東:こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺:こんにちは、森辺一樹です。
東:では、森辺さん。リスナーの方からいただいたメール、ご質問にお答えいただいたと思うのですけど、もう1通同じ方とやり取りをしていて、このRさんはどんな業界でどういうことをやっているのですか?みたいなお話をしたのです。そのままメールを読ませていただくと、「小職の業界は精密機械でOA機器になります。アジアを中心に海外展開しておりますが、中でも中国ではメーカー直販とディーラー販売、販売代理店の双方を実施しております。対前年成長はしているものの、一時期の勢いは減速しております。このような状況ですが、もし他の日系企業でビジネスを拡大している企業がございましたらぜひご参考にしたく思っております。よろしくお願いします。」とご丁寧にいただいたのですけど、この参考にしたい日系企業という形ではピジョンさんとヤクルトさんをご紹介したので、ぜひこれを参考にしていただければと思うのですけど、一方でこのOA機器ということで、どの業界か分からないのですけど、複写機とか複合機とかの多分業界なのかなと推定すると、これは質問にはないのですけど、Rさんの立場に立ってみると、どんな形が中国でやるのであれば良いのかなというのは、森辺さんなりにはどう思いますか?
森辺:OA機器ですよね。なので、でも前回か前々回にお話をしたピジョンとかヤクルトの話をした人というところとチャネルというところとブランドというところは変わらないです。これはどの業界だったって変わらないので、製造業である限り。ここは基本的には同じですよという中でお話をすると、1ついわゆるOAとか家電とか電子とか電気とかの業界は現地適合化が1つポイントかもしれないです。結局その開発、生産、販売と全部が関わってくるのですけど、そのチャネル。ヤクルトみたいな飲み物に比べると大きいではないですか、物が。それを現地適合化のレベルも味を変えて、ボトルの大きさを変えるとかそういうレベルではないわけです。もっと複雑なわけです。中国だとたとえばセグメントというお話をすると、多分日系とか外資系の上位クラスの企業さん。ここは恐らく直販しているのではないかなという気がするのですけど、こういう会社は先進国の自国で使われている同じ機能を提供してくださいねと、そういう話だと思うのです。ものすごく早いスピードで印刷ができる、にじまない、きれい、詰まらない、さらにホチキス止めをしてくれて、ソーティングもしてくれる。いわゆる最高の複合機という感じです。けど、一方大半の中国の企業はそこまでの複合機を求めるかというとそうではないので、いかに機能を外すかという話です。我々だと会社で複合機使っていますけど、ぶっちゃけ押すボタンは。
東:限られていますよね。
森辺:僕は1つしか押したことないですけど、押している人でも多分2つ、3つだと思うのです。使わないと言えば使わないわけで、たとえば中国なんかだとA3は我慢します、諦めます。A4だけでいいですとかね。白黒でいいですとか、ホチキス止めいりません、ソーティングいりません、何とかいりません。これが現地適合化なわけなので、いったい市場、自分たちがターゲットとしている市場がどのレベルの適合化を求めているのかというのが1つやらなければいけないことです。
東:このOA企業というのは、機器というのは日系企業が意外とデジカメもそうですけど、非常に強いですよね。
森辺:特に複合機なんかはめちゃめちゃ強いのではないですかね。
東:そこにHP、アメリカのHP(ヒューレットパッカード)。今だとサムソンとか中国のレノボグループが入ってきているような市場構成になっていて、HPが1社。アメリカ系でありますと。あと日系が7、8社ですかね、あとはレノボとサムソンのここの戦いみたいな形になっているような感じがするのですけど、そうするとレノボとサムソンは競合として見た場合、中国での結構ポジションというのは、ポジショニングという話で言うと、他の携帯ですとか、レノボだったらPCは結構強いと思うのですけど、そこでの販売代理店の差というのは少し出てきているというのが考えられるのですかね?
