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第187回 ASEAN市場 最も適した業態と小売と店舗からスタートする

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。いつも当番組をご覧いただき、誠にありがとうございます。SPYDER CHANNELでチャンネル登録がまだの方は、ぜひチャンネル登録をお願いします。また、皆さんのお役に立つような内容であれば、ぜひいいね!ボタンも合わせてよろしくお願いします。

それでは今日は、消費財メーカー、食品・飲料・菓子・日用品、FMCG並びにその周辺の消費財メーカーがアジア新興国の地でマーケットシェアを上げていくときに、どういうふうに小売に導入していくことが最も効果的なのかということについてお話をしたいと思います。

最も適した業態と小売と店舗からスタートするというふうに書いていますが、それが答えになるんですけど、アジア新興国市場の小売と日本の小売と一番の違いは何かと言うと…。今回、小売というのは伝統小売Traditional Tradeの話は一旦置いといて、近代小売Modern Tradeの話を中心にしています。Modern Trade近代小売、日本の近代小売とアジア新興国市場の近代小売の最大の違いは、商品を置くのにお金がかかるというのが、これ、アジア新興国の最大の特徴なんですよね。彼らは自分たちの棚をメーカーに売っているので、1SKUあたり数千円の棚が1店舗あたりかかると。それが1,000店舗あったら×1,000と、2,000店舗あったら×2,000というふうになっていって、多くの場合、このリスティングフィーとか棚代とかって言われますけど、かかります。一方で、年に2回~4回ぐらいの強制プロモと言うと聞こえが悪いですけども、半強制的なプロモーションに参加をしたりとかという、いろんなプログラムが小売によっては組まれていて、そういったものに参加をしていかないといけない。そうすると、どういうことが起きるかと言うと、たくさんの店舗に置こうと思えば置こうと思うだけお金がかかる、というのがアジア新興国の小売の最大の特徴なんですね。日本の小売はそんなことありませんので、そこが非常に大きな違いですと。

そうなってきたときに、近代小売だけに置いていたのでは、そもそも近代小売の数が少ないから、なかなか儲からないので伝統小売も重要ですよ、というのが今までのアジア新興国市場の流れだったと思います。今もそういう流れで、非常に伝統小売が重要です。ただ、今回は伝統小売の話は置いといてこの近代小売の話をしますと。伝統小売のオーナーも近代小売で売れ筋になっていないものは自分たちの店舗には置かないので、基本的には近代小売でしっかりと配荷をしてセルアウトしていくということはすごく重要なので、近代小売はやらないといけないと。近代小売だけでは利益が出ないケースが往々にしてあるけども、近代小売はやらないとどのみち伝統小売にも入れないので、近代小売は非常に重要ですよと。

そうしたときに、いや、もう、マネーゲームですと。一気にドーンとパワーゲームでやっていくんですと。全店舗配荷して、リスティングフィー、これ、イニシャル費用としてかかったってしょうがないです。何億積みましょう。ドーン、バーンとやっていくというのも1つの方法。ただ、私が知る限り、そういった方法で成功している日本企業、そういった方法を取った日本企業というのはかつて見当たらないので、あまり日本の企業には向いていないやり方。

