森辺: 皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日で3回目かな、伝統小売と近代小売は両輪で攻めるみたいな話をずっとしていますけども。前回の続きですけどもね、そういうわけで近代小売と伝統小売というのは両方、両輪で攻めていかないといけなくて、これがセットになって初めてVIPではマーケットシェアが獲れるという、そういう構造になっています。そのときに、近代小売で売るものと伝統小売で売るものというのはまったく同じであってはダメで、商品そのものとしては同じでいいんですけども、それをどうやって入数を工夫するかとか、パッケージ形態を工夫するかとか、グラム数を工夫するか、ということが重要ですよというのは前回話しましたけど、そうやって売っているわけなんですよね。
伝統小売で売るときというのは、いかに今欲しい分だけを買えるかという、これが伝統小売の最大のポイントです。伝統小売って別に安く売っているところじゃないんですよ。いかに今使いたい分だけを買えるか、これが個人にとってのキャッシュフローを良くするポイントなので、消費者も分かっているんですよ。スーパーで買えばもっと安いと。ただ、10個買うと持ち出すお金がキャッシュが多くなってしまうと。それができないから伝統小売で買うわけで。例えば、フィリピンでまだお給料が月に2回あるとかね、給料日がね、そういう構造なわけですよね。そうすると、シャンプーでもボディソープでもいいですけど、流しの下にね、なくなったときのための予備をわれわれは置いておくけど、予備なんか置けないわけですよね。だから、サシェットで売っていると、3日に1回シャンプーしようと、もしくはデートの前にシャンプーしようと、使いたい分だけのシャンプーが売っているという、そういう構造なので。これは新興国に行けば行くほど、インドとかアフリカに行けば行くほど、その度合いが強くなると。
ASEANの伝統小売で音(ね)を上げているようだと、インドとかアフリカの伝統小売ではまったくもって通用しなくなってしまうし。逆にね、今のASEANの伝統小売を本気で攻略するという、このノウハウって、必ずインドとかアフリカの市場、それから南米の市場に生きてくるので、めちゃめちゃ費用対効果がいいんですよね、ASEANの伝統小売に投資をする、そのノウハウを社内で蓄積するなんていうのは。だから、どういうふうに伝統小売のチャネルをつくったらいいんだろう、どういうふうに近代小売と伝統小売を両輪で攻めたらいいんだろうということを、まさにASEANで日本企業は実証実験するべきでね。早くやった者勝ちで、早くやっている先進グローバル企業、例えばユニ・チャームにしろ、味の素にしろ、どんどん、どんどん、インドやアフリカや南米にも出ていっているわけですよね。彼らのもう販売チャネルの型が出来上がっていますから。販売チャネルというのは型が重要で、どうやって自分なりの型をつくるかということはすごく重要。P&Gとかユニリーバとかネスレみたいな先進的なグローバル企業がなぜ強いかと言うと、彼らは自分たちの販売チャネルの型を持っているんですよね。僕は今、この販売チャネルの型の本を書いていますけど。今年出せるかな…。今年か、遅くとも来年早々には出せると思いますけど。やっぱり型をしっかり持っておくということが重要なので、「両輪で攻める」というのも1つの型ですし、そんなことを今一度日本企業は考えていってもらえたら、この「近代小売と伝統小売の両輪で攻めていく」ということが達成できるのではないかなというふうに思います。
それでは今日はこれぐらいにして、また皆さん、次回お会いいたしましょう。