森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も前回に引き続き、海外展開に失敗する企業の3つの思考パターンということでお話をしていきたいと思います。
前回ね、プロダクト依存型のお話をしたので、今日はパートナー依存型のお話をしていきたいなと、2つ目のパートナー依存型。
パートナー依存型というのは、分かりやすく言うと、「誰に」売るかよりも「誰と」売るかにばっかり気が取られている企業のことを指しています。もう1つは、いわゆるパートナーを決める段階では「誰と」売るかよりも「誰に」売るかに気が取られていて、実際にもうパートナーが出来上がってしまっているステージの企業の場合だと、自分たちはつくる人で、売るのはパートナーであるということで、マーケティング戦略の大半の大部分を実際にはディストリビューターさんに丸投げしてしまっていると。一応、自分たちの役割はマーケティングだということで、何かプロモーション的なことを考えてやるんですけども、マーケティング戦略の根幹の部分というのはほぼノータッチになってしまっているというケースですよね。
重要なことというのは、「誰に」売るかということがすごく重要で。これは目的ですよね、「誰に」売るのか。これはB2CでもB2Bでも一緒で。「誰と」売るかというのは、その目的を達成するための方法であるので、基本的には「誰と」売るかなんていうことよりも、「誰に」売るかのほうが圧倒的に重要。なのに、「誰と」売るかということにばっかり神経が取られる、大きいところ、実績のあるところ、財閥系、これがだいたい主な傾向なんですけど。そういうところって、確かに一見安心なんだけども、自分たちのステージがまだアーリーというか、未熟なのに、そんなに大きなところと組んでも、結局大きいところというのは自分たちよりも圧倒的に重要なプリンシパルをたくさん抱えているわけですよね。メーカー、ブランドをたくさん抱えているわけですよね。そうすると、当然自分たちに割かれる経営資源というのは少なくなるわけですよね。だって、まだ小さいですから、ポーションがね。そうすると、逆に言うと、もう少し中堅クラスである程度こちらのコントロールが利くようなところを選ぶということも方法だったりするんですよね。だから、やっぱり「誰と」売るかにばっかりね、自分たちはつくるから、とにかく強く売ってくれる人が必要なんだと、その気持ちは分かるんだけども、「誰と」売るか、「誰と」売るかというところにずっと依存をしてしまうというのは非常に危険で。むしろ「誰と」売るかなんていうのは、売りたい先、「誰に」売るかの、この「誰」に売れる人と売るべきなんですよね。
このセミナーの振り返りなので、B2Cのセミナーでしたから、B2Cにとって、ASEANであれば、マレーシアであればロータスやイオンやジャイアントだし、シンガポールだったらコールドストレージやフェアプライスだし、タイだったらセブンだし、ロータスだし、ベトナムだったらウィンマートだし、コープマートだし、フィリピンだったらSMだし、ピュアゴールドだし、ロビンソンズだし、インドネシアだったらトランスマートだし、ハイパーマートだし、アルファマートだし、インドマレットだし、ということになってくるわけですよね、MTは。一方で、特にVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンに関しては、ベトナムで66万店、インドネシアで447万店、フィリピンで80万店という伝統小売、タイで45万店、マレーシアで20万店、ここが重要になってくるわけですよね。なので、ディストリビューターは、じゃあ、どういうところを選ぶべきかと。ここに売れるところがいいわけですよね。もちろんターゲットというのはその先にいる消費者なんだけども。でも、そこを見つつも、やっぱりその人たちが買い物をする小売、それがどこなのかということがもっと重要になるので、それがまさにそこになるわけですよね。
ここをやっぱり明確にしていくと、どのディストリビューターと。ディストリビューターに聞いたら、みんな、「自分たちは非常に強い関係がある」と言うわけですけども、じゃあ、具体的に、小売のどの店舗の、どのレーンに、どういうふうに陳列したいのかということを明確にして、それができるディストリビューターというのが良いパートナーなんですよね。「誰と」売るべきかの「誰」になるので。やっぱり「誰に」売るかということを明確にすればするほど、「誰と」売るか、売るべきかということも明確になってくるので、基本的にはターゲット、目的を明確にするということがすごく重要。方法論ばっかりに頭がいってしまうのではなくて、まずは目的ですと。その目的を最短で最大に達成できるディストリビューターというのが一番良いわけですから。このパートナー依存型というのは、非常に多くの日本企業が陥っている1つの間違った思考になってまいります。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。