一番いいやり方って、やっぱり業態と小売と店舗のこの3つのレイヤーに分けるという、この図の通り。まず、主要MTの中で、スーパー系、コンビニ系、ドラッグ系と業態がいくつかあって、自分たちの商品がどの業態に最も適しているのかということをまず判断する。これって、ほぼ日本の場合と変わらないですよね。例えば、こんなに大きな袋にたくさん飴が入っているものは、もうコンビニ向けかと言うと、コンビニじゃないので、そういう会社は日本でもスーパーで中心で売っていて。そうすると、アジア新興国に行ってもまずスーパーみたいな話になるし。コンビニ向けの商品、日本で売れているところを言えば、アジア新興国に行ってもコンビニとなるわけなので、自分たちが最も得意とする業態、自分たちの商品に最も合致した業態はどこなのかということをまず判断します。その業態、コンビニだったらコンビニという判断をしたときに、コンビニもA社、B社、C社っていっぱいあるわけですよね。セブンがあったりファミリーマートがあったり、ローカル系があったりと、こんな中で、自分たちの商品をどのコンビニと最初にやるかということはすごく重要で。そのコンビニとしっかり話をして、例えば、最初の半年とか1年、独占権を与えて、彼らのコンビニで先行販売して、彼らのコンビニにしか売らない。これ、小売側は非常に喜びますから、そういう取り組みをやって、じゃあ、Aコンビニと最初やっていこうと。Aコンビニとやって、Aコンビニの、これも店舗が例えば1万店あったら、いきなり1万店に置くというのも、まあまあありですけど、数千店舗から始めてみるというのも1つですよね。置いたものがしっかりセルアウトされていくと、2,000店舗だけじゃなくて、5,000店舗に置いてくれ、1万店舗に置いてくれと、Aコンビニでそういう話になる。Aコンビニで売れているということを当然BコンビニもCコンビニもそのうち聞きつけてきますから、ぜひうちでもやってくれとなるわけですよね。そのときに、小売との交渉力どうかと言うと、もうすでにAコンビニで実績出ていますから、Bコンビニ、Cコンビニとのリスティングフィー含めた小売との交渉力って非常にメーカーが優位に働くわけですよね。そうやって、Aコンビニよりも安いリスティングフィーをBコンビニ、Cコンビニから獲得していくということをやっていくと、効率よくコンビニへの導入が進みますと。その後、今度はコンビニでの成功をドラッグストアが見ています。スーパーが見ています。そうすると、やっぱりスーパーもやりたいです。ドラッグストアもやりたいです。ドラッグストアというのは、今は、最近、ドラッグだけじゃなくて、例えば、今、飴の話をしていますけど、飴がレジの前に置いてあったりとか、飴のコーナーがあったりとかって、食品・菓子系なんかも置いてありますから、そういう棚を指しているんですけども、そういうところも取り扱いと言ってくる。そうすると、当然ながら、スーパーやドラッグとの小売交渉力もメーカー優位に働いて、リスティングフィーがどんどん下がっていくので、相対的に下がっていくわけですよね。

また、最初から一気にボーンとやるということは、知名度がないものを何万店舗にいきなりドーンと置いて、これ、セルアウトしなかったら全部返品で返ってくるので、やっぱりある一定のエリアとか、ある一定の業態から始めて、ある一定のエリアのある一定の業態から始めて、小売に広げて、店舗を増やしてということを段階的にやっていかないと、結果的にコストが高くなるし、そうやって段階的にやっていくと、コストが安くなる。なぜならば、小売の交渉力がメーカー優位になるからと。なので、結果として導入費を最小限に抑えた状態で、網羅的にMTへの配荷が可能になりますよということで、段階的に投入するということを私は推奨しています。

なので、まず自分たちの業態が適しているのがコンビニなのか、スーパーなのか、ドラッグストアなのか、何なのかを判断すると。それがコンビニなんだとしたら、コンビニもA社、B社、C社、一気にやるのではなくて、A社とまずやって、そこでの成功実績をもってB社C社との交渉をします。コンビニでの成功体験を持ってドラッグストアやスーパーとさらにリスティングフィーや各種プロモーションをコストを下げる、もしくは優位な取り扱いをしてもらえる交渉していくということをすれば、相対的にコストは下がるし、小売との交渉力は優位に働かせることができるし、さらに市場に浸透させるというのが、一気には浸透していきませんから、徐々に浸透させていく。当然、メーカーとしてはプロモーションかけていかないといけないので、そういったプロモーションコストの持ち出しも段階的にかけていけるので、結果として最小限に抑えた状態で効率的にMTへの配荷が進みますよというお話です。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。