森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、ディストリビューターを選ぶときに、規模を優先すべきか、それとも取り扱いカテゴリーを優先すべきかということについてお話をしていきたいなというふうに思います。最近そんな相談を受けたことがありまして、それについてちょっとお話をしていこうかなというふうに思います。
僕の本とか連載でもこの件については結構書いてはいるんですけど、結論から言うと、やっぱり取り扱いカテゴリーをとるべきだなというふうに思います。取り扱いカテゴリーってどういうことかと言うと、ディストリビューターを決めるときに一番良いのは、自分たちと同じような取り扱いのカテゴリーのディストリビューター、言ったら、食品を売っている企業だったら食品を取り扱っているカテゴリーがいいわけですよね。もっと言うと、食品を取り扱っているんだけども、自分たちと競合するようなメーカーの商品を取り扱っていないというのが一番よくて。だから、食品を売っているのに日用品のディストリビューターと組んでも、やっぱりこれって同じ小売店で売るんだけども、売っているレーンが違うと知っているバイヤーも違うし、だいぶ違うんですよね。なので、やっぱり取り扱いのカテゴリーが一緒というのがよくて。なおかつ規模がでかいというね。もう実績がたくさんあるということはどういうことかと言うと、それだけ小売への交渉力が強いということなんですよね、規模がでかいということは。言ったら、小売の御用聞きにはなっていないですよと。まあまあ、御用聞きになっていなくもないんだけども、多少意見も言えますよと。多少提案もできますよというのが規模なんですよね。そうなってきたときに、一番良いのは、取り扱いカテゴリーが同じで、競合の商品を取り扱っていなくて、さらに規模がでかいというのがベストなわけなんですよね。
ただ、そんなベストなディストリビューターがこのタイミングで余っているかと言うと、後発の日本企業ですから基本的には取られていますと。誰に取られているかと言うと、欧米の先進的な企業がだいたい取っている。これはB2CでもB2Bでもそうですけど、だいたい良いところは、もうほかがやっているんですよね、何十年にもわたって。そうすると、なかなかやっぱりそこに持ち込んでいっても、「もうすでに競合する商品をやっているから取り扱いできないよ」と言われるか、仮に取り扱いできるとなっても、やっぱりすでに2割3割売っている商品、なおかつ先進的なグローバル企業で積極的な投資もするような企業と、日本企業の「取りあえず売ってください」とお願いします的なスタンスで持ち込まれた商品、もし売れなかったらすぐ引き下がってしまう、なおかつ広告宣伝費は売れるまで出ませんとかって言うと、やっぱりなかなか向こうも本気にならないと。なので、業態というところは、これは残念ながらもう逃げられないというか、もう業態だけはやっぱり同じ業態にとどめるべきなんですよね。
ただ、規模の調整をすることで日本企業はまだまだいいディストリビューターを選ぶということが可能で。もちろんね、これは例えば今、食品と日用品で話していますけど、食品のメーカーが日用品のディストリビューター、日用品が強いディストリビューターを選ぶと。両方やっているところもあるのでね。ただ、どちらかと言うと、日用品が強いと。けど、そこのディストリビューターの社長と話ができていて、直接、「これから食品に力を入れようと思っているんだ」と、「だから、これだけの投資を食品の事業部にしようと思っている」と、「販売事業部にしようと思っている、ディストリビューション事業部に」ですね。「だから、ぜひやろう」みたいな話があるのであれば、別に業態が日用品寄りでもありだと思うんですけど、そういう話がないのであれば、基本的には同じ、同一カテゴリーの食品を選ぶというのがベターな選択で。
逆に言うと、大手が良いと勝手に思っているけども、確かに大手は小売への交渉力があるし、実績があるんだけども、日本企業の商品を本気で取り扱ってくれるかどうかというのは分からない、未知数ですよね。それは表の顔ではいいことを言うかもしれないけども、自分たちができ得る投資を考えてみてほしいんですよね。自分たち、どれだけプロモーション投資できますかと、そのディストリビューターのその他の企業がいくら投資をしているかをベースにしたときに、自分たちはそれと同様の投資をできますかと、もしくはそれ以上の投資をできますかと。そういうふうに考えていくと、あれ?これは必ずしも大きいところじゃないほうがいいのかもしれない。なぜならば、大きいところに行けば行くほどやっぱり大きな売上が欲しいので、投資が出てこないメーカーの商品、本気でやれないですよね。ディストリビューターにとって日本企業の商品を取り扱うことに対しては何のマイナスもないので、取りあえず受けておくということっていうのは全然できるわけなんですよね。そうなってくると、ある程度、規模がまだちょっと足りないんだけども、自分たちの言うことをちゃんと聞くというところを使っていったほうが。小さ過ぎたらこれはだめですよね、小さ過ぎたら。ディストリビューターというのはキャッシュを回す商売なので。けど、ある程度、中堅規模ぐらいのところのほうが、逆にコントローラブルであるというケースが十分あるので、必ずしも規模とかそういったところで見るのではなくて、いかに自分たちの今のステージに応じてコントローラブルなのかどうかというところも1つ軸としてしっかり見ていくということが重要になるので、ぜひね、これからディストリビューターをもう1回選定し直す企業さんとかがいたら、そういう観点でもう1回決めてみてもらったらと思います。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。