森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、何のお話をしようかなと思って考えていたんですけど、先日ね、ちょっと家であった話が面白かったので、そのお話をしようかなと思うんですけど…。
子どもが3歳なんですね、今。保育園というんですかね、保育園に行っていて、インターナショナルスクールの保育園に行っているので、家で日本語を教えているんですけど。妻が食事の前に子ども用の「あいうえお」を書くようなドリルというんですかね、あんなのを子どもに教えていて、今ちょうど意味も分からず、「あ」「い」「う」「え」「お」と書いているんですけど。3歳で「あいうえお」とか書くのかなとかって、ちょっと僕も思ってはいたんですけどね、あまりいろいろ言うと怒られるので、子どもも楽しんでいるので見ていたんですけどね。そしたら妻が、なんで日本語はこんなに書き順にうるさいんだろうということをすごくぶつぶつ1人で言っていて。子どもって、「これ、同じようになぞって書いてごらん」と言っても、「あ」を「あ」と書くときに、まず横引っ張って、それから縦やって、右上からグーッと「あ」って書くと思うんですけど、その書き方に慣れているし、その書き方が一番効率的だし、その書き方が一番いいというふうに思っているので、日本人100人いたら100人その順番で「あいうえお」って書くと思うんですけどね。実際に子どもに書かすと「あ」ってそういう順番では書かないと。
これ、例えば外国の人に、これを同じように「「あ」を書いて」と言うと、もちろん同じように書き順は間違った書き順で書くんですよね。僕も覚えているんですけど、小さい頃、書き順をすごい先生に言われたというのをすごい覚えていて。僕の妻は、小学校ぐらいからたぶんアメリカに住んでいたので、ずっと日本人のいないようなアメリカの田舎のアメリカの学校に行ってたんですけど、そのときにアルファベットを学ぶときに、確かに書き順はあったけど、「こんなにアルファベットの書き順うるさかったかな?」ということを言っていて、1人でぶつぶつ言っていたんですけど。
それを聞いて思ったのは、確かになと、きれいな字を書けるほうがいいし、書き順は合っているに越したことはないんですけど、「あ」という文字を書くという、このことが一番重要で、それをどう書くかというのはその二の次なわけですよね。だから、アルファベットも「A」という文字を書く、「B」という文字を書くことが重要で、それをどういうふうに書いたかというのは二の次の話であると。特にこれだけペン離れが進むというか、パソコン・スマホの時代になってくると、実際にペンで書き順に沿って文字を書くということもひと昔前に比べたらだいぶ少なくなってきている中で、確かにそうだなと。
いろんなことを思うんですけど、これは教育も仕事も何もかもそうなんですけど、かなりプロセスをすごく気にする。結果よりもプロセスで、それって本末転倒だなと。もちろんプロセスは非常に重要で、プロセスが結果をつくるので、結果が悪いときにはプロセスをしっかり分解しないといけないというのは非常に重要なんですけど。でも、そのプロセスを見ても、すごく表層的なプロセスだけを見ても、実は結果が出ない原因というのは追究できなくて、一見こうだなというふうに思うから、このプロセスを直しても必ずしもその正しい結果にはたどり着かないケースというのは結構往々にしてあって。すごく深いところにプロセスの原因があるなんていうことはあるわけですよね。
だから、何を言いたいかというと、日本企業とか日本人というのはどうしても結果「A」というアルファベットを書くとか、「あ」という文字を書く以上に、それをどう書いたかということに注目が行ってしまって、これも日本の良いところなんですけどね、「どうやって戦ったか」みたいなのが、武士道の世界だと重要で、「勝つ」ということももちろんそうなんだけど、「どう戦って勝ったか」みたいなのが非常に重要なわけなんだけども。でも、これってどっちかと言うと現代ならびに未来の世界ではあまり向いていないというか、不向きな、精神論的な部分がやっぱり大きくなってくるので、プロセスよりも結果指標をしっかり見るということが重要なんだけど、文字の書き順1つ取ってもそういうところがあるんだなと思って、ふと思って、だから何なんだという話なんですけど、そんなことを感じたんですよね。
「あ」って書けたらいいじゃんと、書き順なんてどうだっていいじゃんと、それよりも「あ」という文字を書くことが重要、「い」という文字を書くことが重要であると。妻がぼそぼそ言っていた疑問もそうだなと、企業の新興国市場のマーケティング、日本企業のと照らし合わせても、結果よりもやっぱりプロセス。
僕、タクシーを見ていてね、すごく、「なんだ、このCM?」というのがあって、気になってしょうがないんですけど。藤原竜也でしたっけ、あの役者、非常にいい演技をする役者が、Sky株式会社だったかな、CMか何かでタクシーに乗って出てくるんですけど。社長が悩んでいて、「社員の見えない努力を見えるにはどうしたらいいんだろう」みたいな。そうすると、藤原竜也ですかね、が出てきて、「プロセスをしっかり見て、見えない社員の努力を評価する」みたいなことを言っているんですけど、いや、そんなことより結果でしょうと。多くの仕事はやっぱりアウトプットとアウトカムがあって、もちろんプロセスも重要なんだけど、結果指標を見ていくということはすごく重要なので、商売上見えない努力を評価すると言ったほうがあのシステムが売れるからなんだろうなと思うんだけども、ちょっとね、あの会社のちょっと時代遅れ的なCMが非常に僕は好きなんだけど、なんかね、そんなことをふと思ったりして、もう少し結果指標に寄ってもいいんじゃないかなというふうに思った今日この頃でした。
すみません。以上でございます。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。