森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き前回の続きで、思考が戦略に与える影響をずっと話して、海外展開をする際に失敗する企業の3つの思考パターン、この思考パターンが戦略に与える影響が非常に大きくて、失敗する企業というのは必ずこの3つの思考パターンに陥ってしまっていますよという話をしていて。1つがプロダクト依存型、前々回お話したね、前回お話したパートナー依存型というのがあって、今回はパーソン依存型ということで、このパーソン依存型についてお話をしていきたいなというふうに思うのですが…。
ほとんどの企業がね、このパーソンに依存している企業が日本企業は非常に多いんじゃないかなと。これはどういうことかと言うと、簡単に言うと、会社としての戦力は非常に弱いんだけども、個としての能力は非常に高いわけですよね、日本企業というか、日本人はですね。個人的には能力が非常に高いんですと。ただ、海外に関しては、新興国市場、ASEAN、グローバルサウスを中心とした新興国市場における戦略がいまいち弱いと。その中で、戦術ですよね、まさに個が現場で展開するようなものというのは戦術なので、ここの力で頑張るんだけども、戦略が間違っているので、戦術で戦略は補えませんから、なかなかシェアが獲れないとかね。本当は右に行かないといけないと、右に行けというのが戦略だとすると、本当は右に行かなきゃいけないんだけど、戦略自体は左を指しているわけですよ、左に行けと言っているわけです。本来は右に行かないといけないのを左に行けという戦略を指してしまっているので、どんなに優秀な人が左で、戦術でね、現場で戦っても、そもそも向かっている方向が左なのでね、右ではなくて左なので、どれだけ頑張ったって、どれだけ速く行ったって、どれだけ効率良く行ったってね、やっぱり間違った方向に行っているので、なかなか良い結果にはならないというのと一緒で。大きな戦略軸を決めるということがやっぱり日本企業は非常に重要で、人に依存しない。20年選手の駐在員がいるところはなんとかそれなりに事業がうまくいっているんだけども、その人がいなくなった途端に崩れるとか、その人がいない国にそのノウハウが転用されないとか、そういう状況が数多くあるわけなので。このパーソン依存型というのはなかなか大変で。日本企業の場合、20年1つの国にいて、その国だけでもうまくいっていればいいんですけど、ほとんどの国が3年4年で駐在員が入れ替わり立ち替わりと。そうすると、いろんなことが尻切れトンボで終わっているというケースも少なくなくて。もちろん引き継ぎとかはしているんだけども、やっぱり前の人の熱の入りようと、次の人の熱の入りようも、温度も違えば方向も違うみたいな。そんな中でディストリビューターとやってきた施策が尻切れトンボになっていて、その尻切れトンボがもう何十人とつながっていて、もうほとほといいよというような現地のローカルスタッフだっているわけですよね。自分たちの現地法人の中にもいれば、ディストリビューターの中にもいるので、やっぱりこのパーソン依存型というのはなかなか難しくて。
私が見てきた欧米の先進的なグローバル企業というのはね、いかに人に依存しないかというところはすごく重要で、あまり…、あまりというか、まったく人に依存していないんですよね。仕組みをつくる、型をつくるということはすごく重要で。今度また型の話をしたいと思いますけど。自分たちが勝つために必要な基準値であったり、指標みたいなものを、トータルパッケージで型としてつくり上げてしまっているので、その型を繰り返し繰り返しガッチャンガッチャンやっていくんですよね。ASEANだったらどの国でも同じような型でやると。まさに営業力で戦うか、マーケティング力で戦うかみたいなところに非常に似ていて。でも、営業力って、顧客と商談して受注を獲得する能力で。どちらかと言うと、日本企業というのはこの営業力で戦っているようなイメージが非常に多くて。一方で先進的なグローバル企業は、マーケティング力で戦っていて。マーケティング力って何かと言うと、売れる仕組みをつくる能力なので、それぐらいにやっぱり違う。マーケティングと営業力、戦略と戦術みたいな、これぐらいやっぱり違う。人と仕組みみたいな話で。そうすると、やっぱりパーソンに依存してもなかなか継続性がないというか、持続的ではないということに陥ってしまうので、そこが1つの大きなポイントですよというお話でございました。
それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。