森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、何のお話をしましょうか。今日は、ディストリビューターの機能についてお話をしていきたいなというふうに思います。
ディストリビューターの機能ということで、日本だとディストリビューターってよく代理店、販売店とかっていうふうに呼ばれますけども、実はこの代理店と販売店って非常に大きな違いがあって、天と地ほど違うんですけども。あまり意識しないで、日本では使っているケースがありますよね。「うちの代理店が」とかって、「いやいや、それは販売店でしょう」みたいな。代理店というのは、メーカーの代理で顧客にセールスをする。なんですけど、契約自体はメーカーと顧客が直接結ぶというものが、これ代理店なんですよね。例えば、保険の代理店とか携帯電話の代理店、これは全部代理店なんですよね。携帯電話も、実際の契約は顧客とキャリアがしますよね。保険も、保険会社と契約をかけたい契約主がするわけですから、それを売っている人たちというのは代理店なんですね。代理で顧客をメーカーに連れてきて、契約自体はね、契約書は、それは代理店が用意しますよ。用意しますけども。でも、契約の甲と乙というのは顧客と保険会社、顧客とキャリアみたいな、こういうものを代理店というわけですね。
じゃあ、一方で販売店って何かと言うと、自分たちの商品を一旦買って、そして、それを再販する人たちを販売店と言うわけですね。例えば、機械メーカーさんとか。車のディーラーなんかも販売店ですよね。代理店とは言わないですね。車のディーラーは販売店。なので、これは大きな違いですと。買い取って売る。買い取るということは、これは返品できるできないの契約はそれぞれの契約に基づくんでしょうけども、大きな違いで、代理店と販売店というのはもうまったく違う。
英語で言うと、ディストリビューターというのは販売店なんですよね。エージェントというのが代理店になるので。よく「代理店が、代理店が」と言うんですけど、「いや、それはディストリビューターです」と僕は気になってしょうがないので、ここはしっかり区別するというのがすごく重要で。海外で言っているのは、ほとんどのケースがディストリビューター、販売店です。販売店であるということがまず大前提としてあって。
今日はディストリビューターの機能についてお話をするというふうに言いましたけども、「販売店の機能って何ですか」と言ったときに、日本だとセールスですよね、1つ大きいのは。メーカーから商品を買い取って、そしてそれを営業して売ってくるというセールスの機能が1つ。もう大変重要なというか、一番重要な機能。そして、次がデリバリーの機能。売る商品を自分たちで配達していくと。日本は物流システムが大変近代的なので、ヤマトがあったり、佐川があったり、郵便局があったりと、大きいものだったら運送会社があったりということで、運送・物流会社がそれをデリバリーするというのがルールなのは…、ルールというか常識なので。基本的には販売店さんのディストリビューターの主たる業務というのはセールスなわけですよね。プラス デリバリーという、こういう感じだと思うんですけど。
でも、新興国に行くと、ディストリビューターの主たる業務が、実はセールスよりもデリバリーだったりするというケースが非常に多くて、ここを間違えるといつまで経っても商品が売れないみたいなことになるんですよね。例えば、ベトナムなんか分かりやすい例なんですけど、ベトナムなんかはディストリビューターと言うとデリバリーをする会社なんですよね。デリバリーをする。セールスというのはメーカーがするので、メーカーの人間がセールスをしますと。そこに対して商品をデリバリーする。なので、マージンが安いですとかね。セールスまでするとマージンが高いですみたいな。これは別にベトナムだけじゃなくて、セールスと言ってもレベルの低いセールスしかできないところというのはディストリビューターにとっては全然あったりする国もあるわけなので、新興国になればなるほど。なので、セールスの能力がどれぐらいあるのか、経験値がどれぐらいあるのかというのをしっかり見るということはすごく重要で。ASEANの中だとベトナムなんかはまさにそういう市場。だから、シェアの高い企業の流通構造なんていうのを分解していくと、ディストリビューターにセールスを派遣しているわけですね。その自分たちの人間がディストリビューターの中に派遣されてセールスをする場合もあれば、ディストリビューターにセールスマンを雇いなさいと、そのセールスマンのお金はメーカーが出しますみたいな、こういうケースも全然あるわけなんですよね。なので、このディストリビューターというのは、セールスの機能とデリバリーの機能があって、国によってはデリバリーの機能しかないという国もあるし、セールスよりもデリバリーの機能のほうが強いというケースもあると。なので、そこは1つ注意するポイントとして押さえておいてくださいという、そういうお話でした。
今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。