあるのに、わざわざそれに二重線して「様」に書き換えて送り返すとか、相手のことを考える、非常に心温まる良い文化だし、僕もそれはすごく尊重しているんだけども、ことグローバルビジネスでは、こういうことをするマインドがそもそもいろんなことの経営判断を誤ってしまうし、スピードを遅めてしまうし、合理的でない判断もときにしてしまうことにつながっているんだろうなということをすごく感じるので、とにかく自分の判断からそういうことをなくしている。
例えば、人にものを断るときに、行くのか行かないのか分からないような返事をするみたいな、「調整します」みたいな、そういうことは徹底的にしない。もう聞かれた時点で僕の場合は、行くか行かないか分かっているので、「ごめんなさい。ちょっと行けません」ということを明確に言う。行きたくないというときに、「いや、すみません。行きたくありません」と言ったら、これは嫌なやつなので、「すみません。ちょっと行けません」ということを言うようにしているし、あまり行きたくないから行きませんということもないんですけどね、誘われたら全部行くんですけど。ただ、曖昧な判断をしない。
日本ってありますよね。「ちょっと調整してみますね」みたいな。「調整してみます」と言われて返事がなかったら、もう来ないということだみたいなのが基本的には暗黙の了解知として存在しているわけですけれども、これは別にアジア新興国で「調整してみますね」と言われたら、「どう?調整できた?」という話がずっと来ちゃうので、早く「No」と言ってあげると。
なぜ「No」と言えないんだろうと思ったときに、「No」と言うことによって相手がどう思うだろうということを考えちゃうんですよね、日本人って。本当にいい人だなと僕は思うんですけど。でも、そのことがいろんなことをややこしくしている。「一緒にビジネスをやろう。協業して前向きにやろうよ」と。もう「No」なんだったら「No」と言ってあげないと、「なぜならば僕たちはこうこうこうだから」という話なんですよね。なんだけども、「そうですね」と、「ちょっと協議していきましょう」みたいな。いや、協議するつもりないじゃん、そもそもみたいな。そこに対して「協議していきましょう」と、可能性をどっちつかずにする。こういうことがやっぱりよくないと思うので、基本的には、もちろん言い方はありますよ、言い方、礼儀、それはあるものの、やっぱり結論を先に言う。日本語だとやっぱり、何て言うのかな、気を使うような単語がいっぱいあるので、どうしてもそっちの単語を持ってきちゃうということなのかもしれないなと思っているんですけど。英語だと「No」と別に最初に言ったらいい話なので、言語にまつわるようなこともあるんだとは思うんですけど。
ただ、いずれにしろ、自分が何かを判断するときに、どっちが合理的かなというので僕は全部判断するようにしていて、合理的じゃない、非合理なものを全部排除してしまう。だから、社内の規定やルールも全部そうですし、何かの判断をするときは、どっちか合理的なほうを選んでいくと。
日本の社会って、「合理的なほうはAなんだけど」とみんな分かっているんですよね。みんな分かっているんだけども、「まあまあまあ、そうは言っても」みたいな、こういう価値観がやっぱり存在していて、「いや、Aなんだよと、正しいのはAなんだけども、まあまあ、今までBでやってきてるから、やっぱりここはBでいきましょうよ」みたいな。もしくは「Aが正しいのは何となくわかるんだけども、まあまあ前例がないから今まで通りBでいきましょう」みたいな、そういうことが本当に多くて。それがやっぱりグローバルビジネスを大きく邪魔をしている。グローバルビジネスの判断。
これはビジネスだけじゃないかもしれないですよね。政治を見ても、G7とかの中では別に日本が一番先頭を走っているようには見えないので、やっぱり誰かの判断に追従していくというスタンス。これは別にビジネスの世界も一緒で、誰かの判断、誰かが先駆者として市場にいて、そこに2番手3番手、もしくはもっと後ろで追いかけていくということになっていると。
なので、話がまとまってなくて申し訳ないんですけど、僕は日本の良いもの、ときに非合理なものって、われわれはときにそれを美徳として捉えていて、それは一般の社会、生活においては非常に本当に美徳だし、相手を敬う考え方というのは僕はすごく好きなんだけども。でも、残念ながら、その価値観というのはこの海で囲まれた島国日本だけの中の話で、いざ外に行ったときにその価値観というのは何の美徳にもならないと。何が、じゃあ、今、世界の共通の正しい価値観かと言うと、どれだけ合理的かどうかということがやっぱり問われる。特にビジネスは合理的かどうか。もちろん短期的な合理、中長期的な合理というものはあると思いますが、やっぱり非合理を許してしまう価値観がどうしてもビジネスの現場に出たときに、グローバルのビジネスの現場に出たときに、自分たちの判断を遅めたり、間違ったりさせているんじゃないかなというふうに僕は思うので、そんなことを気を付けています。
正しいかどうか分かりませんけど、僕が気を付けていることなので、皆さんにシェアをしたいなと思って今日お話をしてみました。皆さんも1回考えてみて、正しいかどうか、また教えてください。
今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。