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第190回 【Q&A】中国/ASEAN/インド ディストリビューターとの上手な付き合い方とは?

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、番組に寄せられる質問に答えていきたいと思います。

それでは質問をお願いします。「ディストリビューターとの上手な付き合い方とは?」消費財メーカーさんからの質問です。「私は消費財メーカー勤務です。売上を拡大するために、ディストリビューターにいろいろと施策の提案をしておりますが、なかなかそれをやろうという流れにはなりません。そのディストリビューターとはもう数十年の付き合いで、弊社は消費財メーカーの中では規模は比較的大手なので、アジア新興国を含めて幅広く進出をしています。ただ、一方で、今までディストリビューターの選定は、森辺さんが番組で推奨するようなやり方で決めてこなく、何となくそのディストリビューターと長くお付き合いしてきているので、今までそんなに何かディストリビューターと一緒に積極的にやろうといった流れはありませんでした。ただ、基本的には任せてやってきました。ただ、すべて任せてきた中で最近売上が停滞している。その中で会社としても海外売上比率をさらに上げていきたいというふうに考えており、ディストリビューターと新しい取り組みをして売上を拡大していきたいと考えています。しかし、ディストリビューターが思った通りに動いてくれません。どうすればよいでしょうか?」ということですね。

はい。分かりました。まとめると、こういうことですね。消費財メーカー、大手の消費財メーカーで、基本的には大手なので、アジア新興国含めて、中国ASEAN含めて、もうすでに進出はしていると。一部の国では現地法人を持っているし、一部の国には輸出をしてやっていますと。アジアでも、おそらく生産はしているんでしょうね、それなりにやっているということなので。数十年前からお付き合いのあるディストリビューターと一緒に歩んできたんだけども、さらに売上を上げていきたいということで、ディストリビューターと新しい取り組みをいろいろやっていきたい、施策をやっていきたいと。ただ、ディストリビューターがなかなか思い通りに動いてくれない。実はこの問題、多くの日本の消費財メーカーで抱えている問題で、これ、たぶん、B2Cの消費財メーカーに限らずB2Bでも同じような状態があって。何だろうな、20年なのか、25年ぐらい前に、あまり中国とかASEANが市場として有力視されていなかった時代に、向こうからの問い合わせベースで取り扱いをしたいとかという話が日本のメーカーのほうに来て、一応、与信調査らしきものをやって、ここ大丈夫だろうということでお付き合いを始めたみたいなところが結構あるんですよね。メーカーとしてもそんなに大した市場にはなっていなかったし、しばらくやらせてみるかぐらいのあれで始まって。一応、日本の企業というのは、守りは完璧ですから、非独占の契約で単年度更新契約みたいなので、一応、ディストリビューター契約をしているんですよね。そんな中でずっとやってきていて。消費財メーカーなので、おそらく1カ国、いってても数億円後半~10億、20億ぐらいじゃないかなというふうに思うんですよね、ASEANだったらですね。中国でも、どうだろうな、こういう悩みを抱えているというレベルだと、たぶん、20~30億ぐらいじゃないかなというふうに思いますけども。そんな中でさらに売上をアジア新興国で上げていきたいと。ただ、ディストリビューターは、例えば、20年かけて、自分たちが日本のこの消費財メーカーA社の商品を売ってきたんだという自負があって、「日本のメーカーが何も分かっていないのに口出しするなと、おれたち分かっているんだ」というのが多くの言い分で。この言い分も正しくて、日本の消費財メーカーは何も分かっていないから口を出してくるなと、これはその通りで、口を出すからには、ディストリビューター以上にマーケットのことを知らないといけないけども、調査自体を全然やっていないし、そういった調査予算みたいなものが消費財メーカーの中でそんなに重要視されていないので、基本的にはそんなに分かっていないのに、日本での成功体験をベースに口を出すというのはよくありがちなんですよね。

一方で、現地のディストリビューターが何もかも分かっているのかと言うと、これもまた違って。基本的に、日本でもそうだと思うんですけど、問屋がマーケットのことを全部分かっているかと言ったら、分かっていないですよね。それと同じで、海外でもディストリビューターって問屋ですから、ディトリビューターがマーケットのことを全部分かっているかと言ったらそうじゃない。ただ、彼らが何かを言ってきたときに、「いや、マーケットはこうなんだ」と、「おれらはよく分かっているんだ」と言われたときに、自分たちが全く何も分かっていないから、彼らの言っていることがあたかもすべてで、あたかも正しいというふうな錯覚に陥ってしまうだけで、どちらも分かっていないんですよね。それをどう可視化していくかということは非常に重要で。まず、20年とかの時間軸の中で、そういうやり方をしてきちゃったということは、20年30年そのやり方に慣れさせてきているので、急に「いや、もっとやるよ」と言われても、ちょっと困りますよね、ディストリビューターも。だって、今までそんなやり方してきてなくて本当に任せきりだったのに、いきなり「ガンガンやっていきます」と言われても、なかなかやっぱり言うことを聞いてくれないというのはもうその通りだと思います。

