森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、人間の慣れる力ということとマーケティングの相関関係について、少し話をしてみようかなと思っています。僕も頭の中が完全に整理できているかと言うとそうではなくて、こうして皆さんにお話をしながら整理をしていきたいなというふうに思っているんですけども…。
人間って慣れるよねってすごく思うんですよね。これは良い意味でも悪い意味でもそうなんですけども、人間は慣れていく生き物であると。例えばこれは、うれしいことが起きても悲しいことが起きても、それが連続して起きたりとかしていくとどんどん慣れていく。例えば100ぐらいのうれしいことが起きても、それが連続して起きるともう100では満足できなくなるし、悲しいことも同様だと思うんですよね。もちろん防衛本能が働いてそうなっていくということもあるんでしょうし。とにかくいずれにしても人間は慣れる生き物であると。
この慣れる生き物に対してどうやってマーケティングしていくのかというところがすごく僕は重要だなと思っていて。マーケティングを考えるときに、慣れる生き物に対してこれから取る行為なんですよということをものすごく認識をしていく必要があるなというふうに思うんですよね。僕がここ数十年を振り返った中で、いろいろなパラダイムシフトが起きていて、人間はいろいろなことに慣れて、過去の価値観から今の価値観に変わっていったということを目の当たりにしてきたと。
例えば、スターバックスとかタリーズみたいなコーヒー屋さんの登場、あれも15年、20年ぐらい前なんですかね、それぐらい前だと思うんですけど。その前まではその辺の喫茶店でコーヒーを飲んでいたし、なんなら缶コーヒーが主流だったんですよね、僕が大学生のときとかって。喫茶店にわざわざ入るということももちろんそうなんだけども、その前に缶コーヒーだったんですよね。それがスタバみたいな、喫茶店なんだけども、喫茶店ほど腰を据えてゆっくりコーヒーを飲むというよりかは、to goでパッと頼めてみたいなね、こういうコーヒー屋さんが出てきて、それもおいしいと。多少高いんだけども、缶コーヒーより圧倒的においしいよねとなってくると、やっぱり缶コーヒーの売上というのは激減して、一方でスタバ―のようなコーヒー店が広まっていったという、こういうことにも慣れていっているわけですよね。
Uber Eatsなんかはまさにそうだと思うんだけども。特にコロナ禍になって、どうしても食事に行けなかったということも相まってということなんだけどもね。Uber EatsとかZoomなんかもそうですよね。今まで、コロナ禍にならなければテレビ会議をするなんて、海外とだったら分かるけど、国内でテレビ会議って何考えているんだという話だったと思うので、こんなに良いものを使っていなかったと。こんなに便利なものをね、毎回毎回往復何時間もかけてとか、もしくは1時間かけて、交通費かけてお客さんのところに行く必要は本来はなくて、5回のうち1回でよかったと、対面はね。あとは、4回は別にオンラインでよかったみたいな、そういう意味でも新しい発見をわれわれ人類は明確にしたわけなんだけども。そうやって慣れていくと。
慣れていっていることって結構いろいろあって、本当にくだらないことでもあると思うんですよね。例えば、昔、月9のドラマとかを、あらゆるドラマを席捲した役者で吉田栄作というのがいたんですけど、ものすごくかっこよくて、僕も中高生ぐらいだったかな、うわ、かっこいい人だなと思ってみていましたけど、でも、あの人いつの間にかいなくなってしまって。最近また出ているのかな、分からないですけど。吉田栄作がいない世界なんて、芸能界なんて考えられないぐらいに確か人気があったんだけども、いざ、いなくなってくるとだんだん慣れてくる。SMAPだってそうですよね。SMAPのいない世界なんて。けど、SMAPがいなくなって。YouTubeとかちょこちょこ出ているのかな、最近はね。慣れるわけですよね。だから、いろいろなことに慣れてくる。ガラケーだってそうですよね。ガラケーからスマホ。スマホが出たときに「誰がこんなの使うんだ?」とみんな言ったわけですけども、慣れてくるわけで。人間ってそうして慣れていくという。
この慣れていく生き物に対してマーケティングを行うときに、僕は、どれだけ継続してそれを続けていくか、マーケティング行為をずっと継続して続けていけるかということと、どれだけ規模を広げて続けられるかという、実行できるかという、この2つの軸が本当に重要だなと。世の中に絶対必要だなんていうものは、もう空気と水と食料とかね、そういうもの以外あり得なくて。企業が提供するようなものというのは絶対に必要かと言うと、絶対ではない。でも、あったほうが圧倒的にいいし、あったほうが全然、あらゆるものが豊かになるという、そういうものを提供している中で、継続をするということと規模を広げるということは、慣れていく人類に対するマーケティングの上では本当に大切なことなんだなということをすごく感じるんですよね。
また話が長いから時間を過ぎてしまいましたので、今日はこれぐらいにしますけども。この慣れていく人間に対して、どうやって効果的にマーケティングを実行すればいいのかということ、それには継続ということと規模を大きくしてやっていくという、この2つの軸が非常に重要だなというふうに思っているので、もう少し掘り下げて次回話していきたいなというふうに思います。
それではまた皆さん、次回お会いいたしましょう。