森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、「「視点」が変われば指標も変わる」というお話をしていきたいなというふうに思っていて。「視点」の重要性みたいなところ、本当に最近つくづく思うんですよね。「視点」って、視点が違うってね、見えてる景色が全然違うんですよね。見えてる景色が違うということは、やっぱり考え方も変わってきてしまって、考え方が違うということは、取る行動も変わってくるわけなんですよね。突き詰めると結局は視点で、何かこういうふうにしなきゃとか、ああ、僕はもっと頑張らなきゃとか、何かこうしなきゃとか、あーっていうのは全部視点が決めてるんですよね。何かを見ていて、それで、あーって気付くわけなので、この「視点」ってやっぱりものすごい重要なことだなというふうに最近つくづく思っていて。
このグローバル・マーケティングというか、グローバル、海外展開の世界においても、海外ビジネスの世界においても、この「視点」というのは非常に重要で。僕、いろいろ企業を見ていると、うまくいっている企業って、結構、視点がグローバル・マーケティングだなと。今ってグローバル・マーケティングの時代なのに、視点がグローバル・マーケティングじゃないと、やっぱりなかなかこのビジネスってうまくいかなくて。でも、実は日本企業の多くは、国際マーケティングの視点でグローバル・マーケティングの時代を戦っているという、こういう企業は結構多くて、この「視点」の違いにしっかりと気付くということは非常に重要だなと。
ちょっとここで、グローバル・マーケティングと国際マーケティングって何?ということをちょっとお話すると、グローバル・マーケティングって、明治大学の大石教授がこの分野の研究では第一人者だと思いますけども、グローバル・マーケティングって、多数複数の国地域で、国境を越えて同時にかつ連関して意思決定しなければならないマーケティングのことを指しているんですね。これが大石教授の定義であると。一方で、国際マーケティングという言葉が生まれたのって1960年代というふうに言われていて、当時は自国と外国との間で行われるマーケティングとして国際マーケティングという言葉が用いられてたんですよね。
皆さんね、インターナショナルという日本語、英語、言葉、聞いたことあると思いますけど、インターナショナル、英語ね、聞いたことありますけど、これは日本語にすると「国際的」とか「国際間の」というふうに訳されるんですけど、この英語のインターとかね、ナショナルの意味から考えても、やっぱりインターナショナルはあくまで自国を中心として考えたときの他国との関わり方なんですよね。一方でグローバルは、「地球全体の」とか、「世界的な」って訳されていて、つまり、地球全体を1つとして物事を考えると。これ、いつしか、かつてインターナショナルってついたら何でもかっこよかったと。なんちゃらなんちゃらインターナショナルってよくついてましたよね。インターナショナルという言葉はすごく使われていた、70、80、90年代ぐらいまで。2000年ぐらいを皮切りに、インターナショナルという言葉がグローバルに変わった。ここがまさに国際マーケティング、インターナショナル・マーケティングからグローバル・マーケティングに転換した大きなパラダイムシフトだったんだと思うんですよね。いわゆる自国と海外という話じゃなくて、地球全体を見て考えようよと。今そうですよね。まあまあ一部のね、あれではそうじゃない国もありますけども、基本的には地球全体を見て経済、ビジネスをね、考えると。
国際マーケティングの視点の企業って、やっぱり日本から相手を見る視点で、日本から相手を見る視点ってどういう価値基準を大切にするかと言うと、海外売上比率というものを大切にするんですよね。日本から海外に対してどれだけ売上が高いの?というね。一方でグローバル・マーケティングの視点の会社というのは、常に地球全体を見ているので、現地シェアという評価基準を非常に大切にする。非常に大切にする。まさに日本と世界じゃないんですよね。アジアの中でシェアどうなの? 北米でシェアどうなの? ヨーロッパでシェアどうなの? こういう視点にやっぱり変わっていかないと、なかなかこれからの時代、グローバル競争できないんですよね。日本から相手を見る視点って、日本から相手の国なんか見たって見えないので、結局、輸出になっちゃうんですよ。日本の港から相手の港に商品を出すと、輸出。一番重要な相手の港から現地の消費者、どういう中間流通、どういう小売を通じて、どういう消費者がそれを手に取って、食べて、使って、どう思って、リピートしているのかみたいな、企業として一番重要なマーケティングが全部抜けちゃうので、貿易しているだけなんですよね。だから、同じ目的、海外販売という同じ目的だったとしても、指標はとにかく輸出を上げようと。そのためにはとにかく良いパートナーだ、問屋だ。でも、現地シェアを見ていると、やっぱり間口でしょう。店頭シェアでしょう。マーケティング戦略でしょうと。次元がまったく異なるわけですよね。これだとやっぱりスピードに差が出るし、いつまでも輸出の発想からはなかなか抜け出せていかない。
輸出が悪いと言っているんじゃないんですよ。輸出が悪いと言っているんじゃない。ただ、やっぱり視点をしっかりとグローバル・マーケティングに持った上で輸出をやるのかということを考えていかないと、いつまで経ってもそのステージで終わってしまうという、そういうことに陥ってしまいますよという、そんなお話でございました。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。