森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日はASEAN6、最後ですね、タイ、タイの小売市場についてお話をしていきたいなというふうに思います。
タイの小売市場は、まず市場規模からですけども、だいたい16兆ぐらい、15.9兆円なんですけど、正確には15.9兆円で、ASEAN6の中では2番目に大きな市場ですよね。タイの最大の特徴はね、やっぱり財閥系の小売グループが牛耳っているということが1つであると。5割強、小売の近代化が進んでいて、残り5割弱の伝統小売が残っているわけですけど、それがね、公表されているデータ、伝統小売の数が公表されているデータがなかなかないんですけど、弊社がいろんなところのデータをギャザリングして推計をして、あくまで弊社の推計ですけど、おおよそ45万店ぐらいではなかろうかというふうに弊社では考えています。
SMTのシンガポール、マレーシア、タイの一角を担うタイですけどもね、この小売、近代小売、結構日系の小売も出ているし、日系の消費財メーカーもまあまあ出ていますよという中で、やっぱりこのタイは財閥の2社、1つがタイ大手財閥のチャロン・ポカパン、通称CPグループと、皆さん、CP、CPって聞いたことあると思うんですけど、CPグループと、もう1つ、セントラルグループという、非常に大きな2つの財閥によって牛耳られていて。どういうふうに牛耳られているのかということなんですけどね、牛耳られていると言うとなんかちょっと言い方が悪いですけど、CPとやるのか、セントラルとやるのかみたいな、それぐらいの話になっているんですよね。CPかセントラルでやれなかったら、タイに出ても意味がないみたいな、それぐらいの話で。
例えばCP、タイの大手財閥の1つですけど、食品、農業、小売、不動産、エネルギー、金融、テレコム、医療福祉など、めちゃめちゃ多角的な事業を展開しているんですよね。食品業界においては、鶏肉とか豚肉、シーフード、米、野菜、果物などの生産販売も手掛けてしまっているわけですから、もう1小売とかじゃないわけですよね。このCPは海外展開もしているし、中国とかインド、ヨーロッパ、アメリカなどにも進出して、まあまあ世界的にも非常に大きな財閥なわけですよ。不動産開発もやっていて、ショッピングモールとか、オフィスビルとか、住宅地とか、リゾート地などの不動産も所有して運営しているわけですよね。エネルギーなんかもやっていて、石油ガスの生産・販売、風力発電、バイオマス発電などにも進出していると。これだけにとどまらず、さらに金融業界、銀行、保険、子会社として所有していますし、医療・福祉、この領域にも進出しているので、病院とか介護施設の運営も手掛けたりしているわけなんですよね。
こんな大財閥が小売業界においてはスーパーマーケット、デパート、コンビニなどの小売を展開しているんですけど。一番有名なのがね、セブンイレブンです。タイに1万3,100店舗、今、セブンイレブンがあって、日本のセブンイレブンがだいたい2万1,300店舗なので、日本に次ぐ世界第2位の店舗数を誇ると。だから、コンビニで売れるような消費財なんかは、もうCPとやれなかったら、セブンでやれなかったら、もうないのと一緒ぐらいの話でね。それぐらいもう圧倒的なんですよね。ほかのコンビニは競争にならないという、そういう世界をタイではすでに築いていますよと。
シンガポールのセブンイレブンが確か430店舗で、マレーシアとかフィリピンでも、マレーシアが2,400店舗かな、フィリピンが3,250店舗なので、もうタイは桁が違うんですよ。ダントツの店舗数なので。その背景にはね、なぜ同じASEANでタイだけこれだけセブンイレブンが伸びたの?という背景には、やっぱりCPの経営手腕というのが非常に大きく影響しているということですよね。
あと、タイの大手スーパー、最大手のロータス、これもCP、今、180店舗ぐらいあるんですかね。それから、業務用スーパーのマクロなんかもCPの傘下ですよね。そうすると、もう、タイの小売の半分ぐらいはCPみたいなね、近代小売のね、もうそんな状態。
じゃあ、もう半分はどこ?と言うと、セントラルグループよと。2番手に位置するビッグCを筆頭に、ハイパーマーケット150店舗、CVS1,350店舗、それからロビンソン、ワトソンズ、トップスマーケット、これもセントラルグループの傘下で、このセントラルグループもタイの大手財閥の1つなわけですけど、小売、不動産、ホテル、観光、金融、いろんな事業を展開していて。CPと比べて、じゃあ、小売の業界でどうなの?と言うと、CPグループが持っている小売のほうがやっぱりちょっと頭が出ていて、次に2番手がセントラルという、そんなイメージだと思うんですよね。小売に関しては百貨店、スーパーマーケット、ハイパーマーケット、コンビニエンスストアの業界なども展開して、まあまあ、このコロナ禍でオンラインなんかにも非常に力を入れていますよということでございます。もちろん、セントラルグループは不動産開発も手掛けているので、ショッピングモール、オフィスビル、住宅地、ホテル、こんなところも所有し運営していますよと。
結局、タイの中で一番いい立地に不動産開発をドーンとやって、ショッピングモールをドーンとつくって、そこに持っている小売をズドーンと入れて、製造メーカーと合弁会社をつくって商品をドーンと流すわけですから、もう川上から川下まで全部牛耳っているみたいな話なんですよね。ディストリビューターだって持っているし、メーカーと合弁で製造業だって持っているわけですよね。単独でも製造業を持っていますし、CPもセントラルもね。そうすると、やっぱりこの財閥の影響が本当に強いので、ここと一緒にやらないでどうするんだということで…。だいぶ時間が過ぎてしまいましたから、一旦今日はここで切りますけど、まあまあ、そんな市場がタイですよということでございます。
それでは皆さん、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。