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第155回 アジア新興国の近代小売と伝統小売 まとめ

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、前回に引き続き、アジア新興国市場における近代小売と伝統小売のまとめということで、今まで3回にわたって近代小売と伝統小売のお話をしてきましたが、今日はまとめということで。前回、僕の話があまりにもうだうだしていたというふうに何となく自分で思うので、今回もう1回ちょっと整理をしていきたいなというふうに思います。

まず最初のスライドを出していただきたいんですが、アジア新興国市場の近代小売と伝統小売ということ、その1ということで定義の整理をしたと思います。近代小売と伝統小売というのは、それぞれどういうものかと。近代小売というのはModern Tradeと呼んで、伝統小売というのはTraditional Tradeですと。それ以外にGeneral TradeというGTと言われるものが存在すると。それは、近代小売でもなく伝統小売でもない、その間にはまる、MTでもなくTTでもなく、その間にはまるグローサリーのようなものをGTと呼ぶと。近代小売とはPOSレジが入っていないので言えないけども。近代小売の定義というのはPOSレジが入っているか入っていないか。そして、伝統小売というのは入っていないものはすべて伝統小売になるんだけども。じゃあ、パパママショップじゃないよねと。従業員も一応何人かいると。ただ、レジにPOSレジはなくて、レジには1人しかいないとかというね、広さで言うと10m×奥行10ぐらいのグローサリーストアと、まさにGTにあたったりするケースもあれば、自分にとってよりGeneralなTradeはどっちなのか?という意味で、MTをGTと言う国もあれば、TTをGTと呼ぶ国もあるので、そこはちょっと注意をしてくださいと。基本的にはMTとTTですという話をさせてもらって。この2つは、別に富裕層が近代小売に行って、貧困層が伝統小売に行くという話ではなくて、富裕層も中間層、低所得者層も、みんな両方使いますと。ただ、どういう量のものをどれぐらい買うかという用途が違うというだけの話で、両方重要なんですよと。特に近代小売というのは、新興国と呼ばれる国ではまだまだ2割ぐらいしか近代小売はないので、なかなか伝統小売を攻略しないとシェアは上がりませんよ、儲かりませんよ。特に現地法人をつくってしまった場合にはそのオーバーヘッドを賄うことはできませんよという、そんなお話をしたと思います。なので、両方攻める必要がある。そしてまた、伝統小売のオーナーというのは、近代小売で売れているものしか取り扱わないので、いかに伝統小売で売るためには近代小売で売るかということが重要で。そしてまた、近代小売というのは棚代を取ります。リスティングフィーとかというふうに言われます。そうすると、1SKU、1店舗あたり何千円という棚代を取ってくる。そして、これは日本企業であれば、日本企業Priceというのが当然存在するし、誰が小売と交渉するかによってその金額というのは全然変わってくる。そうなってくると、小売の交渉力が非常に強い。彼らは、強制的なプロモーションも年に4シーズン~2シーズンぐらい参加をしろというふうに言ってきますから、こういったものにコストがかかってしまう。そうすると、やっぱり伝統小売をやらないと儲からないし、逆に、近代小売との交渉力をどう強くするかということは、伝統小売を強くするということにかかっていて、ネスレやユニリーバ、それからP&G、コカ・コーラ、ジェネラルミルズなどが近代小売に日本の消費財メーカーと同じようなリスティングフィーを払っているかと言うと、必ずしもそうではないので、やっぱり伝統小売というのはそういう意味からでも重要ですよと。

2枚目のスライドが、それぞれの国の比率を見ているわけですけども、先進的なASEAN、シンガポール、マレーシア、タイでは、もうほぼほぼ5割ぐらいは近代化が進んでいるけども、新興ASEAN、ベトナム、インドネシア、フィリピン、VIPに関しては、まだまだ近代的ですというのは2割ぐらいですという話をさせてもらって。これが、急激に近代化がこう、5年10年で進むかと言うと、そうではないですよと。インターネットの参入というのもあるんだけど、まだFMCG、いわゆる食品・飲料・菓子・日用品の業界で言ったら、インターネットの介在もまだそんなに進んでいないし、中国というのは一部例外だけども、ASEANではそんなに進んでいない。そうなってくると、伝統小売というのは非常に重要で、今、伝統小売が獲れるからこそ、将来、小売が近代化しても自分たちは近代小売で大きなポジションを維持できるので、やっぱり伝統小売というのはやらなきゃいけないと、そんなお話をしたと思います。

そして最後の、実際に近代小売だけをやっていたらどれぐらい儲からないのかということで、近代小売の店舗数を出したんですけども。ベトナム、ASEANで最も少ない国はベトナムで2,000店舗。2,000店舗でいくら商品を売ったって、週販何万個売ったって、2,000店舗じゃなかなか厳しいよねと。一方で、ベトナムには50万店の伝統小売があると。フィリピンは6,500店舗の近代小売に対して80万店の伝統小売がある。そして、ASEANで最も近代小売が多いのは、インドネシアの3万5,000店。ただ、このうちの3万店というのはアルファマートとインドマレットの2社の2強のインドネシア系のコンビニエンスストアが占めているので、残り5,000店舗が近代小売ですよと。一方で、インドネシアには300万店の伝統小売が存在すると。従って、近代小売も伝統小売も両方やらなきゃいけないというのが非常に重要で。小売の近代化というのは、小売単体が近代化していくだけで近代化するものではなくて、あらゆるインフラ、物流やシステム、それから、ガス・水道・電気などの基本的なインフラも、いわゆる都心部だけではなくて地方も隅々まで近代化しないとなかなか小売も近代化をしていかないので、そういったことが重要ですよと。そうすると、日本みたいな近代化をするためには、やっぱり30年ぐらい時間がかかるので、今から伝統小売をやらないといけないし、今、伝統小売に投資をしていくということは、いずれまた大きな市場になってくるメコン経済圏やインド、そして、アフリカでもそのノウハウというのは生かされるので、決してASEANの伝統小売に投資をするということは将来無駄にはなりませんよというお話をしたと思います。

近代小売と伝統小売に関しては、これぐらいが基本的なことだと思うので、今後、これを攻略するためのディストリビューション・チャネルをどうするべきか、ディストリビューション・ネットワークをどうするべきかというのはまた別の機会にお話をするとして、これぐらいを理解しておけば、まあまあ、近代小売、伝統小売のことを知っているということになるのではないでしょうか。

じゃあ、これ、今日はもうこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。