森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、前回の続きでお話をしようかなというふうに思います。
前回ね、スーパーマリオブラザーズ、映画の世界的な大ヒットを受けて、僕も1980年代に母親にファミリーコンピュータを誕生日に買ってもらって、スーパーマリオを友達と一緒に家でやった、あの思い出、いい時代だったな、1984年って僕はなんか好きなんですよね。たぶんそんなような感じがするんですけどね。野球とファミコンと、なんかそんな時代だった気がしますけども。こういう昔話をするというのは、だいぶ歳を取ってきた証拠なのか、分かりませんけど、あまり過去は振り返りたくないんですけど。まあまあそんなことを思い出して、あの時代の日本企業、ニンテンドーって、ファミリーコンピュータというね、そんなお茶の間でゲームをするようなね、もうこれはとてつもないイノベーションですよ。こんなものを生んだり、大きいラジカセを肩にかついでアメリカ人が外で音楽を聴いていた世界に、持ち運べるウォークマン、音楽を持ち運ぶウォークマンを登場させたりね、とてつもないイノベーションをあの時代に生んでいて。でも、そこからまったくイノベーションが生まれなくなって、品質至上主義みたいなことになって、ゲームが全然変わっているのに全然違う戦い方をして、この30年間ゆっくりと衰退をしている我が国日本ならびに日本企業ですけど、これをね、俊平太が「イノベーションのジレンマだ」というふうに言っているわけですけど、そんな話を前回したわけですよね。
僕はね、ぼーっとしているときにいつもこういうことを考えちゃうんですよね。日本企業はどうやって再びまたプレゼンスを高めていくのかとか、どうすれば企業がうまくグローバル・マーケティングを展開できるのかみたいなことを、趣味と言ったらあれですけど、そういうことをぼーっとしている時間に考えちゃうのが趣味だし、ある意味病気なのかもしれませんけど、そんなことをするのが好きで。そんなことをぼーっと考えていて、この間、何でもそういう方向に持っていっちゃうんですけど、この間軽井沢に行って妻の両親の別荘が軽井沢にあって、そこに光ファイバーを通すというね、光ファイバーの工事をしていたんですよ。NTTの人じゃなくて、あれはNTTから外注されている業者さんが来て、山の中ですから光ファイバーを通すのも大変なんでしょうね。電線からケーブルを伸ばして、うちの家の屋根にのぼらないといけないみたいなところがあって。僕は子どもを庭で遊ばせながらその作業を見ていたんですけど。
びっくりしたのが2つありましてね、別荘の建物にはしごをかけるわけですよね、屋根にのぼるので。そのはしごをかけるときに、はしごはステンレスなのかな、アルミのはしご、あるじゃないですか、よくあるね。あれを屋根にかけるんですけど、屋根の部分とはしごの部分が接触するところにタオルを当てたんですよね。ああ、傷が付かないようにタオルを当てるんだ、丁寧だなと思って見ていて。もう1つ感心したのがね、その作業員ね、上履きみたいのを持っていて、いわゆるくつを履き替えるんですよ、屋根に上がるのに。はしごの下で外履きのくつを脱いで、屋根に上がる用のくつに履き替えてのぼっていくというね。屋根を傷付けないようにもなっていて、もちろん安全性のためなんだと思うんですけど、くつの裏を拭いてからのぼっていくわけですよ。すごいなと思って、この丁寧さ、こんなの僕、海外で見たことないなと思って。まずないですよね。普通にたぶん屋根は多少傷付くし、屋根が汚れてもどうせ雨で流れるじゃんという、たぶんそういう感覚で。なんて丁寧なんだろうと思って、思わず写真まで撮っちゃったんですけど。
このね、日本のこの価値観、この価値観って使う場所を間違えるとバカにされちゃうんだけど、使う場所を間違えなければ、ものすごい評価される。こういう日本人の価値観を目に見えない品質に集中させるのではなくて、何か別のところに向かわせると、このイノベーションのジレンマから大きく脱却できるんじゃないかなと。実は日本のこの民度の中にはものすごく良い宝がたくさん眠っていて、その方向性だけな気がしていてね。かつての時代は世界的に時代が向かっている方向と日本企業の取った方向が合致したのでズドーンといったわけですよね。、80年代とか90年代の前半はね。なんですけど、今って世界の向かっている方向に対してこの日本の良さが向け切れていないというね、そんなことを光ファイバーを通す作業を見ながら想像していたんですよね。
こいつは何の話をしているんだと思っているリスナーさんも多いのかなというふうに思いますが、そんなことを考えておりました。皆さん、また次回お会いいたしましょう。