森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、ディストリビューター選定における「スキルセット」と「マインドセット」のお話をしようかなというふうに思います。前回、ディストリビューターの選定基準の際に、金額、売上金額の大きさを選ぶべきか、それとも取扱品目が近いいほうを選ぶべきかみたいな話をしたと思うんですけど、今回はね、ディストリビューターを選定するときの「スキルセット」と「マインドセット」みたいな話をしたいなというふうに思うんですが。
僕ね、ディストリビューターを選定するとき、クライアントに「ここどうですか?」というふうに提案をするわけなんですけど、そのときに選定をするわけですよね。言ったら、B2CでもB2Bでも、その業界のディストリビューターの候補というのを全数集めてくるんですよ。それを縦にバーッと並べて、グーッと絞り込んでいって、最終的に数社の候補をお客さんに提示するということをやるんですが。基本的にそのお客さんの中長期の事業計画の数字があって、その計画に対して選ぶべきディストリビューターが適切かどうかということを選んでいかないといけない。単にいいからここみたいな、ふわっとした感じで選んじゃだめなので、お客さんの戦略だったり、中長期の事業計画に対して適切かどうかと。良いディストリビューターというのは、使う側の状況によって違ってくるので、変わってくるので、A社にとってはここがいいけど、B社にとってはここはだめ、みたいなことになるので、基本的にはお客さんの計画ありきですよと。そのときに「スキルセット」と「マインドセット」という2つのセットを見るようにしていて。まず最初に「スキルセット」だけを見るんですよね。お客さんの中長期の計画だったり、戦略に対して「スキルセット」が満たされているかどうかというのが非常に重要で、それが満たされていないものは、全部消去法で、絶対評価で消していっちゃうというのが絞り込みのプロセスなんですけど。
じゃあ、この「スキルセット」って何?」と言うと、提案力と配荷力と資金力の3つを僕は「スキルセット」というふうに呼んでいて。提案力というのは、対顧客に対する提案力ですよね。B2Bだったら対ユーザーに対する提案力が具体帝にどれぐらいあるのかということを数値でしっかり見るということ。B2Cだったら対小売チェーン、言ったら大きなところですよね。まず重要なのはMT、そしてTTも含めて提案力。TTに提案というのはあまりやらないので、基本的にはMTへの提案力がどうなんだということを見ていくと。
もう1つが配荷力ですよね。これは自分たちの会社が、特にB2CのTTの市場に対しては配荷力というものがやっぱりすごく重要になってくるので、セールスの力よりもデリバリーの力みたいなところがすごく重要なので、配荷力がどうなんだということを見ますよと。B2Bに配荷力ってね、あまり、運送会社さんとか物流会社さんが担うのでそんなに気にしなくていいと思いますけども、配荷力がそうですよと。
3つ目の能力としては、資金力。ディストリビューターというのはキャッシュを回す仕事なので、メーカーから、プリンシパルから商品を買って、それを在庫して販売をする。ということは、10億円やらせたいというのにディストリビューターの売上が5億円だとすると、これはキャッシュが回らないので、やっぱり資金力、キャッシュを回す力がどれぐらいあるんですか?ということを見ていくと。お客さんのやりたいこと、中長期の計画であったり、戦略に対してこの「スキルセット」が満たされていなかったら、もうそもそもそこを選んじゃだめということは分かっているので、そういったところを消去法で消去していくんですよね。
そうすると、グーッと絞られてきて。この絞られた募集、最終的なその絞られた複数社に対して何をするかと言うと、今度は「マインドセット」を見るんですけど。どの業界でも、アジア新興国のディストリビューターって大きくても数百億規模なんですよね。まあまあ、稀に1,000億、数千億というのはありますけど、でも、そのぐらいの規模のディストリビューターって別に社長に会えなくはないので、かならずオーナー社長に会って、そのオーナー社長がこれからの取り組みのことをどういうふうに捉えているのか、どれぐらい理解していて、自分たちの商品のことをどういうふうに思ってくれていて、それを一緒に、何を一緒に実現しようとしてくれているのか、どれぐらいの投資をしようとしてくれているのか。そういうところの先方の本気度合い。結局、新しい商品を0から売り上げていこうと思うと、オーナー社長の意気込みみたいなものが感じられないと、なかなかこれは、特にアジア新興国のディストリビューターってファミリー企業が多いので、鶴の一声で右へ行ったら左へ行ったりするわけですよね。そうすると、現場でどれだけやったって、上がやる気なかったらまったく進まないので。どれだけNo.2と揉んだって、トップが「ノー」と言ったらそれで終いなので、その握りというんですかね、「マインドセット」を高めていくということも重要なんですけど。
最初から高まっていて当たり前なんて思っちゃいけなくて、オーナー社長の「マインドセット」を、もっと言うと、高めていくということが実はすごく重要だったりするので。その高めた状態で一番高まっているところと付き合っていく、選定していくということがすごく重要で。もちろん、もともと高い人を選ぶというのもそうなんですけどね。契約締結までにやることというのは、契約書の内容を詰めていくことなんですけど、契約書の内容って契約締結のあとの戦略そのものなので、攻めの部分も含めて、具体的にいくらやるんですか、その金額ってどういうふうにやってつくられるんですかということを逆算で細かく詰めていく、これをずっとやっていくと彼らが高まっていくわけですよね。5社ぐらいいると3社ぐらいは途中で挫折していくので、その残ったところが「スキルセット」も「マインドセット」も非常に高い状態で契約ができるということなので。これを半年~8カ月、10月ぐらいかけてやるというケースもあるわけなので、やっぱり「スキルセット」を「マインドセット」というのは両方重要ですよと。最終的には「マインドセット」をとるんだけども、最初から「マインドセット」が高くて当たり前なんていうのは、これからの日本企業の場合は、どんどん、どんどん、期待できなくなってしまうので、いかに彼らの「マインドセット」を高めるかという、そういう観点も1つ持ってもらえたらいいんじゃないかなというふうに思います。
今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。