森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も前回に引き続き、フィリピンの小売市場についてお話をしていきたいと思います。
前回ね、フィリピンの伝統小売の比率であったり、数のお話をして、伝統小売と近代小売、VIPの一角なので、ベトナム、インドネシア、フィリピン、VIPの一角なので、伝統小売が非常に重要な市場ですよと。伝統小売に入る前に近代小売のお話をしましょうということで、フィリピンの主要3大近代小売、もうこれはここずっと変わっていませんので、このピュアゴールド、SM、それからロビンソンズということで。ルスタンズというのが昔、今もありますけど、4大小売というふうに言われていた時期があったんですけど、ルスタンズは買収されてしまった、ロビンソンズに買収されたので、今はこのSM、ピュアゴールド、ロビンソンズということで、もうこの3強、非常に強いと。
フィリピンって財閥、インドネシアとかと一緒で財閥が非常に強い力を持っていると。フィリピンの財閥というのは中華系の財閥とスペイン系の財閥があるわけなんですけど、スペイン系の財閥っていうのはもう現代では大半勢力を失っていて、今だとアヤラ財閥とかぐらいしか目立った存在にはなってないので。私の友人でも元スペイン財閥の末裔みたいな人もいて、豊かなね、すでに持っている財産でもっとすごくスモールな小さいビジネスをしているので、財閥というほどの規模には今はなってないですけど、元財閥みたいな人たちが結構いて豊かな暮らしをしてますけど、いわゆる財閥が非常に強くて、一説にはね、フィリピン経済って8割ぐらい、7~8割は財閥が占めているというふうに言われていたりもするんですよね。
このSMとロビンソンズの2つが中華系財閥が運営していて、ピュアゴールドは実は財閥じゃないんですよね。なので、この2つがフィリピンだと財閥が運営している小売です。中華系財閥の中心はフィリピン最大の財閥であるシー財閥というところが一番大きな財閥で、ニュースにもなったので皆さんご存じかもしれませんけど、2019年にね、創業者のヘンリー・シーさんがお亡くなりになられて、その巨万の資産、2兆数千億とか、為替でだいぶ変わってもっと増えているかもしれないですけど、6人の子どもに引き継がれて、そんな話がニュースになっていましたけど。引き続き、その子どもがそのシー財閥の運営をしていて、SMグループはこのシー財閥が保有していると。もともとこのヘンリー・シーさんね、家族で中国から渡ってきて、家族はその後中国に戻ったんですけど、自分1人残って、事業を始めて、実業家として。最初にやったのが靴屋さんで、シューマートっていう靴屋さんで、それで今でもSMのことをシューマート、シューマートっていうね。最初にその靴屋をやって、その靴屋で靴だけ売っていたのを、いろんなものを売ってという、そこからいまだにシューマートって呼んでいるフィリピン人がいますけども、SMのSっていうのはまさにシューマート、Mはマートで、Sはシューで、シューマートから来ていると。
このシー財閥ね、BODバンクとかってたぶん見たことあると思うんですけど、フィリピンに行った人とかだと見たことがある人が多いんじゃないかなと思いますけど、バンコデオロってBDOか、ごめんなさい、BODじゃなくてBDO、バンコデオロってフィリピン最大の商業銀行ですけど、その後、事業を拡大して、財閥コンチェルン、多角的な経営をしているコングロマリットに成長していくわけですけど。不動産最大手のSMプライムもシー財閥が保有しているし、日本だとね、ユニクロのファーストリテイリングが合弁でユニクロを展開している、フィリピンで展開しているのもこのSMグループなんですよね。だから、誤解を恐れず極論を言えば、フィリピン不動産最大手ですから、一番立地のいいところの情報なんて常にあるわけですよね。そこに出店し続けることだって可能だし、フィリピン最大手の商業銀行を持っていますから、小売で食品や飲料を少々安く売っても、そこで銀行で口座をつくったりとか、クレジットローンを使ってくれれば、金融サービスで十分儲かるわけで、潤うわけで、相当に強いということが分かるんじゃないかなというふうに思います。
ロビンソンズの話に行きたいんですけど、また時間が来てしまいましたので、ロビンソンズは次にお話をしていきたいなというふうに思います。それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。