東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、新年一発目ということで、明けましておめでとうございます。
森辺:明けましておめでとうございます。2023年、明けました!
東:前回、年末の放送でも触れたと思うんですけど、SPYDERが10周年ということで、1月15日でしたっけ?
森辺:はい。
東:が一応、設立記念日になっていて、そこで10周年を迎えていくということなんですけど。森辺さんが前の会社からずっと海外に関わってきていて、ちょっと振り返っていただくと、どういう変化があったのか。海外、グローバルのビジネスに最近関わった方もいれば、当然ずっと関わっている方もいらっしゃると思いますし、いろいろなリスナーさんがいると思うので、森辺さんが感じてきたこととかで、大枠でいいんですけども。
森辺:そうだよね。いやー、長いよね。東ちゃんとももう10年、11年だよね。
東:そうですね。
森辺:出会ったのが2007年とか2008年だもんね。
東:はい。
森辺:だから、僕が前のSDIという会社を創業したのが、確か2002年で26~27歳だったと思うんだよね。
東:では、ちょうど20年。
森辺:20年なんですよ。
東:21年目ですかね。
森辺:うんうん。日本企業のグローバル・マーケティングの支援みたいなことをやって21年目に入る。当時は中国の深センというところから始めて、中国市場をどう攻略するかみたいな、主には調査をやっていたんですよね。分からないことがいろいろあって、中国企業も今みたいにあんな、アリババもまだ小さかったし。
東:グローバルしていないですもんね。
森辺:テンセントなんかなかったしみたいな。あと、BYDはBMWのロゴを反転させたような、本当にパクリロゴを車に付けて、「何だろう、この車?」みたいなね。トヨタとホンダをパクったような車がいっぱい走っていてみたいな。みんなグレーと黒の服しか着ていなくて、あとは人民服みたいな、そういう時代だった記憶があって、本当に中国は豊かになったなというのは1つ振り返るとありますかね。
東:それはどの辺で特に感じる…?
森辺:2010年以降ですよね。
東:上海万博が終わったくらい。
森辺:そうね。北京オリンピックがいつだっけ?
東:2008年ですね。
森辺:だよね。そのあと、上海万博?
東:うん。
森辺:あの辺から、2010年代に入ってから。だって、2002年ぐらいのときはさ、まだ「安かろう悪かろう」とか言っていたでしょう?
東:そうですね。
森辺:基本的に中国でつくると安いけど良品がまともに入ってこないとか、サンプル品はいいけど量産に入ると不良品になるとかね。
東:そうですね。
森辺:だから、マーケティングの仕事というよりかは、僕ね、工場で検品とかしていたんですね。
東:確かに。
森辺:「検品してきて。マーケティングはいいから」みたいな。「中国に売ったってお金を回収できないでしょう」みたいなことを言われて、工場で検品をしていたので。メガネの検品をした記憶があるな。とか、あとは「こういうのをつくれる工場を探してきて」とかね、そういう仕事が結構最初、2000年代の前半は多くて。2000年代の後半ぐらいからやっぱり徐々に「マーケットを獲りにいこうよ」みたいな。でも、今こうして見ると、世界中の国へ広げたときにね、中国企業が一番お金払いがいいものね。
東:そうですね。
森辺:先に払ってくれるしね。だから、そういう意味では本当に中国は変わったというのと。あと、ASEANが市場になったよね。当時、1人あたりGDPが3,000ドル超えません、インドネシアみたいな、ジャカルタみたいな、そういう状態だったのに、今は1万5,000ドルとか超えてきているでしょう。だから、そういう意味ではVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンがものすごい成長したというのはすごく感じるのと。あと、日本企業のレベルもだいぶ上がったよね。当時、本当にわけの分からないことをやっていたけど、今はちゃんと合理的に戦略をつくっていくようなプロセスには入ってきているので、そういう意味ではそれは大きく変わったし。あの時代って、何でもかんでも、「とにかく中国へ行くぞ、うわー」みたいなときがあって。けど、そうじゃないよね。一歩引いて今は見ながら、行くべき企業はいくし、行かない企業は行かないみたいな、ASEANもそうだけど、「猫も杓子も海外、うわー」みたいなのはちょっとおさまったような感じがあって、より狙いを定めてやるみたいな、戦略的な感じには変わっていってはいますよね。