森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。前回、前々回と伝統小売攻略のために必要なことというか、重要なことということでお話をしました。前提条件の話ですよね。いくらチャネルが良くても、この2つの前提条件をクリアしてなかったら伝統小売というのは攻略できませんよという話を前回、前々回させてもらって。じゃあ、今日はいよいよ強固な販売チャネルというか、よりチャネル寄りのお話をしていきたいなというふうに思うんですけども。
伝統小売を攻略するためのKPI(Key Performance indicator)、重要経営評価指数というふうに訳されているのかな、日本だと。そういうものって何なのかというお話なんですが。今まで、これはストアカバレッジ、1つはストアカバレッジなんですよね。ストアカバレッジというのは間口というふうに日本語で言ったりしますけども、どれだけたくさんの店に商品を並べられるか、配荷できるかということがすごく重要、1つ重要です。これは細かく深く入っていくと、ただ置くだけじゃなくて、伝統小売のどの位置に、何SKU並べられて、オーナーとどういうふうに握れているか、みたいなところまで突き詰めていかないと、ただ並べると、しっかり並べる、深くまでしっかり並べるということは全然違う、意味合いが違うので、まあまあそういう話になってくるとまた話が逸れるので、ちょっとあれですけど。1つはストアカバレッジ、間口です。
もう1つが縦軸で、ストアカバレッジというのは横軸。もう1つが縦軸で、じゃあ、その並べた商品がどれだけ売れたの?ということで、昔はこの番組でもインストアマーケットシェアというふうに言っていました。インストアマーケットシェアと言うと、インストアシェアと混同されたりするので、最近は本当に単純にセールスパーストアとかっていうふうに言っているんですけど、1店舗あたり売上ですね、日本に直すと、セールスパーストア、1店舗あたり売上。要は、さっき言った、どれだけたくさんの店に並べたかということと、じゃあ、その並べたものが1店舗あたりどれだけ売れたの?と。日販、週販どれだけ売れたんですかという、この2つのKPIをひたすら追うということはすごく重要で。これが実現できる販売チャネルが、めちゃめちゃ強い販売チャネルになるわけなんですね。これが実現できない販売チャネルは、言ったら伝統小売には不向きな販売チャネルであるということが1つ言えていて。
これ、例えばフィリピン、インドネシア、ベトナム、ここがやっぱり伝統小売の攻略には非常に重要な地域になってくるわけなんですけど。例えばベトナムの話で言うと、ベトナムってそもそもセールスとデリバリーというディストリビューターの2つの大きな機能のうち、セールスの機能を持ち合わせていないので、多くのディストリビューターが、本当に持ち合わせているところというのは限られていて。伝統小売をやろうと思うと、やっぱり小さなところを使っていかないといけなくなるんですよね、最終的には。なおかつセールスというのは、形式上はディストリビューターが雇用するという形式になっていても、やっぱり人件費というのはメーカー側が負担しないといけなくなるし、基本的にはやっぱりメーカーが主導になって伝統小売も獲っていくということをやっていかないと、僕の経験だとなかなかうまくいかなかったというのがやっぱりあって。
例えば伝統小売にまでセールス機能を持っているような大手のところって、もうすでにすごいグローバルブランドをやっているんですよね。そのグローバルブランドのほうが圧倒的に重要で、これから新規で入ってくるような日系メーカー、しかもお金も出てこないし決断遅いみたいなところを本気になって相手にするかと言うと、なかなかやっぱり難しくて、うまくいかないんですよね。温度感も変わってくるし、日本側の期待値も大きい中で、向こうとしては、「そんな投資もしないのに、やってやってって、やれるわけないじゃん。私たち、もっと重要なクライアント、プリンシパルがいるから」という話になるので、あまり成果が出てこないというのが過去見てきたところかなと。
そうすると、やっぱり自らがTT、TTって例えばベトナムでも区によってね、ホーチミンでも区によってディストリビューター…。だいたい小さなディストリビューターってエリアがやっぱり強い弱いというのがあって。大きなところだってそうですよね。北と南と、ダナン、中央のダナンで分けたときに、やっぱり南のディストリビューター、どんなに大手でもね、北をやらせたら難しいし、北のディストリビューターに南をやらせても、これまた難しいし。そうすると、エリアで分けていくということをするんですけど。例えばホーチミンの中でも、小さなところを使っていくときに、1区はここ、2区はここ、3区はここ、みたいに区によってやっぱり強い弱いがあるし、商品カテゴリーによってもあるわけなんですよね。そういうものをしっかり特定して、彼らがそこに配荷、デリバリーをするという能力はあっても、セールスまできっちりやり切るという能力はないので、最初の立ち上げはやっぱりメーカー自らが旗を振ってやっていかないと、本当に伝統小売のストアカバレッジを上げるということはなかなか難しい。セールスパーストアを上げるのはやっぱり近代小売で売れ筋にならなければいけないので、これはもう完全にメーカー側のマーケティングの話になってくる、プロモーションの話になってくるので、ここをディストリビューターに期待してもまったくうまくいかないですよということなので。このストアカバレッジとセールスパーストアが本当に上げられるかということを、このディストリビューターと組もうと構想して、いわゆる対話をする、会話をしていく段階でやっぱり具体的にしていくということがすごく重要で。それが具体的になっていないのに、希望的観測で組んでいくとなかなか、結果として蓋を開いたらうまくいかなかったということが多いので。そこはやっぱりしっかりやっていかないと駄目ですよね。
これはインドネシアでもそうですよね。特にインドネシアなんて、主要5島6島と分かれている中で、数十のディストリビューターを使っていかないといけないし。最初はね、ジャカルタのあるジャワ島から攻略していくというのが最も効率が良い話になっていくわけなんですけども、やっぱりここでもKPIは変わらない、ストアカバレッジとセールスパーストアになっていくし。それからフィリピン、ここもそうですよね。フィリピンもそういう状況なので、このストアカバレッジとセールスパーストア、間口と1店舗あたり売上をしっかり追っていくと。これが確実に達成できるディストリビューターをネットワークしていく、ディストリビューション・ネットワークをつくるということが大変重要ですよと。
この辺の詳しいつくり方というか、販売チャネルの構築の方法というのは、われわれのSPYDER CHANNEL、YouTubeの番組でも図で解説したり、私のセミナーでも解説をしていますので、またそちらも併せて見ていただけたらなというふうに思います。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。