HOME » 動画番組 スパイダー・チャンネル » 第129回 アジア新興国市場 B2B企業にとってのターゲティング

動画番組 スパイダー・チャンネル

第129回 アジア新興国市場 B2B企業にとってのターゲティング

新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日はB2B企業にとってのターゲティングについてお話をしたいと思います。前回、B2C製造業についてやりましたが、今回はB2Bの製造業にとってのターゲティングとはどうあるべきなのかということについてお話をしたいと思います。

特に、B2Bの企業はこのマーケティングに対する概念が非常に乏しい企業が多く、特にアジア新興国市場への進出というのは生産拠点として出ているという背景が大半です。特に中堅中小企業になってくると、取引先の大手が出るのでそれに伴って出ていったというケースがあるので、基本的には客紐付きで出ていっているというのが中堅中小企業のB2Bの製造業によくあるパターン。従って、ターゲティングとかというのは全く考えたことがなくて、ターゲットというのは、基本的には日本国内で取引しているお客さんがそのまま海外に工場を移管するので、自分たちも工場を移管してそのお客さんに販売をするという、こういうターゲティングなので、ターゲティングという概念自体がそもそもない。この図の通りで、中小企業というのは、例えば、部品をつくっていますと。部品をつくっている中小企業が、その部品を組み合わせてパーツをつくる中堅企業に部品を納品するわけですよね。中堅企業は、その納品された部品でパーツをつくって、そのパーツをこの大企業に販売をしていくと。その大企業は、最終製品としてB2Cなのか、B2Bなのかに販売をしていくという、こういう話になるわけなんですが。この日本の中小企業や中堅企業というのは、基本的には日本企業が販売先、日本の中小企業のB2Bの製造業は日本の中堅企業のB2Bの製造業に販売するし、日本のB2Bの中堅の製造業は、日本の大企業に商品を販売する。そして、その多くのケースがもともと日本で取引をしてきたというケースである。

ただ、グローバル競争というのは、この大企業のレイヤーで起きているわけですよね。この大企業のレイヤーで起きていて、この日本の大企業が、例えば、欧米や中国、韓国、台湾の大企業にグローバルで負けたら、中小、中堅企業も芋づる式に負けることになるんですよね。これだけグローバル競争が激化している昨今、中堅、中小の製造業も、自分たちのターゲットを欧米や中国系に自ら設定をして取り組んでいかないと、とてもじゃないけどグローバル競争を勝ち抜いていくということはなかなかできない。例えば、中小、中堅の例で言うと、携帯電話なんかそうですよね。まさにガラケーの時代は、日本の中小や中堅の携帯の部品やパーツをつくっていたメーカーというのは非常に儲かった。海外に出ていっても上の言うことを聞いていいものをつくっていれば、それで買ってくれたので間違いなかった。ただ、スマホに変わってしまってから、日本の多くの携帯の製造メーカーさん、大企業さんというのは中国やアメリカ、欧米に完全に負けてしまって、ほとんどつくらなくなってしまった。そうなってくると、日本の中堅、中小の部品やパーツをつくっている会社というのは、日本企業だけを相手にして出ていっていたところというのは、みんな撤退をして帰ってきている。その一番大きな例としては、中国の広東省、東莞周辺7割の企業がここ10年で撤退をしてしまったというようなケースも起きていて。グローバルで戦うということは、自分たちのターゲットが日系企業だけじゃなくて、非日系も含めてターゲットにしていかないといけない。また、このことはまた次回、別の機会でお話をしますけど、B2Bの製造業の場合、だいたい産業セクターによってターゲットというのは分けられるので、まず、日系か非日系かで考えると、日系はもちろん取るけども、非日系も同じように取らないといけないし。これ、例えば、産業セクターというのは、携帯の部品を納めている中堅、中小企業であれば、これは日本の携帯メーカーだけじゃなくて、アメリカの、欧米の携帯メーカー、中国の携帯メーカーも、これはターゲットになるわけですよね。こういう産業、携帯、モバイル通信の産業、もしくは自動車の産業、何とかの産業ということで、この産業セクター別にターゲットを狙っていく、こういうことも非常に重要で。とにかく重要なのは、日本のB2Bの製造業は日系だけにターゲットを偏らせずに非日系までもターゲットにしてアジア新興国で取り組みをしていかないと、これからのグローバル競争はなかなか勝ち抜いていくことはできないと思います。

それでは、皆さん、また次回お会いいたしましょう。