SPYDERになってから、われわれもリサーチというよりかはリサーチをベースにどう戦略提言をしていくかというところに踏み込んで、さらに戦略提言ではなくて、そのプロセスそのものをアウトソーシングで、われわれがわれわれのリスクで実行するという、そこに重きを置いてきているから、やっぱり格段にノウハウも溜まっているし、見えてきたものもだいぶ違った感じはしますかね。なので、そうだね、振り返ってどうですかと。20年ね、不景気知らずというね、僕、それは本当に恵まれているなと思っていて。だいたい企業の経営を20年やっていくと、どこかで不景気にぶち当たるんですよね。売上が上がらなくてお客さんがいなくて衰退していくみたいなことになるんだけども、このグローバル・マーケティングのフィールドというのかな、アジアに特化したマーケティングのインダストリーにおいては、あまり不景気にならなかったかもしれないよね。ドカーンというあれはないかもしれないですけど…。
東:着実にみたいな感じ。
森辺:ITのIPOしてドーンみたいな、そういうのはなかなか描きにくい業種かもしれないけども、非常に順調にというか、それは本当に恵まれているのと。そもそも前者みたいな成長のあれを求めていないので、そういう意味ではお客さんにも恵まれて、やっぱり一番うれしいのは、20年近くお付き合いをしているお客さんがいるというのがね、いいですよね。お互い必要とし合っているし、お客さんがわれわれを必要としてくれているから、20年近くもフィーを払ってくださっているんだと思うので、そういう意味では、そんなことを感じながら。そう。この間もふと、東ちゃんと創業してからいろんな所に行ったでしょ。
東:はいはい。
森辺:中国とかさ、わけ分からない農村とかをね、中国の住宅街の中のさ、ちっちゃなショップを回ったりとかね。
東:行きましたね。
森辺:変な代理店のなんとか大会に出てステージに上げられたとかね。
東:(笑)
森辺:そういう思い出をこう…。ベトナムでバイクの後ろに乗って営業したりとかね、そういうことを思い起こしながら、ああいうものの1つ1つがノウハウになっているなということを感じて。次の20年を想像してみても、たぶん次の20年も、企業のグローバル展開というか、海外展開、グローバル・マーケティングみたいなインダストリーってなくならないですよね。基本的に日本のマーケットはシュリンクしていって。
東:そうですね。
森辺:外に出るという行為はずっと永遠に続いているわけだから。その中で今の日本企業のスキルセットとかリテラシーのレベルなんかを見ていると、たぶんこれからもわれわれのような会社が少なくとも多少なりとも役に立つということは思うので、たぶん向こう20年もそういう成長をしていくんだろうなというふうには思っていて。ただ一方で、やっぱり、もっと劇的に日本企業の成長を高めるためにわれわれも成長しないといけないということを考えると、やっぱり戦略提言のコンサルティングの事業じゃなくて、アウトソーシングの事業を本当に伸ばしていかないとたぶん駄目で、お客さん側も、もう最近進んでいる会社って、「自前でやれるのは分かっているけど、経営スピードを上げるためにアウトソーシングを使うんだ」みたいな、そういう判断をし始めているじゃない?
東:うん。
森辺:昔って、「いやいや、何言っているんだ。売るのは自分でやるよ。お前たち、調べてきてくれ。戦略提言してくれ。第三者の意見として発言してくれ」というのが主だったけども、もう今は「自社のリソース、経営資源の経営スピードでは全然追い付かないので、一緒に走ってください」というのがやっぱり多いので、アウトソーシング事業が伸びるのではないかなという気はしていますかね。
東:分かりました。では、今日はここまでにしたいと思います。最後にリスナーさんに年始のごあいさつだけ。
森辺:皆さん、今年度もよろしくお願いいたします。2023年度、今年も頑張っていきたいと思いますので、ぜひ番組をよろしくお願いいたします。あと、今年は後半ぐらいにまた新しい本を出しますかね。
東:はい。
森辺:なので、そちらもよろしくお願いいたします。YouTube「SPYDER CHANNEL」もよろしくお願いいたします。
東:では、森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。