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第139回 アジア新興国市場 「輸出型ビジネス」と「輸出型チャネルビジネス」の違いとは

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、前回に引き続き、輸出ビジネスと輸出型チャネルビジネスの違いについて、もう少し詳しくお話をしていきたいと思います。

まず最初のスライドですが、最初のスライドは輸出型ビジネスと。この輸出型ビジネス、もう1回整理をすると、どういうビジネスかと言うと、製造業が日本から世界に輸出をしていくというビジネスなんですが、基本的には、港to港のビジネスのことを申し上げています。自分たちの会社に輸出部門とか輸出部みたいなものがあって、海外の買いたいと言ってくるようなインポーターの人たちに、それをFOBジャパンとか、CIFどこどこの国で引き渡しをする。基本的には輸出なので、買いたいという世界の人たちにそれを輸出する、それだけの話なんですよね。港から港、日本の港から海外の港までのビジネスで。むしろ、FOBジャパンの場合だと、日本の港で引き渡しちゃうので、そこから先の話は基本的には関知しないというのが、この輸出ビジネス。関知しないということはどういうことかと言うと、その先の国の、例えば、B2Cだったら、どういうような中間流通を通じて、どういう小売、どういう小売がその国に存在していて、どういう小売にどういうSKUで並べられて、それをどんな消費者が何を思ってそこに食いついてそれを手に取って買って、それを使うのか食べるのかして、それがリピートしているのか、リピートされていないのか、はたまた、どんな金額で売られているのかということをほぼ無視したビジネス、これが輸出型ビジネスなわけですよね。特に、日本の製造業というのは、自分たちはつくる人、売るのは商社の仕事、問屋の仕事と、こういう概念が、非常に世界的には珍しいんですけど、根強く根付いているので、日本の問屋に販売をして、日本の問屋が海外へ売る。この日本の問屋自体も港から港のビジネスをしているだけなので、基本的には海外の港から先の、B2Cだったら消費者にわたるまでのことには一切関知していない。これは、B2Bも一緒で、基本的には輸出をするんだと。その先、どういうふうなユーザーがどういう用途で使っているのかということは分からない。ほとんど関知していない。何となく分かっている。こんなレベルの企業が決して少なくない。

じゃあ、次のスライド、これは次のスライドですけども、輸出型のチャネルビジネスというのは、一体何なのかと言うと、今、分からないと言った、見てこなかったことを全部見ていきましょうよ。そこにビジネスの本当の価値ってあるんですよね。ものを販売をしていく、マーケティングしていくビジネスの価値というのは、チャネルにありますよね、ということを提唱しているのがこの輸出型のチャネルビジネスで。ビジネスモデルとしては、確かに輸出なんです。FOBジャパンで輸出するんです。もしくは、CIF海外の国に輸出をする。港から港のビジネスなんですが、ビジネスモデルとしては。ただ、違いは、自分たちの商品がどの国のどの都市のどの小売にどういうふうに並べられて、そして、それをどんな消費者が手に取って、食べて使ってリピートしているのか、していないのかということを完全に把握しましょうと言っているのが、この輸出型のチャネルビジネス。この輸出型の、これはB2Bでも一緒ですね、輸出型のチャネルビジネスなので、ユーザーを把握をして、どういう中間流通を通じて、どういうユーザーがどういう用途でそれを使っているのか、そして、リピートしているのか、していないのか、いくらで売られているのか。ここを把握することが次のビジネスにつながる大きなチャンスなわけですよね。日本の製造業にとって、輸出して終わり、輸出が永遠に続く、そんなことあり得ないわけですよね。これだけ国と国との国境の間が狭まってきていて、輸出をしていく、その先にはやっぱり現産現販のビジネスというのが待っていて、地産地消していくということがグローバルで行われていく世の中。そんな中で、永遠に輸出のビジネスが生き延びるなんてことは絶対ない。世界中の競合も、最初は輸出なんだけども、ある一定のシェアが獲れた国では、必ず現産して現販をするということをやってくる。そしたら、その競合よりも早く現産現販のステージにたどりつかなきゃいけない。そんな中でチャネルのことを分からない。相手の国の港から以降の話を完全に無視した輸出をずっとやっていても、今はよくても、いつかそんなビジネスは崩壊する。従って、いかにチャネルビジネスに移行していくかということが製造業に今求められていることで。それがなかなか、日本企業というのは遅れてしまっている。ここを改善しないと、本当の意味でグローバル市場で売上をあげていくということはなかなか難しい。正直、例えば、B2Cの消費財のメーカーで輸出型のビジネスをやって、国にもよりますけども、私の専門の中国やASEAN、このASEANの場合だと、1カ国、10億~20億、これぐらいがおそらく関の山です、輸出のビジネス。輸出をしてやるんだったら、輸出のビジネス。でも、これを輸出型のチャネルビジネスにすれば、それをもっと数十億のレベルに上げていける。そして、これを現産現販型にしていけば、周辺国への輸出も含めて100億のビジネスにつくり変えていくということができるので、いかに日本の製造業がこれから輸出ビジネスをチャネルビジネスに転換させていくかということが課題になっているかということを早く知って、このチャネルビジネスというものを、どんどん、どんどん、展開をしていってほしいと思います。

今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。