森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日はゴールデンウイーク明けて、ゴールデンウイーク中に僕がなんとなく考えていたことというか、あるちょっと書き物をしていてね、そのある書き物をしながら「あらためてそうだよな」というふうに思ったことがあったので、そのことについてお話をしたいなというふうに思うんですけども…。
僕、ゴールデンウイーク、今年は29日ぐらいからお休みをもらって、家族で軽井沢に行っていて、結構いろんなことをゆっくり考える時間もあって。その中で書きながら、調べながら、当たり前のことなんですけど、そうだよなというふうに思ったことというのが、「アジアの1つの大きな経済圏の今後」みたいなことをちょっと考えていて。普段ね、忙しく仕事をしているとあらためてそこを少し俯瞰して見るということがなかなかしにくいんだけども、あらためてゆっくり考えていったときに、1980年代後半ぐらいからですかね、僕はシンガポールに当時住んでいて、そのあといろんな立場で、振り返るとなんだかんだ中国とか東南アジアみたいなところを35年ぐらい見ているんですよね、いろんな立場、学生だったり、事業を起こしたばっかりだったり、会社勤めしていたときもあったし。そんな中でこうして35年を振り返ると、アジアって確実に大きな経済圏として成長して、互いの距離をすごく縮めていったなということをすごく感じる今日この頃であると。例えば、人とかモノ、お金、情報、いわゆる経営資源というものが容易に行き来するようになったんですよね。それってすごく大きな影響をしているのがWTOの加盟であったり。それからFTA、自由貿易協定、ASEAN自由貿易協定があったり。ASEANと中国の自由貿易協定、ACFTAだったかな。それから、ASEANとインドも自由貿易協定を結んでいますけど、AIFTA。それから、ASEANと韓国。
こういう自由貿易協定が積極的に進められてきて、このコロナ禍に大きなニュースとして報道されましたけども、2022年1月、RCEP、いよいよ日本でも発効されたと。RCEPって地域的な包括経済連携ですけども、ASEANの10カ国と、それから日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの15カ国が参加している包括的な経済連携であると。これは15カ国のうち、もう13カ国はすでに協定発効していて、残すところあと2カ国で、1つはミャンマー。ミャンマーはね、あんな軍事政権でああいうことになっているのであれですけど、もう1つがフィリピンだったと思いますけどもね、これも時間の問題だと思うんですけど。この15カ国全てがこの協定発効すると、アジアはどういうことになるかと言うと、このいわゆる東アジア、それから東南アジア、そしてオセアニアの地域では、人口も、貿易総額も、それから経済規模、GDPも世界の約3割をカバーする巨大な経済圏が生まれるということなわけですよね。これってすごいことだなと思っていて。何がすごいというのは、世界の3割ということもすごいんだけどもね、グローバルビジネスを長年やっていて思うのは、時差1~2時間で行けるところにどれだけの経済圏があるかということはすごく重要で、欧米がでかいというのはもう分かっていて、けど、やっぱり時差ってね、僕たちの肉体が物理的にある以上、ワープでも発明されない限り、やっぱり時差ってなんだかんだ言って事業をやる上で本当に重要なんですよね。この1~2時間…。あってもいいんですよ、別に時差が。ただ、時差が少ない、この1~2時間の経済圏のどれだけの規模があるかということはやっぱりすごく重要で。ここに3割があるというのは本当にすごいことだなと思っていて。しかも、われわれに近しい民族というか、人種というかね、そういう規模なわけで。これって本当にすごいなということをあらためて思ったと。
もう1つ、忘れてはいけないのがインドですよね。インドという大国がまだ残されていて、これはRCEPに加盟していないですけど、今年のたぶん半ばぐらいに人口が14億2,860万人だったかな、になって、中国を抜いて世界最多になると言われていて、このインドの経済成長も近年で言うと8%前後ぐらいしていますから、非常に成長著しい、この英語をしゃべる大きな経済圏がさらにアジアにはあると。時差は2時間では済まないですけど。でも、これって、インドをプラスするとね、東アジア、それから東南アジア、南西アジア、インドね、南西アジア、そしてオセアニアで、もうこれは3割とかの経済圏では済まないわけですよね。とてつもなく大きな経済圏がそこに出来上がると。
一方で、じゃあ、日本を見たときにどうかと言うと、少子高齢化、内需縮小に歯止めがかからないような状態になっていて、相対的にもアジアの中で市場は小さくなるし、日本企業のプレゼンスは下がるということはもう分かって、ずっと言われてきていることで、もうそうなってきているわけですよね。だって、20年前に日本企業しかなかったのが、ASEANの企業、タイの企業とか、中国の企業と思いきり競合していて、思いきり負けていたりするわけですから、そんな状態になってしまっていて、相対的に経済規模だったり、市場規模だったり、プレゼンスだったり、地位は下がっていくと。
そうするとね、今まではやっぱり日本に軸足があって、軸足を日本に置いた状態からアジアの市場を見ていたという、そういう視点で見ていたと思うんですけど、これからってやっぱり大気圏からどれだけアジア全体を見れるかということが本当に重要だよねと。日本中心の戦略観だとアジアの戦略を描けないよねと。アジア全体を1つの経済圏として見たときにどういう戦略観を持てますかということが本当に企業にとって重要になるなということをあらためて感じてしまって。当たり前なんですけど、でも、その現場の仕事を日々やっているとね、そういう大きな戦略観で物事を見るということが失いがちになるので、常に戦略観みたいなところはあらためて持たないといけないのでね、休暇というのは本当に重要だなというふうに思いまして。休暇にでもならない限り、こういうことをあらためて考えることはないので、皆さんもぜひ休暇を取って、あらためてアジアを見つめ直してみてはいかがでしょうか。
すみません。今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。