ひどいところだと、ディストリビューターが情報公開を全然してくれないとか、そういったところもあるので、だいぶ流れるプール、右向きに流れているプールを左向きに泳いでいくみたいなことを、たぶん1~2年やっていかないといけないし。そこを自力でやっていっても、日本の消費財メーカーの場合、何となく問題に気付いて、その着手に取り掛かろうかなと思ったときに人事異動で、「はい、担当替え」と。新しい担当が来て、一応引き継ぎ書ではそういう問題を聞いているけども、それを実感するのに2年かかって、実感したものを「さあ変えていこう」って3年目4年目で思って、さあ動き出そうと思ったらまた人事異動で新しい担当といって。これを繰り返していくうちに、ディストリビューター側も「どうせ、日本のこいつら、また新しいやつを送り込んでくるんだ」ということで、まあまあ適当にあしらっておけみたいな感じになっちゃっているんですよね。だから、これをうまく変えていくというのは、本当にすごく重要で。人事異動が、ディストリビューターとの関係を結構リセットしている部分があって、それは何かを大きく改革していく中では非常にマイナスなポイントで。重要なのは、ルーティンに乗せるっていうところまでは、やっぱりそういう人事異動とかせずに、一旦、今の現状からこういう状態に変えるんだというところまで大きく1人の人間で変えていく。それが新たなステージがしっかりルーティン化したら、ここってもうルーティンになっていますので、ここからはじめていろんなことが変わってもいいと思うんですけど、やっぱり変える過程で担当が替わるというのはなかなか難しくて、一旦その流れるプールを逆泳ぎするというような状態なので、逆泳ぎしてプールの流れが逆回転したら、これまた担当を替えたりというのはいいと思うんですけど、まずそこをやっていくということがすごく重要かなと。

上手な付き合い方って言っても、これ、人と人との関係の話って、たぶんここで議論しても、僕はこういう性格だし、こういうキャラクターで、向こうはこう捉えているので、こういう接し方をするとうまくいくとか、うまくいかないとかってあるし。じゃあ、うちの取締役の東だったらこうだし、取締役の清水だったらこうだし、うちのコンサルの誰々だったらこうだしって、そういう話で、もう個々によってくるわけですよね。なので、そこの部分というよりも、非常にシンプルな軸を決めて、KPIを設定をして、それをやっていくということを実現するべきだと思うんですよね。例えば、今、売上が10億ですと。それを何年までに15億にしたい。この、ただ15億にしたい、15億にしたい、分かったって何とか無理やり約束させて期末に在庫を押し込んでみたいなことをやっても全く意味がなくて。これ、15億にするためには、じゃあ、消費者をこれぐらい増やさなきゃいけない、小売のストアカバレッジこれぐらいにしないといけない、インストアマーケットシェアこれぐらいにしないといけない、となってくると、いかにチャネルに投資をしてストアカバレッジを伸ばすかという横軸の話と、もう1つは並べたものをプロモーションでどうやって縦軸で売っていくかという、この両方で。ディストリビューターだけに労力をかけて、もっと売れ、もっと売れじゃなくて、メーカーとしてストアカバレッジを、例えば、あなたたちがこれぐらい増やしてくれれば、自分たちはメーカーとしてこういうBTLに投資をしますと、こういうATLに投資をしますということをしっかり明言していって約束をしてあげる、これがすごく重要で。ストアカバレッジを伸ばすのはディストリビューターの仕事じゃないですか。ただ、並べたものが消費者に選ばれるか、選ばれないかって、これはメーカーの責任のほうの範疇の話なので、彼らに対して、ストアカバレッジを、じゃあ、今の1.何倍にしてくれたら、自分たちの広告予算を1.何倍にしますよとかっていうことを、しっかりたぶん明言をしていかないと、何かをやれやれ、やれやれ、やれやれじゃ、なかなかディストリビューターはおそらく動かないし、それだけ長く付き合っていると、今のマーケットシェアのままで付き合っているほうが彼らにとっては実は利益率が非常によかったりする。これをストアカバレッジを増やして新たなことをしようとすると、逆に、5年後からはもっと儲かるようになるのかもしれないんだけど、5年間は投資になったりするわけですよね。それをディストリビューターは嫌がるので、やっぱり、何をしてあげれるか、何がgiveできるかということをメーカーは、消費財メーカーは先に考える必要があるんじゃないかなというふうに思います。

ちょっと時間が来てしまったようなので、今日はこれぐらいにしたいと思います。それでは、また次回お会いいたしましょう。