森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日のお話は、先日弊社のセミナーがあったんですが、そこでもちょっとお話した内容で、非常に反応がよかったので、評価がよかったので、ちょっとその話をこのPodcastの番組でもしたいなと思いまして、今日はその話をしようかなと。
それはどういう話かと言うと、海外展開をする際に、いろんな展開がありますけど、主には海外にモノを売っていくと、もしくは海外でモノを売るという展開、つくるではなくて売るほうの展開をする際に、やっぱり失敗する企業の3つの思考パターンというのがあって、そのことについてお話をしていきたいなと。これからやろうとされている方、もしくは今やっていてなかなか成果が出ない企業、そういう企業は必ず、僕のこの20数年のキャリアの中でいろんな企業を何千社と見てきましたけど、その診断の中でね、絶対この3つにだいたい収まっているというか、ほぼ100%収まっていて。なので、どれか1つというよりかはね、意外に複数で陥っているというケースが非常に多いので、その話をちょっとしていきたいなと。
結論から先に申し上げると、プロダクト依存型の思考パターンと、パートナー依存型の思考パターンと、それからパーソン依存型のパターンが3つあって、だいたいこの3つに収まるというか、3つが原因になって。特に多いのがこのプロダクト依存型というもので。プロダクト依存型って、この番組でも結構お話していると思うんですけど、簡単に言うと、モノが良いからあとは少々良くなくてもいいでしょうと。フィリップ・コトラーはターゲットに対して4Pを最適化することがモノを売るために必要なことだというふうに言っているわけですよね。4Pの最適化ができていれば、ターゲットに対して、モノは売れるので。ターゲットというのが絶対に重要で、じゃあ、このターゲットに対してどういう4Pを組んでいくのか、これが言ったらマーケティングの一番重要な部分であって。4Pというのはプロダクト、プライス、プレイス、プロモーションですけど。なんですけど、いわゆるプロダクト依存型は、プロダクトが、日本で実績のある商品をできればさほど変えずに、少しは安く、プライスは安くするけど日本と同じぐらいの価格で、プレイスに関しては日本で慣れ親しんだ近代小売を中心に、プロモーションはできれば実績が出るまであまり投資したくないという、こういう確定4Pで入っていくんですよね。基本的には自分たちの絶対的に優れた商品、価値のある商品、ここで言う優れたというのは品質が良い、ここで言う価値があるというのは品質が良いということなんですけど。それが、じゃあ、現地の新興国のね、ASEAN、グローバルサウスを中心とした新興国市場に行ったときに、本当にそのまま価値として評価されているのかと言うと、必ずしもそうではなくて。結局、ターゲットが中間層であるべきところが、これはB2Cの話ですけどね、必然的に富裕層に集中してしまって、なかなか良い結果が生めなくなってしまっていると。
日本企業の場合、プロダクト依存型というのは、プロダクトの品質が良ければということと、あと、プレミアム、プレミアム戦略で一辺倒で行こうとしているんですけど、そんなもの求めていないというね。プレミアムというイメージは求めていたとしても、本当にそこまでのプレミアムなものってまだ市場には早過ぎるでしょうと、新興国市場ね。特に消費財だと数十円、数百円で、どこまでのプレミアムを求めるんですかと。缶コーヒーと同じですよね。缶コーヒーがなぜ世界で売れないのかと。缶コーヒーをどれだけプレミアムにしたって、結局バリスタが淹れるスターバックスのようなコーヒー店のコーヒーにはかなわないわけだし。あと、日本ではやたら流行っているコンビニのアイス、僕も非常に食べますけども、ものすごいクオリティが高いと。この番組でもかつてお話をしたと思いますけど。でも、やっぱりアイスクリーム屋さんのアイスクリームには勝てないみたいな話で。そうすると、どこまで本当にプレミアムにするんですかというところはすごく重要なんですけど。
このプロダクト依存型というのはまさにモノが良ければあとはいいでしょうと。だけど、本来はターゲットに対して4Pを4Cに置き換えて、顧客が求める商品って何なの?と、カスタマーバリューは何ですかと。プライスはコストと置き換えて、顧客にとっての費用、顧客が賄える価格ってどれぐらいなんですかと。プレイスも、やっぱりコンビニエンスを重視する必要、顧客の利便性を重視するということを考えると、顧客が買いやすい方法って何なの?本当に近代小売だけなんですか。伝統小売で買えなかったら、やっぱり顧客の利便性はかなっていませんよねと。コミュニケーション、顧客が選びたくなるような仕掛け、これをしないとやっぱり顧客には届きませんよね。この4Pを最適化していくということはすごく重要なのに、1P、プロダクトというものだけを最適化してしまっている。最適化、実はできていないんですけどね。品質を高めるということでは非常に高度なレベルまで高めているんだけど、じゃあ、それがマーケットに対して、ターゲットに対してどうかと言うと、なかなかそうじゃなかったりもするので。プロダクト依存型というのはだいたいこういう状況で。
品質を高めることをね、付加価値というふうに言う人がいるんですよね。それって付加価値なんだけども、そのターゲットがその品質を求めていれば付加価値になるんだけどね、品質を極限まで高めるものがね。でも、それよりも価格だという、市場で、新興国市場でね、ASEANで、グローバルサウスで、新興国で、それは付加価値とはならないので。付加価値を読み間違え、読み間違えるというか、言葉の意味を間違って解釈してしまっているので、そんなのは付加価値とは、マーケットは、ターゲットは、消費者は判断しませんよということもあらためて意識する必要があるということで、1つ目のプロダクト依存型のお話でした。
次回以降、この今日お話したパートナー依存型とパーソン依存型についてお話をしていきたいと思います。今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。