森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、何の話をしようかなと考えていて。今週末、週末に3歳の子どもと公園に行ってきたんですけども、毎週行ってるんですけど。その公園に行く途中に工事現場があって、ショベルカーって言うんですかね、ショベルカーが土を掘って、それを大きなダンプカーに載せているみたいな工事現場があってですね。子どもが「うわー、パパ、すごい!」というので一緒にそれを見ていて、ちょっといろいろ思ってしまったので、そのことについてお話しようかなと。何か結論があるというわけでもなく…。日本の工事現場と新興国の工事現場を比べたときに、「日本企業が失敗してしまうことってまさにこういうことなんだよな」ということをちょっと工事現場を見ながら感じていたので、そのことについてちょっとお話をしたいんですけども。
まあ、日本の工事現場ってきれいというか、すべてにおいて行き届いているという、そんな感じだったんですよね。もちろん土地が狭くて密集していて近隣住民がすぐそこにいるので、「安全確保」とか「道をきれいに」とかっていうことに余計に気を遣うのかもしれないんですけども。それにしても工事現場の敷地内、柵の張ってある中の話なので、そこもきれいなんですよね。だから、ショベルカーが砂利を掘って、それをトラックに載せているんですけど、そのときにこぼれた砂利を掃く人がいて、常にトラックの、ダンプカーの周りもきれいと。もちろん工事現場から出た外の道なんていうのはめちゃめちゃ掃きまくっているし、もうホースで水も撒きまくっていますと。ガードマンがしっかり何人もいて、「すみません。トラック出ます」と明るい声で声をかけて、運転手が僕の息子に手まで振ってくれて。まあ、近隣住民の人に迷惑がかからないような、その振る舞いをしっかりやっているという、そんな工事現場だったんですよね。
こんな工事現場、新興国で僕は見たことないなと思って、あらためて日本の工事現場ってすごいなと。普段なかなか柵が張ってあって、中が見れないんですよね、工事している中って。とにかく埃とかが外に出ることも防ぐので、基本的には工事現場の中は見れないと。ただ、たまたまダンプが荷物を、荷物をというか、泥、泥というのかな、砂利を積むのでね、開いてたので中が見えたんですけど。逆に言うと、日本人の近隣住民がうるさ過ぎるのかなと。うるさいから、これだけ工事現場も気を遣うのかなというふうな捉え方も思ったんですけども。
一方で、新興国だと、やっぱり工事現場にこれだけのことって求められてなくて、工事現場って絶対に安全性が第一なんですよね。安全性がとにかく第一なんですけども。これは先進国だろうが、新興国だろうが、変わらないと。ただ、この「安全第一」の定義がやっぱりすごく変わっているというか、違うんですよね。「安全は第一なんです」と、言葉としての安全第一は第一なんだけども、日本の場合だと「確認の確認の確認の確認の確認の確認をして大丈夫」ということが安全第一なんだけども、基本的に新興国に行くと、「確認したから安全第一」ぐらいに違ったりして。これって、周辺をきれいにしたり、どうのこうのするということでもそれぐらい違いがあって。
これだけやっぱり違いがあるよねと。たまに日本のこういうところって、世界で…。先進国でかな。世界でじゃないね。先進国で称賛されるんだけども、新興国に行くとやっぱりコスト高につながってしまうということになるわけなので、工事もなかなか、ODAの工事はやれるけども、結局、入札でやろうと思うとコストが高くて負けてしまうみたいなことにもなっているわけで。
この、何て言うのかな、基準を相手の国の常識に合わせるって、われわれはわれわれの常識の基準で「安全」とか、「清潔」とか、近隣住民に気を遣うということをわれわれの基準で合わせているわけなんですよね。これが良しとされるケースというのも当然あるんだけども。新興国の場合、多くがやっぱり彼らは彼らなりの基準があるので、その基準よりも良い基準を持ち込んでも、コストが安いのであればそれは受け入れられるんだけど、コストが上がってしまうと、やっぱりその価値観というのは受け入れられないので。何て言うのかな。いや、決して安全を怠ってくださいということを言っているのではなくて、安全にも清潔にも何においても、基準というのはそれぞれの国の基準があって、その基準がやっぱり正しい基準で、それよりも発展した国がその国のもっと優秀な基準を持ち込んでも、それはなかなかやっぱり受け入れられない。日本も30年前、40年前はそんな基準は受け入れていなかったわけなので、そこをしっかりと理解しないと、なかなか新興国のビジネスはうまくいかないなということを、3歳の息子と工事現場を見ながらふと思ったので話したんですけど。何を言っているかよく分からないかもしれませんけど。すみません。まとまりのない話だったら申し訳ないんだけども、言いたいことは、日本の基準を持ち込まないということが言いたかっただけでございます。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。