森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、前回の続きですね、「成功の8割は契約締結前に何を決めたかで決まりますよ」ということでお話をしていきたいと思います。もうこれは4回目ぐらいですかね、このシリーズで。「強固な販売チャネル構築に必要な3つのこと」というシリーズでお話をしていて、今日で5回目かな、5回目のお話ですね。
第2章のお話、契約交渉のところで8割が決まりますよと、契約締結前に何を決めたかで8割が決まるよと。1回目の第1章が「成功の5割を握るのはディストリビューターの選定ですよ」と。ディストリビューターの選定を間違えたら本当に足を引っ張られるので、ディストリビューターの選定をしっかりやりましょうねと。このときに重要なのって、実は「誰と」売るか、ディストリビューターの選定なんだけども、そのことよりも「誰に」売りたいのかということを先に明確にするんだと。「誰に」売りたいのかということが決まれば、そこに売れる人と売るべきなので、「誰と」売るのか、いわゆるディストリビューターの選定が決まっていきますよという話をまず第1章でやって、2は今、第2章の「成功の8割は契約締結前に何を決めたかで決まりますよ」と。要は5割が「誰と」、ディストリビューターの選定で決まって、その5割を8割まで伸ばすのにはこの契約、そのディストリビューターと契約をするという、この直前の前のプロセスでディストリビューターと何を決められたにかかっていますよというお話ですよね。
前回少しお話しましたけど、平たく言うと、例えば10億やりたいんだと。10億やりたいというときに、まずこの10億という数字にお互い合意が取れるのかということと、じゃあ、この10億を誰がどうやってやるんですかというところをできる限り細分化して、細かく詰めるということが重要で、「10億やりましょう」「分かりました。契約です」でやって、蓋を開けてみたら「5億しかできない」みたいな話になってしまうので、いかにこの10億をどういうふうにやるのかということを契約締結前に明確にしましょうねということなんですよね。ここまできっちりやると、ある程度想定通りに行くので。重要なのは確率を高めることで、もちろん100%の確率なんていうのはないので、いろんな問題が途中で起きてくるわけですけど、それでもやっぱりそこの確率を高めるということはすごく重要で。
じゃあ、その10億をどういう組織体制でやるの?と。極論言うと、1人で10億できるわけないじゃんと、そうするとどういう、何人の組織、何人のアカウントマネジャーが付くんですかと。そして、彼らは日々何人のセールスを抱えて、どういう活動をするんですかと。10億を構成しているのは、どの、B2Cだったら顧客なんですか、小売なんですか、B2Bだったら顧客なんですかということを全部契約前にある程度試算をしておく。そうすると、始めてみたんだけどもうまくいかなかったなんていうことはなくて、結局、1度やると決めた相手、1度契約すると決めた相手とお別れをする、契約を解消するのにやっぱり3年は最低かかるんですよね。1年目任せてみて、まあ1年目だからしょうがないかと2年目トライさせてみて、2年目で少しちょろっと実績が出てくるので、もう1年見てみようかなんて言っていると3年ぐらい絶対かかってしまうと。日本企業の場合は、なかなか、じゃあ、3年ですぐにドラスティックにバサッと切れるかと言うとそうでもないので、また4年見てみて、そのうちに担当が変わってしまって、人事異動で、次の担当者のディストリビューターを替えたい熱なんていうのはまた冷めていますから、0からスタートですから、また5年6年と、ずっとこういう状態が続いてしまうので、基本的にはこの契約前にやっぱりある程度確実にしておくということはすごく重要で。
最終的に相対比較をして決めていくときに、例えば5社のショートリストが出来上がって、この5社の中からディストリビューターを選びたいんだとなったときに、最終的に「誰と」契約するのかというのはこのプロセス、結局10億をやりますというところを握って、じゃあ、それをそうやりますかという詰めをやっていくと、だいたい5社いたら2~3社は逃げてしまうんですよね。「もういい。そんな細かいことはやりたくない」と言って逃げてしまうので。そうすると、結局、残ったところってある程度真剣にやり取りをしていくし、向こうの熱量も感じることになるので、本気でやろうと思っているところは絶対逃げませんから。基本的に彼ら事でもあるので、自分事なわけですから、どうやって本当に10億やろうかということを試算していて、「やっぱり10億じゃなかったね、8億だったね」ということにもなるわけですよね。そういうやり取りを経て、本当にこの相手とやっていくんだというところに行き着くので、このプロセスを本当に2カ月3カ月かけてやっていく。
特にB2Cの場合は、基本的には伝統小売の領域でどれだけストアカバレッジを獲れるかというところがポイントになってくるので、じゃあ、その伝統小売のストアカバレッジをどうやってやっていくの?と。今現状だと多くの場合は、いや、2次店を使ってやっているみたいですみたいなところしか把握していなくて、具体的にはプリンシパル側、メーカー側が把握していないというケースが往々にしてあるわけですよね、日系企業の場合。けど、それは万に一つうまくいっていればいいですけど、うまくいかないときにもう何の対策も改善も打てないので、そこの中身を詰めるということがやっぱりすごく重要で。つくるのは自分たちで売るのはあなたたちディストリビューターですという話にはなかなかならないというか、そうやってもうまくいかないので、基本的には売ることに対してもメーカー側がしっかり関与していくという、理解をしていくということはすごく重要で。そういう詰め方をしていると、実は10億ってかなり非現実的なチャレンジングな数字だったよねということも分かってくるわけですよね。時間軸の中でどう10億をやっていくのと、どういう時間軸だったら10億ができるの?ということなので、基本的にはそういったことを事前に詰めるということが重要ですよというお話でございます。
ちょっと時間が過ぎてしまったので、次回で最後にしたいと思いますが、この第2章はですね。ちょっと契約書の独占・非独占とか、契約書の攻めの部分と守りの部分をうまく活用するということについてお話をしたいなと思いますので、また次回お会いいたしましょう。