森辺:十分考えられると思います。基本的にサムスンの携帯を売っている代理店を通じて複合機が売れるか売れないかというのは問題として違ったとしても、基本的にはレノボにしろ、サムスンにしろ、中国における販売代理店も構築のノウハウがめちゃくちゃあるわけなので、そういう意味ではチャネルづくりがうまいですよというのが前提としてある。あと複合機市場に対する後発参入なので、彼ら多分A3とかの超複合機みたいな超複合機というのかな、業界だと。いわゆる我々が見ているようなスペシャルな複合機、1番良いやつくださいと言ってくれる複合機を作っていないはずなのです。A4だけ出せるとか、機能がかなり簡素化されている現地適合化しているマスマーケットをねらったマスマーケットというか、いわゆる上位層は日本が強いわけです。富士ゼロックス、コニカミノルタ、東芝、SHARP、Canonみたいなところがいるわけではないですか。ですから、そうではない一番パイの大きい中堅中小企業SMEのところをねらった安価版を相当出しているはずなので、そこの2点ではないですか。現地適合化とチャネルづくりがうまいですというのだと思うのです。
東:そうすると一時期伸びていたけど、これはあくまでもOA機器を我々Rさんの、リスナーの方の質問を複合機と捉えて話をしていますけれども、現地適合化とチャネル。特に販売代理店、リーダー販売と呼ばれるところで少し差が生まれることがサムソンと出てきているような。
森辺:複合機とかで、OA機器の中で、複合機で言うといわゆるハイエンドではないですか。商品の技術が高いではないですか。OA機器は多分いっぱいあると思うのですけど、もっとローテグにいけばいくほど現地企業でも容易に参入できる、もしくはしている。
東:たとえばFAX機だけとか。
森辺:電話機とか、それから何だろう、いっぱいありますよね。そうするとほとんど中国で作られていて、恐らくリスナー、ご質問いただいたリスナーの方も工場が中国にあって中国で作っているかもしれない。そうなってくると価格の差というのが出てくるので、それをどこまで埋められますか、現地適合化出来ますかというのが1点と、その差があるからこそブランドに繁栄させないといけないし、チャネルにおけるパフォーマンスに繁栄させないといけないし、多分そこがどの日系企業も苦労するところだと思うのです。価格が高いのに何でという、ブランドがあるからしょうがないなという、品質が良いからしょうがないなという。それがあまりにもかけ離れていたらいくらなんでもという話なので、どこが妥協点なのだろうというところが1つですね。
東:中国は特に日本企業からすると現地適合化が非常に難しい市場ではあるのかなと。Apple、iPhoneが出てくればシャオミーみたいな携帯が出てくるし、Facebookもあそこでは通用しないからTwitterとかでも独自のTwitter、中国版のTwitterが出てきてしまったり、そんなイメージがあるのですけどどうですかね。
森辺:基本的にセグメントなのです。高級品が売れるという話を聞けば、いや安くないと売れないというのを聞くわけではないですか。これアジアに行ったらどこでも聞くわけなのですけど、日本みたいに北海道から沖縄まで同じ所得水準、同じ文化、食文化、いわゆる全てが同じ国は世界にはないわけで、特に中国は13億も14億も人口がいたら明らかにセグメントで、iPhoneを欲しいという人たちは14億の中のこのセグメントと完全に決まっているので、Appleはそこだけを狙っているという話だと思うのです。なので、セグメントをしっかりと分けないと駄目だと思うのです。OA機器を求める企業になるわけなので、そのセグメントはいったいどこなのですかということだと思うのです。
東:進むときにそれに適切な販売代理店がきちんと使われているのかどうかというのもやはり同時にチェックしていかないと。
森辺:そのセグメントにチャネルがない代理店だったら意味がないですし、逆にそのセグメントだったら直販のほうが、効率が良いかもしれないですし、そこはそうです。
東:そうするとイメージ的にサムソンとかレノボというほうがどのセグメントにもチャネルを持っているイメージがあって、これはもう一般的な、私の勝手なイメージですけど、日系企業のほうがセグメントに特価しないとなかなか難しい感じがするのですけど。
森辺:レノボなんか中国企業ですからね。
東:そうですね。レジェンドでしたもんね。
森辺:だから難しいですよね。セグメントに特価したチャネルづくりをしたほうが良いと思いますけど。
東:どのセグメントで勝っていて、どのセグメントで負けているか。なんでそれが負けているのかというのは多分販売代理店の強さにヒモづいてくると思うのですけど、そういったことが、これはどのくらいの単位で見ればいいのか、省単位で見ればいいのか、やはり市単位で見ればいいのか、市ではなくてその下の県とか区までみないといけないのかというと、森辺さんのイメージとして。
森辺:基本的には省単位でいいと思いますけど、省単位で見てそのセグメントの法則が完全に可視化されたら、あとは前回か前々回にお話をした掛け算なのです。直販なのか販売代理店なのか、販売代理店だったら販売代理店数かける1代理店の販売台数が売り上げになるわけなので、そこをひたすら追求していくというところなので、ただここにある先のセグメントを間違えていたらいくら販売代理店を広げても、いくら販売代理店を支援してもいっこうに売れる数字の効率が、RYが悪いです。だからセグメントは間違えては絶対駄目というのは大前提です。
東:まずそのセグメントをどこにターゲットを置くのかという。
森辺:それは自社の製品がどこのターゲットにマッチしているのかという観点と、どこのセグメントだとどういう競争優位性があるのか。もしくは競合対競合の脅威があるのか、ここを見ていって一番プライオリティーの高いセグメントはどこかという。多分4つのマトリックスで見ていくと、縦軸と横軸で見ていくと分かりやすいと思うのですけど。
東:なるほど。非常に分かりやすいと思うのですけど、余計なお世話かもしれないですけどRさんのご質問で業界が分かったので我々の解釈をしたのですけど、最後に3回にわたってRさんのご質問に答えてきたのですけど、森辺さんからRさんに一言。
森辺:Rさん、いつもありがとうございます。説明が分かりづらければ、また質問をいただいても構いませんので、今後ともコミュニケーションとれればと思います。頑張って中国事業の拡販に挑んでみてください。ありがとうございます。
東:それでは今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。