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第179回 海外ビジネス 競合の可視化の重要性

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。いつも当番組をご覧いただき、誠にありがとうございます。まだ、チャンネル登録がお済でない方は、ぜひチャンネル登録をお願いします。この辺にチャンネル登録ボタンが出ていると思います。

さて、早速、じゃあ、今日の本題に入っていきたいと思いますが、今日は、アジア新興国市場における「競合の可視化の重要性」ということについて、お話をしていきたいと思います。

この、いかに競合を可視化をするかという、可視化の方法論の前に、なぜ競合を可視化することが重要なのかということについてお話をしたいんですが。日本国内の市場だと、競合を敢えてわざわざ可視化する、いわゆる調べていくなんていうことってそんなにしないと思うんですよね。なぜならば、皆さんは日本国内でもう、何十年、もしくは、100年以上事業をしていて、その中で競合というのは、もうすでに可視化されているし、皆さんほど皆さんの国内の競合のことをたぶん理解されている企業というのは、たぶんないんですよね。従って、国内では競合のことを理解をしているということは大前提で、可視化されているものであるということがもう大前提としてあると。

一方で、アジア新興国市場に出たときに、それってどうかと言うと、もう全く競合って可視化されていなくて、自分たちがこれから参入していくうえで、特に日本企業の場合だと、アジア新興国市場でなくても、グローバル化には出遅れが当然あるので、出遅れていると。これから、じゃあ、参入戦略をつくるというときに、いかに先駆者となる競合がその地で何をやってきて、どういう失敗をしてきて、今、その結果、どういうことをやっているのかということを可視化することで、それをベースに自分たちの戦略を組み立てられるんですよね。要は、彼らが費やした時間を調べて、お金をかけて、労力をかけて、時間をかけて調べることによって、瞬時に手に入る、それを自分たちの戦略に生かす、非常に便利なツールなんですよね、この競合調査、ベンチマーク調査というのは。

一方で、もうすでに進出をしていると。ただ、競合となかなか差が開いていますと。今まで自分たちの営業マンが拾ってくる競合の情報は持っていたから、競合のことは知っていると理解をしていたと。ただ、自分たちの営業マンが持ってくる情報の鮮度とか粒度って、われわれのような産業調査をする会社が調べてくる競合調査の鮮度や粒度とは全く次元の違うものなので、そんな情報ではなかなか差を埋めるための戦略はつくれないんですよね。競合が外に出したくない、絶対に知られたくないという情報をいかに取ってくるかということがすごく重要なので、なかなか自分たちの営業マンが現場で取ってくるというようなレベルの競合の話をしているのではないということが1つです。そんな中で、現地ですでに進出をしていて、今ある競合との差が、これ、開いていると、この差って、差がなぜ開いているのかということを理解をして、そのうえで、その差をどう埋めていくかということをやっていかないと、この差ってずっと開いていくわけですよね。差が開けば開くほど、どんどん、どんどん、シェアや収益に差が出てくるわけなので、いかにその競合との差を早めに可視化をして埋めていくかということは非常に重要だと思います。

じゃあ、競合の可視化って、どういう情報を可視化すればいいんだということなんですが、本当に収益とかマーケットシェアの差を埋めていくことに直結するのは、やっぱりディストリビューション・チャネル周りの情報をどれだけ可視化できるかだというふうに思います。私どもの会社では、3つに分類をしていて、1つが主要競合のチャネル戦略の可視化。これはどういうものかと言うと、主要競合が、自分たちのチャネル戦略を一体全体どう考えているのかという、基本的なことをまず可視化をしていく。これは非常に重要で。例えば、消費財だったら、MTの市場をどう考えて、どういう戦略をMT市場に対して取っているのか、TTの市場に対してどういうチャネル戦略を取っているのか。B2Bであれば、おそらく4分類ぐらいのインダストリーに対して自分たちのチャネルを展開しているんだと思うんですけど、例えば、Aインダストリーに対してはどういうチャネル戦略を取っていて、Bインダストリーに対してはどういうチャネル戦略を取っているのかということを可視化する。そういうチャネル戦略の全体像をまず見ていくということが必要で。

その次に必要なのが、この2番の主要競合のディストリビューション・ネットワークの可視化で。よくありがちなのが、日本企業の場合、1カ国1ディストリビューター制みたいな、理由なき1カ国1ディストリビューター制を引いているケースが結構あって。これ、管理が簡単だからとか、競合しないように、自社内競合しないようにみたいなことを言われて、1カ国1ディストリビューター制を引いているところもあるんですけど。結局、1社のディストリビューターだと、B2Cなんていうのは、もう全くもってストアカバレッジが上がっていかないし、B2Bだと国によっては1社のほうが適しているということも稀にあります。だた、やっぱりエリアを分けて、どうそのディストリビューション・ネットワークをつくっていくかということがすごく重要なので、敵がどうしているのかというのをしっかり見ていかないといけない。どういう地域で、どういうディストリビューターと、どう契約をしているのかということを深く見ていく。そうすると、自分たちのディストリビューション・ネットワークと、彼らのディストリビューション・ネットワークが具体的に数字でどれぐらいの差があるのか、まず、数で差がありますと。数で差があるうえに、じゃあ、そのディストリビューター同士を比べたときに、その規模やケイパビリティにまた大きな差がありますということが見えてきたりするので、この2番目の主要ディストリビューション・ネットワークの可視化というのも非常に重要であると。

3つ目が主要競合の組織とマネージメント体制の可視化。要は、ディストリビューション・ネットワークをどういう組織体制でどう管理しているのかというのがすごく重要で、ディストリビューション・ネットワークって、もう組織と管理体制なんですよね。そうすると、自分たちはこういう日本人を中心としたピラミッド組織で、こういう管理をしているけど、全く競合は違う管理の違う組織構成を、組織の仕組みで違う管理をしていたっていうことが往々にしてある。特に欧米の先進的なグローバル企業って、組織とマネージメントの方法に非常に長けているので、そういったことをしっかり学んでいくということはすごく重要で。

これをどう、自分たちと競合を比較するかということがすごく重要なんですよね。比較することによって、自分たちには何が足りていて、何が足りていないのか、それを具体的に数字で見ていくと。この差を埋めない限り、マーケットシェアの差はずっと開いていく。これ今、10開いているものが、これ改善しないと、どんどん、どんどん、差が広がっていく一方なわけですよね。いかにこの10の開きの要因を分析して、そこに手を打っていくかということが重要で、そうすることによって10の開きを9にして8にして7にして、しいては追いつき追いつけということになるので、本当に競合の可視化をするということは非常に重要で、競合の可視化をすることで自分たちの参入戦略のベストプラクティスになるわけですよね。だから、現状と比較検証を行ううえで、参入戦略を改善することもできるし、課題が何かということを見つけて、そこに対策を打つということもできるわけなので、やっぱり、競合を可視化するということは自己診断をするということにもつながってくるので、日本企業はもっともっと競合を可視化するということをやらないといけないというふうに思います。

それでは、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。